平成28年度 富士総合火力演習
2016.8.28
今回は陸上自衛隊における最大・最強のイベントとして名高い「富士総合火力演習」(通称:総火演)のリポートをお送りします。
富士総合火力演習に参加するのは2010年以来、実に6年ぶりです。通算参加回数としては11回目(?)になります。
何で前回から6年も間が空いたかと言うと過去に何度も参加してたので演習内容が既知で新鮮味が無かった為です。
しかし流石に6年も経てば装備や戦術も変わるので陸自の最新の作戦行動能力をチェックする為に今回の参加を決めました。
それと過去何度も総火演に参加したのは事実ですが、当時は殆ど写真を撮らなかったので記録資料作成という意味もあります。
それでは今回のスケジュールについて説明したいと思います。今回のルートとしては27日の22:00頃に自宅を出発。国道20号や国道137号、
山中湖などを通った後に須走の道の駅で休憩し02:30頃には会場に到着。ここで相方を一旦現地に降ろし、入場待機列に並んでもらいます。
その後03:00頃に近隣の駐車場に車を停め少し仮眠した後に自分も会場に向け出発。
真っ暗な道をライトで照らしつつスマホのGPSナビを頼りに歩いていたんですが
途中で転倒して負傷するというアクシデントが発生。
暗くて道がよく見えなかった事とながらスマホが原因で側溝に足を踏み外し転落。
顔や手を怪我してしまいました・・・ イベント開始前から既に戦傷発生ですよ・・・・
04:35頃に会場に到着
見ての通り現地は真っ暗です。うん、これは途中で事故っても仕方がない状況だな!(←言い訳)
余談ですが会場を往復するタクシーの数が半端無かったです。総火演というビッグイベントならではの特需ですね。
この後現地に先行してる父親と合流。この時の会場は中々カオスな状態になってて
待機列という物が形成されておらず、参加者はみんなバラバラに待機してる状態。
中には小型テントで野営してる猛者までいました。参加者にとっても戦場ですね。
05:35頃の様子
ご覧の通り凄まじい人混みです。総火演が年々プレミアイベント化してる事を表しています。
ちなみにこの待機中に先程の傷の処置を実行する事に。水で洗浄したり
ティッシュで拭いたりしてたんですが所詮素人の処置なので限界があります。
すると近くにいた隊員さんが親切に救護所まで案内してくれました。
特設救護テントと1トン半救急車
このテントの中で傷の処置をしてもらいました。傷口を消毒したりガーゼで覆ったりと実に手際の良い治療でした。
傷の手当てをしてくださった衛生科の隊員の皆様
及び救護所まで案内してくれた普通科(?)の隊員様
本当にありがとうございました。
それにしても過去何十回と自衛隊イベントに参加してますが
救護所(衛生科)にお世話になったのは今回が初めてですね。
今後は衛生科の業務や装備についてもっと深く理解してみたいです。
それと今回の1件で「個人携行衛生キット」の重要性も再認識しました。自分は一応ミリタリー愛好家なので
普段から絆創膏、毛抜き、ミラーなど簡易的な応急装備を持ち歩いているんですが、今回の負傷には
まともに対処出来ませんでした。今後は想定されるケガの種類とそれに合った装備を整えたいです。
こうして無事に治療が完了。06:30になり会場への入場が開始されます。
07:00頃の会場の様子。入場者は先着順にスタンド席最上段から詰めて案内されます。
今回自分達はEスタンド席の下から4〜5段目に案内され席を確保。そんなに悪くないポジションです。
平成28年度の富士総合火力演習のチケット及びパンフレット
6年ぶりに手にするチケット&パンフレットに気持ちが昂ります。
今年度のキャッチコピーは「日本の本気。」だそうです。
こうして06:30から入場を開始した訳ですが、それと並行して演習部隊による
点検射撃(通称:点射)が行われ、戦車の主砲や機関砲の豪快な発射音が
早朝の静寂を引き裂き、戦場の空気をビリビリと震撼させてさせていました。
本番前の練習とは言え普段目にする事が出来ない貴重な実弾発射の時間です。
以下では点射の様子を紹介しています。今回の総火演の写真撮影においては
・三脚を持参し撮影時の姿勢を安定させる。
・連写モード(10コマ/秒)を駆使し発射の瞬間を捉える。
個人的にはこの2点に重点を置きながら撮影に臨みました。
「120mm迫撃砲 RT」
結構な望遠撮影だったので画質が荒いですが、砲弾が飛び出す瞬間を捉える事が出来ました。
迫撃砲は「砲弾の投入」という事前動作があるので、発射の瞬間を捉えるのは比較的容易ですね。
96式装輪装甲車から展開する隊員達。
どんなに装備の機械化(自動化)が進んでも最終的に戦場を駆けるのは歩兵(普通科)です。
戦場を制圧すべく迅速に降車、展開していました。エネルギッシュに動ける体が羨ましい・・・
「89式装甲戦闘車」
35mm機関砲と重MATという重武装を誇り、7名の普通科隊員が同乗可能という色々と欲張りな装備。
全国の部隊にそれなりに配備されてるのかと思ってましたが、調べたら生産数は68両のみというレア装備でした。
個人的に見逃せないのが「前輪駆動」という点。車体前部左側に600馬力のエンジンを搭載し前輪を駆動させます。
90式戦車など一般的な無限軌道車輌は後部エンジン・後輪駆動なのでそれらと正反対な構造なのが面白いです。
「155mmりゅう弾砲 FH70」 & 「87式砲側弾薬車」
FH70についてはお馴染みの装備なのでここでは割愛します。注目したいのは「87式砲側弾薬車」です。
一昔前の装甲車みたいな外見をしたこの車両。「203mm自走りゅう弾砲」の弾薬の運搬を目的とした装備です。
画像には写ってませんが右側に203mm自走りゅう弾砲が展開しており、砲弾及び装薬を供給していました。
「AH−64D アパッチ・ロングボウ」
30mmチェーンガンを射撃中の様子。ポロポロと排莢される薬莢とかガンマニアとしてはとても興奮しますな。
個人的に注目したいのがメインローター&テールローターの翼端に発生している円です。
この円の正体について調べてみると正式名称は「ヴェイパー現象」というらしい。
ローターの回転によって翼端の空気圧が下がり、空気中の水分が凝結して起こる現象らしい。
点射の終了後、「地雷探知機画像型」により地中を探査する施設科(?)
