航空自衛隊 百里基地 航空祭 「装備品紹介編」
2016.11.27



今回の百里基地祭における自分の目的はF-4を見学する事ですが、もう少し詳しく言うと
F-4のメカニズムを観察する事が当初の目的でした。具体的には
J79エンジンを観察する、頑丈な主脚を見る、主翼の折り畳み機能を見る等です。

しかし実際に百里基地に配備されている大量のF-4を見たらその光景に感動してしまい
今、目の前に展開してるF-4の姿(配備状況)を
記録し歴史の1ページとして後世に伝えねば!

という謎の使命感がメラメラと燃え上がり、結果的に「F-4の配備状況を記録する事」にしました。
F-4のメカニズムに関してはネットや専門書でいくらでも情報収集できるのでまたの機会にでも。

百里基地航空祭に参加したF-4の一覧 (2016年11月27日)
機種機体番号所属飛行の有無備考
F-4EJ改57-8353第301飛行隊ビッグフォーメーションに参加
F-4EJ改57-8366第301飛行隊×第3格納庫で体験搭乗
F-4EJ改97-8416第301飛行隊ビッグフォーメーションに参加
F-4EJ改97-8421第301飛行隊ビッグフォーメーションに参加
F-4EJ改97-8423第301飛行隊×地上展示
F-4EJ改97-8425第301飛行隊×第2格納庫で武装展示
F-4EJ改67-8391第302飛行隊未確認滑走路脇で待機?
F-4EJ改87-8407第302飛行隊午前の会場通過飛行に参加?
F-4EJ改87-8408第302飛行隊×第3格納庫で体験搭乗
F-4EJ改87-8414第302飛行隊午前の地上攻撃
午後の機動飛行などに参加
F-4EJ改97-8420第302飛行隊×地上展示
F-4EJ改17-8437第302飛行隊午後の機動飛行などに参加
F-4EJ改57-8355第305飛行隊×地上展示
F-4EJ97-8418第305飛行隊××尾翼のみ永久展示
RF-4EJ47-6335第501飛行隊未確認グリーン迷彩
RF-447-6902第501飛行隊××ブルー迷彩
尾翼のみ永久展示
RF-4E47-6903第501飛行隊未確認グリーン迷彩
RF-4E47-6905第501飛行隊×ブルー迷彩
地上展示
RF-4E57-6909第501飛行隊未確認グリーン迷彩
RF-4E57-6912第501飛行隊グリーン迷彩
午後の偵察飛行に参加
RF-4E57-6913第501飛行隊未確認ブルー迷彩
RF-4E57-6914第501飛行隊グリーン迷彩
午後の偵察飛行に参加
RF-4EJ67-6380第501飛行隊×グリーン迷彩
第2格納庫で偵察装備展示
自分がこの目で実際に確認したF-4をリストにしてみました。これ以外にも
格納庫などに収容され一般公開されなかったF-4が結構あると思います。

2016年現在におけるF-4シリーズの残存・稼働状況を調べてみたんですが
戦闘機のF-4EJ系が52機、偵察機のRF-4E系が13機という感じらしいです。
そして現在F-4を運用しているのは第301、302、501飛行隊のみ(※)です。
これらのデータからも分かる通り百里基地はF-4の最後の聖地という事ですね。
(※)例外として岐阜基地の「飛行開発実験団」などにも少数配備されてるみたいです。

以下では本日の百里航空祭で展示されたF-4の勇姿とその歴史を中心に紹介します。

F-4EJ改 第301飛行隊 97-8423号機






第301飛行隊の歴史

1973年10月16日   「初のF-4EJ部隊」として第7航空団隷下の百里基地で新編

1985年3月2日     第5航空団隷下の新田原基地(宮崎県)に移動

1991年4月        「F-4EJ」から「F-4EJ改」に機種転換

2016年10月31日   再び第7航空団隷下の百里基地に移動
個人的には「空自初のF-4部隊」という点に注目ですね。1973年当時はまだ自分は
生まれてませんが、だからこそF-4の歴史を知るという上で特別な部隊だと思います。

