三沢基地 航空祭 2018 「装備品展示」
2018.9.9


このページでは三沢基地航空祭で展示された航空機・車両・装備などを紹介しています。日米が先兵が集う「北の槍」には何があるのか? それを追ってみたいと思います。


エプロンに展示されるF-16とF-2

人生で初めて三沢基地を見学した自分としては三沢基地はF-16とF-2の聖地じゃないか!というのが第一印象でした。
開発経緯も設計思想も運用者も全く異なりますが、よく似た異兄弟の2機種が極東の北の大地で共闘している状況に運命的なモノを感じますね。


三沢基地におけるアメリカ空軍の主戦力であるF-16 (#91-0357)

高性能だけど高価格で調達が難しいF-15との「ハイ・ローミックス構想」の末に軽量で安価な戦闘機として開発されたF-16。
三沢基地には第35戦闘航空団が駐留し、「第13戦闘飛行隊」と「第14戦闘飛行隊」の2つの部隊がF-16を運用しています。


軽量戦闘機に課される重要な任務と侮れない戦闘力

開発された経緯の関係で性能的にはF-15に劣りますが段階的なバージョンアップを繰り返し今も最前線で活躍している名戦闘機であるF-16。
三沢基地のF-16は「Wild Weasel/狂暴なイタチ」と呼ばれ、敵基地のレーダー施設などを破壊するSEAD(敵防空網制圧)が主任務です。
SEADは危険な任務であり、それを成功させる為に数々の特別装備が存在します。展示されたF-16は対レーダーミサイル等を装備してました。


F-16をベースとし対艦攻撃能力を重視して開発されたF-2A (#43-8524)

F-1支援戦闘機の後継として空対艦ミサイルの搭載を重視して開発されたのがF-2です。F-15JやF-4EJと並び航空自衛隊を代表する戦闘機ビッグ3の一角です。

航空祭でよく見るお馴染みの戦闘機ですが意外にもホームベース(所属基地)が偏っており、戦闘飛行隊としては三沢(青森)と築城(福岡)という両極端な2ヶ所のみ。
他には操縦訓練過程を行う松島基地(宮城)、技術研究を行う岐阜基地など数ヶ所程度です。それだけにホームベースであるここ三沢基地での姿はしっくり来ますね。


数奇な運命の末に邂逅する異兄弟

1980〜90年代にかけてF-1支援戦闘機の後継機である「FS-X」開発に関する計画が浮上します。当時は国産にするか、海外の完成品を購入するかなど大きな議論となりました。
最終的には技術的・政治的な問題から日米共同開発という事で合意しF-16をベースにF-2が誕生したのはご存知の通りです。政治と軍事は表裏一体という事を示す一例でしょうか。
絶対アメリカの圧力なんかに負けたりしない! → アメリカの圧力には勝てなかったよ・・・ という経緯で開発されたので形状はF-16と似てますが中身は全くの別物(魔改造とも)です。
日本独自の運用思想が詰まったF-2はオリジナルのF-16とは異なる魅力を放っています。F-16とF-2を同時に見学出来る三沢基地は航空ファンにとっては勉強になる場所ですね。


F-2B (#43-8125)                                               F-2B (#23-8112)
 
上述の通りF-2を戦闘機として運用しているのは2018年9月時点で青森県の三沢基地と福岡県の築城基地のみです。そしてここ三沢基地に展開しているのが
第3航空団第3飛行隊です。(3が続いて紛らわしい・・・)  306(小松)とか501(百里)といった”3桁台の飛行隊”はよく見ますが、
1桁台の飛行隊”って自分にとっては新鮮ですね。第3飛行隊は1956年(昭和31年)に編成され、戦闘飛行隊としては現在では最も古い飛行隊らしいです。


F-2A (#03-8559)                                               F-2B (#83-8133)
 
F-2はかつて「支援戦闘機」(攻撃機)という区分でしたが、航空機の任務の多様化などを考慮して2000年代中盤頃に「戦闘機」へと格上げされました。(←やったね!)