地中に埋まった薬莢とか破片を回収してる所でしょうか? 本番前の現場清掃も大事な仕事ですね。
「地雷探知機画像型」については2015年の松本駐屯地祭で見学しましたが専門外なんで詳細不明。
性能としては電波と磁気による検知方式で対象物を「画像」で見られるらしい。ちなみに川崎重工製。
標的の交換・整備など
この土手には過去の演習にて何百発という砲弾が撃ち込まれてる訳ですが、
それらの砲弾って全部掘り起こして完全に回収されてるんですかね・・・?
整地作業で活躍する施設科の装備達
戦車や自走りゅう弾砲など各種装備の走行によって凸凹に削られた地面を整地する施設科の車輌達。
本日は曇り(多湿)なので必要ありませんが、晴天時は砂埃を抑える為に散水車が水を撒いたりします。
音楽隊による演奏
音楽隊は陸・海・空それぞれに存在しますが「迷彩服で楽器演奏する陸自」はやはり独特の見栄えになりますね。
こうして点検射撃も終了し暫くフリータイムとなったので朝食を食べたり「ポケモンGO」をプレイしながら時間をつぶします。
コンパスで方位を確認
何気なく持参したレンザティックで方位をチェック。折角なので電子コンパス(トルク G01)との比較も。
指標としては自分が座ってるEスタンド席に対し富士山及び標的台は北北西(330度くらい)でした。
トルクが241度、レンザティックが約265度を指していますがどっちが正確なんでしょうか・・・?
レンザティックは2014年の富士学校PXで買った物ですが未だに使い方を勉強してないですね・・・
今回は富士山あり標的あり各種装備品ありとコンパスを試すには良い環境だっただけにちょっと残念。
売店で買い物
最近のブームがワッペン(記念品)集めです。その場所でしか買えない物とか当日の日付け入りの品を集めています。
今回は総火演2016限定ワッペンを買おうと思ってたんですが早々に売り切れに。行動を起こすのが遅かったと後悔。
と言うか痛ワッペン増えたねー。写真の様に木更津駐屯地の痛コブラとかが大きくプッシュされてました。
自分は元アニオタだし現在でもストライクウィッチーズ等は好きですが、現実の国防組織である自衛隊と
サブカルチャーがここまで大々的にコラボするのは如何かと・・・ まぁ本人たちがノリノリならOKですけど。
他に気になるグッズとしては弾帯3型とか。現役の陸自隊員さんが装着してるのと同じモデルです。
コレクションとして欲しかったんですが、5000円と結構高価で悩んだ末に結局購入しませんでした。
※余談ですが会場内にて弾帯2型(別名:91式弾帯)を装着してる隊員を見かけました。
本来ならかなり古い装備なのであの隊員さんは長い間大切に使ってきたんでしょうね。
会場前の道路とか
夜明け前の真っ暗な時間帯からこの道路を自衛隊車両、民間車両がバンバン通行し会場に人が集まってた訳です。
自分の記憶だと過去の総火演ではこの道路に特設の歩道橋が架けられ、奥の森の空き地が
シャトルバスの停留所として使われていましたが、今回は自衛隊車両の駐車場になってます。
総火演は自衛隊員・民間人合わせて3万人近い人が集まるので駐車場確保も大変です。
偉い人達を乗せた車がご到着 (09:55頃)
稲田防衛大臣とか岡部幕僚長とか御殿場市長が乗ってたっぽい? 自分は現場派の人間だから自衛隊上層部とか
政治家はあんまり関心無いかなー。それと稲田防衛大臣と言えば潜水艦「こくりゅう」の甲板の上をハイヒールで歩き
吸音タイルをグリグリやった人だね。一応国防のトップに就いてる人なんだから装備品の扱いには気を付けてほしい。
それではいよいよ演習が始まります。演習は「装備品紹介の前段」と
「模擬演習の後段」に分かれていますのでそれぞれに分けてご紹介します。
「前段演習編」 「後段演習編」
イベント一覧へ戻る