それとつい先月、新田原から移動してきたという点も地味に重要です。管理の一元化と
対中国への戦力強化の為に第305飛行隊(F-15)と入れ替えが理由との事ですが
個人的には「F-4が近くに来てラッキー!」と思いました。(新田原は遠すぎる・・・)

そして部隊マークであるカエル。筑波山のガマガエルが由来で「無事に帰る」という
意味も込められています。カエルのF-4という事でファンからは「ケロヨン」と呼ばれます。


F-4EJ改 第302飛行隊 97-8420号機




第302飛行隊の歴史

1974年10月1日   「2番目のF-4EJ部隊」として第2航空団隷下の千歳基地で新編

1976年9月6日    「ミグ25亡命事件」が発生し緊急発進

1985年11月26日   第83航空隊隷下の那覇基地に移動

1987年12月9日    「対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件」が発生し緊急発進

1992〜95年      「F-4EJ」から「F-4EJ改」に機種転換

2009年3月26日   第7航空団隷下の百里基地に移動
歴史を見て「凄い戦歴の部隊じゃないか!」と言うのが個人的な感想。
北海道から沖縄という日本の両端の地に駐留した経験があって
ミグ25事件や領空侵犯事件に出動するなど何かと旧ソ連軍と因縁がある部隊。

部隊マークは北海道を象徴するかの如きオジロワシ(尾白鷲)です。
空自ファンでもある父親が「F-4と言ったら302なんだよ! 尾翼に大きく描かれた
オジロワシが格好良いんだよ!」と熱く語っていたのが印象的なマークです。


F-4EJ改 第305飛行隊 57-8355号機




第305飛行隊の歴史

1978年12月1日   「5番目のF-4EJ部隊」として第7航空団隷下の百里基地で新編

1993年8月2日    「F-4EJ」から「F-15J」に機種転換

2016年8月31日   第5航空団隷下の新田原基地に移動
事前の予習にて「F-4を運用してるのは301、302、501のみ」という知識だったので
この第305飛行隊仕様のF-4が展示してあったのを見た時は驚きました。
この57-8355号機の詳細について調べてみたんですが、少なくとも1ヶ月前の
2016年10月までは新田原の第301飛行隊に所属していたみたいです。
という事はここ1ヶ月で尾翼のマークをカエルから梅に描き換えたという事でしょうか。

第305飛行隊の所属なので新田原に移動(帰投)する機だと思いますが
F-15がバリバリ活躍する部隊に旧機種のF-4が存在するという状況に・・・?
その辺の事情がよく分からないですね。今度調べてみます。


今回の自分の目的はF-4ですが、F-15も何機か展示・飛行してたので軽く紹介します。

F-15J 第305飛行隊(宮崎県・新田原基地) 42-8842号機

現在の所属は新田原ですが、この842号機及び第305飛行隊はかつて百里に所属していたので一時帰郷とも言えます。


F-15J 第204飛行隊(沖縄県・那覇基地) 62-8874号機

わざわざ沖縄から来てくれたF-15。遠路はるばるご苦労様です。
沖縄の自衛隊(在日米軍)イベントもいつか行ってみたいですね。


F-15J 第306飛行隊(石川県・小松基地) 72-8960号機

小松基地は7月の「やまゆき」見学の時に外周だけ見ましたね。小松は比較的近い基地なのでいつか必ず行く予定。
最近の同基地の大きな出来事としては今年の6月10日に「飛行教導群」(アグレッサー部隊)が移転してきた事とか。


それではF-4の紹介に戻ります。余談ですがスケジュールの関係か、午後から地上展示機のエリアが
一部変更されて進入不可になり撮影アングルが限られる状況に。午前中に写真撮っといて良かった・・・


RF-4E 第501飛行隊 47-6905号機

今回の百里基地で見学したF-4は「グレーの戦闘機」と「グリーン迷彩の偵察機」が大多数だったので
ブルー(洋上)迷彩のF-4はより際立って見えました。展示飛行のオープニングで行われた
「ファントム ビッグ フォーメーション」の先頭を務めたのも洋上迷彩のF-4(これとは別の号機)でした。