そして単座のA型(画像左)と複座のB型(画像右)がありますがキャノピーの形状以外ではパッと見で区別が付かないですね。(他にも見分ける箇所があるらしいですが)


2機のF-2A(#63-8534 & #63-8539)によるスクランブル
 
2機のF-2Aがスクランブル発進のデモンストレーションを実施! (と言っても今回は展示飛行が全て中止となったので滑走路をタキシングしただけですが・・・)

自分が住んでる長野県周辺だと「スクランブル=小松基地のF-15」という印象なので、三沢のF-2スクランブルは東北エリアの防衛体制の勉強になりますね。


格納庫前で展示されるF-2A (#03-8506)

時折強い雨が降る悪天候にも関わらず、雨具も身に着けずに丁寧にそして熱心に愛機であるF-2の機体説明をしていたパイロットの姿が印象的でした。


いや〜、それにしても右も左もF-2ばかりですね。ここら辺で本日の航空祭に参加したF-2をリストアップしてみたいと思います。
F-2A#63-8539スクランブル
F-2A#63-8534スクランブル
F-2A#43-8524エプロンでF-16と並んで展示
F-2A#03-8559エプロンで展示
F-2B#23-8112エプロンで展示
F-2B#83-8133エプロンで展示
F-2B#43-8125エプロンで展示
F-2A#03-8506格納庫前で展示(パイロットによる解説付き)
F-2A#63-8538格納庫でF-16と並んで武装展示
F-2A#13-8517格納庫でコックピット展示
F-2B#43-8128格納庫で翼上ウォークを実施
F-2A#63-8537格納庫で展示・パイロット装備の試着など
今回は12機ものF-2を確認・見学する事が出来ました。冒頭でも言いましたが三沢基地はF-2の聖地ですね。


航空自衛隊のF-2A(#63-8538)とアメリカ空軍のF-16(#92-3887)が仲良く並んで展示
 
オリジナルのF-16と進化形であるF-2が並んで展示され違いを比較出来る点は勿論ですが、それぞれの機体の後方に相手の国旗が掲げられ親密な日米同盟を表現するという演出が良かったです。


航空自衛隊で運用されているミサイルなど
 
93式空対艦誘導弾(ASM-2)、GBU-54(LJDAM)、90式空対空誘導弾(AAM-3)などが展示。F-2の任務の性格上、空対艦ミサイル(ASM)系が際立って見えましたね。


アメリカ空軍で運用されているミサイルなど
 
AIM-9サイドワインダー、GBU-10ペイブウェイ、AGM-158JASSMなどが展示。やっぱりアメリカ軍はミサイルの種類もバラエティー豊富ですね。
三沢のF-16はSEAD(敵防空網制圧)が主任務なのでAGM-88(HARM/ハーム)といった対レーダーミサイルを装備・取り扱ってるのも特徴です。

空自のミサイル等は基地祭で見学する機会が多いですが、アメリカ軍のミサイル類は中々見学する機会が無いので今回の展示は勉強になりますね。
・・・と言うか自分の知らない兵器が結構あって知識不足を痛感しました。久し振りに「エースコンバット」とかプレイして種類や用途を勉強すべきかな。


JDAMをパイロンに装着するデモンストレーション
 
実機のパイロンにJDAMを装着するデモンストレーションを行うなどアメリカらしいパフォーマンス性に溢れた演出で観客を楽しませていました。(空自もこれくらいやってくれれば嬉しいですが・・・)


触って楽しむF-2体験コーナー
 
別の格納庫ではF-2のコックピットの一般公開が行われたり、ユニークな催しとしては「主翼の上を歩く」(※子供限定)という企画も行われておりF-2の魅力を発信していました。


パイロットと整備員、キミはどっちを選ぶ?
 