(左)RF-4E 第501飛行隊 47-6903号機
(右)RF-4EJ 第501飛行隊 47-6335号機

こちらはグリーン迷彩のRF-4。微妙に迷彩パターンが異なるのが面白い。どちらも同じ偵察機仕様のRF-4なのですが
左のRF-4Eは当初から偵察仕様として作られた機体をアメリカから購入した物
右のRF-4EJは元々は戦闘機だった機体を空自が偵察機に改造した物となります。
両機を見分けるポイントはいくつかあるんですが一番分かりやすいのが機首下のバルカン砲の有無です。詳しくは後述。


RF-4 第501飛行隊 47-6902号機(尾翼)

RF北格納庫の奥にひっそりと展示されていたRF-4の垂直尾翼。
任務を終えた航空機がこうして永久展示される様子は感慨深いです。


F-4EJ改 第302飛行隊
(左)17-8437号機   (中央)87-8414号機   (右)67-8391号機


世間的に見ればF-4は退役寸前の旧機種ですが、こうして臨戦態勢で並んでる姿は雄々しく見えますね。


F-4EJ改 第302飛行隊 87-8414号機



F-4EJ改 第302飛行隊 67-8391号機



F-4EJ改 号機不明

真正面から撮ると機体番号が分からないですね・・・ 多分上記の3機の内のいずれかです。


F-4EJ改 第302飛行隊 17-8437号機

この写真でやっぱり気になるのがタンデム式の複座コックピットです。元々は海軍機(艦載機)として開発されたF-4。
前席ではパイロットが機体の操縦を担当、後席ではレーダー操作員(RIO:Rader Intercept Officer)がレーダーや無線を
操作するというツーマン運用が基本ですが、空自のF-4EJは後席にも操縦装置を設けており後席でも操縦可能らしい。


余談ですが今回は自分にとって初めての一眼レフでの実戦経験であり、2種類のレンズ
(近距離用の18-135mmと遠距離用の70-300mm)を交換しながら撮影したんですが
70mmって画角が狭いんですね。地上展示機が上手くフレームに収まりませんでした。
なので繁茂にレンズを交換してました。雨が降ってなかったのが不幸中の幸いですね。
レンズの焦点距離による実際の画角を認識した良い機会でした。今後の参考にします。


地上展示機の紹介はこんな感じです。次は格納庫を紹介します。

第2格納庫

こちらでは偵察機のRF-4EJと戦闘機のF-4EJ改、他に偵察ポッドやミサイル、エンジンなどが展示されてました。
装備やメカニズムを見学したい人向けですね。自分は時間の余裕が無かったのでじっくり見れませんでしたが・・・


RF-4EJ 第501飛行隊 67-6380号機

上述した通り偵察機のRF-4は2種類あります。「最初から偵察機仕様として製造されアメリカから購入したRF-4E」と
「元は戦闘機で空自が偵察機に改造したRF-4EJ」です。画像の機体は後者のRF-4EJです。この2種類を見分ける
ポイントとして分かりやすいのが機首下のバルカン砲の有無です。画像の機体は戦闘機の名残りとしてバルカン砲が
残されています。なので偵察機でありながら非常時には戦闘機として復帰・行動できるらしいです。すごく有能ですね。

※画像左手前に写ってるのは「戦術偵察ポッド」と呼ばれる装備です。3種類のカメラを内蔵しています。
「低高度用カメラ:KS-153」 「高高度用カメラ:KA-95B」 「赤外線暗視カメラ:D-500」の3種類です。


戦闘機らしいフォルムの偵察機

偵察機でありながら戦闘機としての能力も引き継いでるRF-4EJ。陸上自衛隊の戦闘車輌も守備範囲の自分としては
「グリーン迷彩=戦闘用」というイメージが強いのでより戦闘機っぽいです。主翼に取り付けられた増槽も雰囲気出てます。


機体中央のハードポイントに取り付けられた「長距離偵察ポッド」

「KS-146B」と呼ばれるカメラを内蔵しています。カメラの種類から別名「LOROPポッド」とも呼ばれています。
偵察カメラは専門外なので種類や性能はよく分かりませんが、巨大なレンズが如何にも偵察カメラっぽいです。

注目すべきは機体のハードポイントに装着されているという事。機体の改造を最小限に抑えつつ
外装式ポッドを取り付ける事により偵察機へと早変わりする。便利で合理的なシステムですね。


「戦術電子偵察ポッド」

レーダー波を感知し周波数や発信源を探知する装備・・・らしい。逆探知装置みたいな物と考えればOK?