こちらではパイロットの装備品(ヘルメットやベスト等)の試着が行われていたり、F-2の心臓部であるF110エンジン等が展示。パイロットと整備員を疑似体験出来るかの様なコーナーでした。


13th Fighter Squadron (第13戦闘飛行隊) 「Panthers」
 
第35戦闘航空団を構成する主力2部隊の内の1つがこの13FS(第13戦闘飛行隊)です。F-16を装備・運用し、AGM-88等を用いて敵基地レーダーサイトを破壊するSEADが主任務です。

三沢基地には何十機ものF-16が配備されている訳ですが、1機ごとに細かい違いを見比べるのも航空機の楽しみ方の1つです。画像の機体の垂直尾翼を見ると機体番号#94-0038号機、
WW(Wild Weasel)、13FSを示す赤いチップ、パーソナルマークのパンサーのイラスト等の情報が読み取れます。13で識別カラーが赤でパンサーなので「レッドXIII」と覚えれば分かりやすい。

そしてカメラを向けると笑顔でポーズを決めてくれたナイスガイなパイロット達。フライトスーツのワッペンを見ると左と中央の2人は13FSのパイロット、右の人は14FSのパイロットみたいです。
よく見ると独特の手のポーズですがそれぞれのパーソナルマークである「パンサー」と「鎧兜」を表現してるみたいです。ほぇ〜、芸が細かいですね〜。洒落たサービスをありがとうございました!


三菱・デリカ 13FSカスタム
 
傍らに13FS仕様にカスタムされたデリカ(3代目)を発見。この懐かしい角型ボディと年季を感じさせる適度なボロボロ具合がGood。デリカと航空機が好きな人には堪らないカスタムだな。


14th Fighter Squadron (第14戦闘飛行隊) 「Samurais」
 
上述の13FSと双璧を成すのがこの14FS(第14戦闘飛行隊)です。連番になってるので覚えやすいですね。こちらも同じくSEADを主任務としています。垂直尾翼を見ると機体番号#90-0825号機、
WW(Wild Weasel)、14FSを示す黄色いチップ、そして在日米軍基地の所属を象徴するかの如くパーソナルマークは日本のサムライ(鎧武者)となっています。親日感を感じさせてくれる部隊ですね。


航空自衛隊の未来を担う最新鋭ステルス機・F-35A

それではいよいよやって参りました。本日の三沢基地航空祭において最も注目の装備品展示と言えるF-35A(#89-8709)を紹介したいと思います。
F-4EJの後継機を決める「F-X計画」に始まり、長い議論の末に2011年末に採用が決まったのがこのロッキード・マーチン(他) F-35 ライトニングUです。

F-35シリーズを見学するのは2017年の岩国フレンドシップデー以来ですね。岩国の機体は海兵隊向けのSTOVL機能を備えたB型でしたが、三沢の機体は
通常(CTOL)仕様のA型となります。(とりあえずは空自がA型を運用する訳ですが、今後の防衛戦略が変化すれば海自がB型を導入する可能性もありますね)


航空自衛隊にとって初のステルス戦闘機

先のF-X選定において「ユーロファイター」や「スーパーホーネット」等の他候補を破って採用されたF-35A。長期的運用や拡張性を考えると最新機種を選んだのは賢明な判断かと。

日本向けの生産・配備に関する情報としては初号機〜4号機までがアメリカのフォートワース工場で製造、5号機以降は三菱重工・名古屋航空宇宙システム製作所で製造されます。
そして2018年1月26日、国内生産2号機である「AX-6」(通算6号機)がここ三沢基地に到着。新たに第3航空団飛行群 臨時F-35A飛行隊が編成されます。
そしてアメリカ製造分の4機+名古屋で製造された5号機が訓練プログラムを終え三沢基地に飛来・合流。更に国内生産分の7号機以降も順調に配備が進み、2018年9月現在、
三沢基地には9機のF-35Aが配備されています。画像の機体は#89-8709で通算9号機です。予定では18年度内(?)に10機体制になる見込みです。

そして2018年末には現在百里基地に展開している「第302飛行隊」のF-4EJ改が全て退役し、代わりにF-35Aが配備されて新しい「第302飛行隊」が編成される予定だそうです。


ステルス性性を追求したボディ

F-35はA・B・Cの3タイプがありますが、基本的な機体構成は共通なので「岩国で見たB型とほぼ一緒かなー と言うか格納庫内展示だから暗くて見栄えしないな・・・」とも思ったり。