「RF-4=偵察機」というシンプルな一括りの考えでしたが、こうして実機を見ると色々と新しい発見がありますね。
偵察カメラは内蔵式か外装式か、低高度用か高高度用か、日中用か夜間用かなど多くの種類がある事を知りました。
今回は詳細な性能まではチェックしませんでしたが非常に良い勉強になりました。いつか改めて勉強したい装備です。



F-4EJ改 第301飛行隊 97-8425号機

ハードポイントにはミサイルが装着され、機首のバルカン砲のカバーは開放し、コックピットの昇降ハシゴも掛かってるなど
格納庫展示ならではのちょっと贅沢な展示のF-4EJ改。時間が足りず細部をチェック出来なかったのが悔しいですね・・・

余談ですが「空飛ぶ広報室」で事前に予習した際に機体に「機付長○○○○」という風に表記してあるシーンがあり
「ホントにそんな風に書いてあるの〜?」と半信半疑でしたが、実機を確認したら本当に存在してて感動しました。
ここで改めて「機付長」という役職について調べてみたんですが、その機体の専属整備員(責任者)の事らしいですね。
航空機と言うとパイロットばかりが注目されがちですが、こうした整備員も重要なメンバーである事を再認識します。


F-4の特徴である下反角の水平尾翼など

こうして室内で展示されてるF-4は雨や風などを気にせずに見学&撮影できるのがメリットでしょうか。


コックピット周辺

飛行機好きとして、メカ好きとしてコックピットは非常に気になるポイントです。後述の第3格納庫にて体験搭乗が
あったのですが、凄まじい順番待ちでとても並んでられなかったので代わりにコチラの展示機を外からパシャリ。

シートに取り付けられてる肉厚の枕みたいな物は落下傘(脱出用パラシュート)です。こういう風に収納されてるのか・・・
そう言えばパイロットって背中に落下傘を背負ってませんね。シート側の落下傘と体をベルトで繋ぐ様な感じなんでしょうね。


空対空ミサイル(AAM)

武器マニアとしては興奮する光景です。これを見た時「おぉ〜、サイドワインダーとスパローだー」と思ったんですが
奥の黄色い弾頭のミサイルはサイドワインダーではなく国産の「90式空対空誘導弾」(AAM-3)との事でした。

・・・冒頭でも述べましたが空自のイベントには10年以上参加しておらず、ミサイルの知識も古いままだと痛感しました・・・
一応この10年間で「エースコンバット」等のフライトゲームは多少プレイしてて、現用装備の知識はそこそこあったつもり
だったんですがゲームに登場するミサイルは外国製ばかりで国産ミサイルに関する知識は完全に止まってました・・・・

手前の太いブルーのミサイルは「AIM-7M スパロー」です。アメリカのレイセオン社によって開発され
日本では三菱電機がライセンス生産してます。F-4と言えば胴体に半埋め込み式で搭載するスパローですよね。
スパローの後継で「99式空対空誘導弾」(AAM-4)という純国産のミサイルがあるんですが、外見がスパローと
酷似しておりパッと見ただけでは判別困難です。見分けるポイントとしては制御翼の大きさや形状で区別します。


「90式空対空誘導弾」(AAM-3)

「AIM-9 サイドワインダー」の後継として開発された純国産の短距離空対空ミサイルです。射程距離は約13km。
個人的にはミサイル本体よりもそれを取り付ける為のパイロン、と言うかミサイル・ランチャーの方が気になりました。
1つのパイロンに2発のミサイルを左右に並べて搭載する「ダブル・ランチャー仕様」となっています。合理的ですね。

※余談  「XASM-3」の開発と「しらね」の最期

今回、空自のイベントに参加するにあたり「XASM-3」の開発状況が気になってました。
新型の空対艦ミサイルである「XASM-3」は2016年度内の開発完了を目指しており
海自のヘリコプター護衛艦「しらね」を標的艦にして試射を行う予定との事です。なので
「XASM-3の試射は何時なんだ!?=「しらね」が沈むのは何時なんだ!?」
という事が非常に気になっており、「空自のイベントに行けば何か情報が得られるかな?」と
期待してたんですが特に何もありませんでした。ネットで調べても詳細な情報は見つからず。

海自ファンの自分としては
一体「しらね」は何月何日に、どこの海域で、船体のどの区画に被弾し、
被弾から沈没までの時間やダメージの拡大はどんな感じだったんだ?

という点が気になりますね。

空自に新型ミサイルが誕生し戦力が強化されるのはファンとして喜ばしい事ですが、
それと引き換えに海自の名艦が犠牲になるという悲しい現実に矛盾を感じています・・・


20mm機関砲弾

何百発と並んだM61バルカン用の20mm機関砲弾。武器マニアとして、そして輜重兵として興奮する光景ですな。


カッタウェイ

20mm弾はイベント等で結構見る機会がありますが、こういうカッタウェイは珍しいですね。
歩兵が使う小銃用の5.56mm弾などに比べれば圧倒的に大きな弾頭の20mm弾ですが
内部には信管や炸薬がビッチリ詰まってる構造で結構キツキツなんだなーという印象です。


「チャフ」と「フレア」

「フレアは激しく燃える熱源体で赤外線ミサイルを欺くための物」、「チャフは金属箔をばら撒いてレーダーを欺く物」
という基本的な知識は持ってますが、どちらかと言えば地味な装備なのでついつい忘れがちになってしまいますね。
なのでこうして現物を展示してもらえるとその存在理由や価値を再認識させてくれます。実際の空中戦においては
戦闘機の機動のみでミサイルやレーダーを振り切る事は困難なのでこれらのは重要な回避手段となっています。


パイロットスーツと関連装備
 
自分は一応”陸軍系”のコレクターなので迷彩服やヘルメット(防弾)、マガジンポーチなどにはそこそこ詳しいですが
航空機のパイロットの服装や装備は専門外だと改めて痛感しました・・・ 機能や構造が分からない装備が多いです。
例によって時間が無くて写真を数枚撮った程度なので詳細は未確認。今後改めて学習したいカテゴリーの装備です。


F3-IHI-30

「F3-30」というジェットエンジンでT-4などに搭載されています。製造はIHI(石川島播磨重工業)です。
自分はメカ好きという風に書いてますがジェットエンジンのメカニズムは未だに理解してない部分が多く、
性能諸元を見ても分からない部分が多いですね・・・ とりあえず「1Lの燃料で400m飛ぶ」との事です。


J79-IHI-17

F-4のエンジンとしてお馴染みのJ79です。凄まじい轟音を発する凶暴な暴れ馬です。F-4の見学が
目的の自分としては本来ならばじっくり観察&勉強すべき物なんですが、時間の余裕が無かった事と
聖博物館に行けば気軽に実物が見れらるからいっかー」という事で細部はチェックしませんでした。


第3格納庫

コチラではF-4の体験搭乗や各種救難機器の紹介が行われていました。


F-4EJ改 第301飛行隊 57-8366号機

F-4のコックピットに搭乗出来るという事で大人気のコーナーとなっていました。
自分も是非乗ろうと思ったんですが、75分待ちとの事なので諦めました・・・


F-4EJ改 第302飛行隊 87-8408号機

こちらのF-4も体験搭乗機です。当然こちらも大人気。2機のF-4が多く人に夢と感動を与えていました。

余談ですが機首のレドーム後方に「睨みつける眼の様なペイントアート」があるのが分かりますか?
実はこれ、隊員さんが即席で張り付けたビニールテープ製の眼です。記念すべき体験搭乗だからか
メイクアップしてました。こういうサービスは良いですね。(途中で剥がれて直してた様子も微笑ましい)


ヘルメットやベストなど

外国の戦闘機映画などを見ると派手なマーキングのヘルメットが多いですが空自の物は控えめですね。
隊内での服装や規律を重んじる自衛隊ならではかな? それでも格好良い事に違いはありませんが。