機体のフォルムがよく似たA型とB型ですが細かな違いもいくつかあります。その1つが左主翼付け根付近のもっこりした部分です。ここにはA型の独自装備である「GAU-22/A」が
内蔵されています。AV-8B ハリアーUでお馴染みの25mmガトリング砲「GAU-12 イコライザー」を軽量化したモデルです。今後の航空祭で展示されるのが楽しみな機関砲です。


結構ずんぐりむっくりした胴体

アメリカ・イギリス・オーストラリア・イタリアなどが共同で開発に関わり、戦闘機や攻撃機の用途を統合させた「Joint Strike Fighter計画」として開発されたF-35。
VTOL機能が欲しい、武装を内蔵式にしてステルス性を高めたい、空母で運用したいなど各国の要求を実現しようとした結果、機体サイズは大型化し現在の姿に。
確かにずんぐりむっくりした機体ではありますが、各国の要求(特にVTOL機能)を全て実現させようとするとこの位のサイズ・形状になるのは当然かと思いますね。


A型とB型の最大の違いがエンジンノズル

空軍向けのCTOL仕様の「A型」と海兵隊向けのSTOVL仕様の「B型」の大きな相違点の1つがこのエンジンノズルです。B型はノズルが下方に90度折れ曲がり
機体中央にリフトファンを内蔵していたりと複雑なSTOVL機能を有していますが、A型は従来の航空機とほぼ同じシンプルな構造となっており整備性も高そうです。

※今回のF-35Aの展示では機体が格納庫の壁寄りに置かれ真後ろと左側面が見学出来ませんでした。いつか青空の元で全方位から見学・観察したいですね。


ステルス機の必須構造である内蔵式ウエポンベイ

ステルス機の性能を最大限に発揮する為にはレーダー反射面積(RCS)を極力減らす必要があり、その為にミサイル等の武装は機内に格納する様に設計されています。
F-35Aの内蔵式ウエポンベイは左右に2ヶ所あり、内部にはハードポイントが2ヶ所ずつ在るので合計4発のミサイル(爆弾類)を内蔵・搭載出来ます。この内蔵式ウエポン
ベイ以外にも主翼下などに通常のハードポイントが7ヶ所備わっており、ステルス性を犠牲にして搭載量を優先する場合は11ヵ所のハードポイントに兵器を搭載可能です。

個人的に心配なのが99式空対空誘導弾(AAM-4)の適合性です。F-35の内蔵式ウエポンベイはAIM-120(アムラーム)などアメリカ製のミサイルの搭載を前提に設計
されているので、日本独自のミサイルである99式空対空誘導弾が装着・格納出来ない可能性があるとか言われてましたが・・・ あの問題って結局どうなったんでしょうね?


こんな感じでF-35Aの見学はとりあえず終了。展示飛行が中止になったり詳細な部分が非公開だったりと何かと制限の多い見学でしたが非常に価値ある見学となりました。

と言うか航空自衛隊の新しい歴史が始まる瞬間に立ち会えた事が光栄です。自分と航空自衛隊との付き合いにはかなりの「空白期間」
があり、本格的に航空祭へ参加(復帰)を始めたのはここ数年の事です。そしてその間に多くの航空機が退役し、複数の飛行隊が改編・消滅してしまい、航空ファン人生を
有意義に過ごせなかったと後悔してる部分もあります。なので今回の見学は「F-35という新しい航空機(飛行隊)と共に歩む第2の航空ファン人生」の始まりでもあります。



RQ-4 グローバルホーク  (#09-2037 & #10-2044)
 
無人機と言ってもかなりデカイな! 大型ラジコン位かと思ってけど他の一般的な航空機とほぼ同じ大きさじゃねーか!
グローバルホークは初めて見ましたが予想以上の機体サイズに驚きました。無人機なのに人が乗るスペースが有りそう。そして機首の形状がエイリアンっぽくてちょっと気持ち悪い気も。