そう言えばサープラス的な意味で「パイロットヘルメット」ってあまり見ないですね。ヤフオクやミリタリーショップを探すと
売ってますが数が少ない上に値段も高いです。自分はコレクターとして陸軍系のヘルメットをいくつか所有してますが、
それらは鉄やケブラー製の防弾仕様です。なので航空機パイロットのヘルメットは根本的に異なる世界のアイテムですね。
航空機好きとしてはいつかパイロット用のヘルメットも欲しい所です。(あ、でも帝国陸軍の航空頭巾なら持ってます!)


救難機材の紹介

救難機材、と言うか冬山登山の道具ですね。救難隊は冬山で行動する事もあるのでその為の機材みたいです。



完全防寒装備のマネキンや訓練風景の紹介など。自分は長野県人なので冬山の過酷さはよく分かりますねー・・・
写真では水中、山岳、夜間など様々な環境での訓練風景が紹介されています。改めて救難隊の凄さを実感します。


負傷者を運ぶストレッチャーなど

「救難展示でUH-60Jがウインチで吊り上げていたのはコレかー」みたいな感じで実物を見ると理解が進みますね。



その他 展示品の紹介

KC-767J(87-3601号機)   C-130H(85-1080号機)   U-4(05-3255号機)

この辺はとりあえず写真を撮っただけで詳細はチェックしませんでした・・・


何と格納庫には最新鋭ステルス戦闘機のF-35A(69-8701号機)が!

F-4の後継機として採用が決まってるF-35A。来年2017年に青森県の三沢基地に最初の機体が配備される予定ですが
ここ百里基地には一足早く配備された模様。首都圏防衛の要と言われる基地だけあって優先的に配備が進んでますね!


81式短距離地対空誘導弾

陸自の駐屯地祭でもよく見る装備なのでちょっと新鮮味に欠けるかなーとも思ったり。
空自における防空装備の位置付けとしてはVADSより1ランク上の装備という感じです


VADS

ulcan ir efense ystem」の頭文字を取ってVADS(バッズ)と呼ばれています。すごくシンプルなネーミングです。

20mmバルカン砲(M61)とレーダーやコンピューターを組み合わせた半自動式の対空機関砲です。
能力や用途的には海上自衛隊の「ファランクス」と似ていますが、違いもかなりあるので見ていきましょう。


牽引式の本体

VADSの最大の特徴がトラックで牽引可能でどこへでも移動・展開が可能という点です。これはかなり便利ですね。
ちなみに自重は約1800kgで民間のキャンピングトレーラー並なので管理人の某国産ワゴン車でも牽引可能です。
動力については小型のエンジンを搭載しており、自力で発電してバッテリーに蓄電してから電動で作動するらしいです。

対して海自のファランクスは甲板への固定が基本です。なので設置場所的に移動不可です。(と言うか艦自体が動く)
そして自重は約6200kg。VADSの3倍以上もの重量ですがこれは全体のシステム構成が理由です。詳しくは後述。
動力については艦から直接電力の供給を受けられるので長時間の作動でも安心です。(艦が停電すれば駄目ですが)


基本は人力による半自動照準・射撃

VADSの弱点とも言えるのが人力による半自動照準です。隊員が本体に搭乗し照準・射撃を行います。
別に人間が操作するから反応速度が遅いとか命中精度が悪いという事は無いでしょうが、全自動式の
ファランクスに比べると劣る部分はあると思います。ただ「人間による適切な判断」という点では有利そう。
左側面の箱は20mm弾のマガジンで装弾数は500発との事です。500発ってのは少なくて不安ですね。
そして展示射撃で見せた通り射撃後に空薬莢を派手にばら撒くので後片付けが大変なのも地味にデメリット。

対して海自のファランクスはコンピューター制御による完全自動作動です。ケースバイケースだと思いますが
ミサイルや航空機が飛び交う戦場では人間の処理(照準)が追いつかないので、コンピューターの判断による
自動照準・射撃の能力を持つファランクスの方が戦場には適した装備なんじゃないかなーとも思ったりします。
ファランクスの装弾数は約1500発です。VADSの3倍もあり安心ですが重量増加の原因ともなっています。
そして空薬莢は射撃後に再びドラムマガジンに回収されるので散らかりません。(結局後で処理しますが)


射撃をサポートする各種機器

VADSは基本的に人力操作ですが画像に写ってる各種機器が照準と射撃をサポートします。
左の丸い皿状の物が測距レーダー「JAN/VPS-2」、中央(バルカン砲の上方)が目視照準装置、
右のロボットの頭みたいな物がリードコンピューティングサイト(赤外線暗視装置を内蔵?)です。
あれ? 「捜索レーダー」は未装備? もしかして目視で照準?
色々と情報収集してみたんですが、どうも目標の捕捉は目視みたいです。えぇ・・・?(困惑)
目視での照準に加えコンピューターによる補佐(標的までの距離など)を受けつつ射撃するみたいです。

対して海自のファランクスは何度も述べてる通り完全な自動式です。あの白いレドームの中に
捜索レーダーと追跡レーダーが収納されており標的を補足して自動で射撃します。最近では
赤外線センサーを装備したブロック1B型の搭載が進み、手動での射撃管制にも対応します。


こんな感じでVADSとファランクスの性能や運用方法を比較しましたが、それぞれ一長一短があり
どちらが優れてるとかは決められないですね。(ただ海自ファンの自分としてはファランクス派です)


20mm機関砲弾(ダミー)

VADSとファランクスの違いを述べてきましたが弾は同じ20mm弾を使用します。空海共に仲良く使いましょう。
20mm弾及びM14A2ベルトリンクについてはダミーカートをコレクションしてるのでそちらで詳しく紹介します。


後方支援車両など

消防車、燃料補給車、クレーン車、トレーラーなど多種多様な作業車がズラリ。航空機のベストな運用をサポートします。


「大型破壊機救難消防車 A-MB-3」

重力に逆らって空を飛ぶ飛行機は非常にシビアな乗り物であり、些細なトラブルでも大きな事故に繋がる事があります。
なので航空機事故などの際に真っ先に現場に急行して消火・救難作業を行う消防車は重要かつ必要不可欠な存在です。
画像の車両は最新の現行型であり高性能な装備・機能が満載らしいです。(と言うか曲面フロントガラスがスゴく前衛的)


迷彩作業服

今回の航空祭での目的は主なF-4ですが、それ以外でチェックしたいと思っていた装備がこの「空自迷彩」です。
軍装品コレクターとしては「世界各国の迷彩服」も興味の対象であり、是非実物を見学したいと思っていました。

・・・そう、見学したいと思っていたんですがF-4の見学&撮影に夢中になってしまい空自迷彩のチェックは疎かに。
帰宅後に撮った写真を確認しても数枚程度・・・ という訳で数枚の現地写真に加えネットで改めて情報を調査。

空自がこのデジタルドットパターンの迷彩服(作業服)を採用したのは2009年頃らしいです。
それ以前は陸自の迷彩服1型(熊笹迷彩)の色合いを独自に変更した物を装備していました。
今回実際に基地を見学して感じたのが空自迷彩の普及率高いな!という事。 
空自(と海自)は正面装備の調達が優先され、こういう後方装備の調達は遅いと思ってたので。

迷彩服(作業服)以外の装備品についてですが、写真の隊員さん達(整備員)は腰回りに
各種工具を収納したポーチを多数装備しています。如何にもメカニックというスタイルです。
※余談ですが旧型弾帯(金属製の凹凸バックル型)を装備してる隊員さんを見かけました。
総火演の時もそうですが、古い装備を長年使い続けてる隊員さんが結構いるんですね。

という訳で空自迷彩を軽く紹介しましたがこれだけでは説明不十分です。なので軍装品コレクターとして
「実際に空自迷彩を入手して細部をもっとチェックせねば!」と思いネット検索すると意外と売ってますね。
当然これらはレプリカでしょうが軍装品コレクターとしては非常に価値のある資料です。いずれ入手予定。



「基地紹介編」                 「展示飛行編」

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