本来の配備基地はグアムのアンダーセン基地ですが台風シーズンを避ける為に三沢に暫定的に配備されています。(周辺諸国の動向次第では三沢に正式配備される可能性もある模様)


無人偵察機ならではのユニークな機体
 
高度約2万mを飛行し合成開口レーダー等を駆使して地上を偵察するグローバルホーク。高高度で揚力を確保する為の異常に長い主翼や機体下部に偵察機器を装備する関係で
機体上部に取り付けられたエンジンなどユニークな設計が目立ちます。パイロットが乗らない(人体への影響を考慮する必要が無い)無人機だからこそ実現したデザインでしょうか。

そんなグローバルホークですが空自でも導入が確定しており2019年に三沢基地に配備される予定です。F-35Aと同じく航空自衛隊にとっての「新しい歴史の胎動」を感じますね。


F-15J (#22-8934)                                              T-4 (#86-5769)
 
北海道の千歳基地からは第201飛行隊のF-15Jが飛来・展示されてました。青森県と北海道は親密な関係を持つベストフレンズ的なイメージなので今回の展示もしっくり来ますね。
千歳基地は遠過ぎて車や電車では遠征不可能という認識でしたが、よく考えたら松本空港から直行便で90分で行ける場所ですね。意外と近いじゃん! 今後の遠征候補基地かな。

T-4については各基地に配備されてるありふれた機体なのでとりあえず1枚撮っただけだったのですが・・・ しまった! 尾翼の雷神マーク撮り忘れたぁぁ!
臨時F-35A飛行隊(将来の302飛行隊)の部隊マークは雷神(※)であり、「三沢基地の臨時飛行隊のT-4の尾翼に雷神の部隊マークが描かれてる」という事前情報を得ていましたが
その事をうっかり失念してて「T-4なら他の基地でも見れるから・・・まぁ、全体像を1枚撮っとけばいいか」という感じで尾翼の雷神マークを撮影するのを忘れてました・・・ お恥ずかしい。

(※)格納庫で展示されてたF-35Aの尾翼にはまだ雷神マークが描かれていませんでした。現在のF-35Aは正式な飛行隊発足前の機体なので部隊マークを描けない的な事情らしい)


E-2C  (#34-3459 & #34-3453 他)
 
E-2を見学するのは今年4月の「厚木基地日米親善春祭り」以来ですね。厚木で展示された機体は360度全方向から見学出来ましたが、三沢の機体は正面からの見学のみという点が少し残念。
左画像の#34-3459号機はプロペラのブレードを従来の4枚から8枚に増やしたNP2000というグレードアップモデルだそうです。右画像の旧型(4枚プロペラ)と比べると随分印象が異なります。

小型で使い勝手が良い早期警戒機として高い評価を得ているE-2ですが、航空自衛隊が同機を導入した経緯を調べてみると1976年に起きた「ベレンコ中尉亡命事件」が関係していて驚きました。
1976年9月6日、旧ソビエト連邦空軍に所属するヴィクトル・ベレンコ中尉と乗機であるMiG-25が自衛隊の防空網を突破して函館空港に強行着陸し亡命を求めたこの事件。この一件により日本の
レーダー防空網の脆弱さが露見し、とりあえずの応急対応策として早期警戒機であるE-2Cの調達・配備が決定したとの事です。ミリタリーファンの端くれとしてこの事件の事は一応知っていましたが、
この事件がキッカケでE-2Cが導入・配備されたという経緯までは知らなかったので勉強になりました。(と言うか42年も前の事件なんですねアレ。空自のE-2にも長い歴史があるんだなーと再認識)

そして1983年よりE-2Cの配備が開始。初号機が配備されたのがこの三沢基地であり、新設された「第601飛行隊」に配備されました。E-2Cにとって三沢基地は「始まりの場所」という訳ですね。


KC-135R  (#23498)
 
ここ最近は輸送機、早期警戒機、空中給油機など後方支援系の航空機を見学して、そのメカニズムや運用方法を理解する事が楽しいですね。
画像のKC-135Rは沖縄県の嘉手納基地に展開する「第18航空団(18WG)に所属する「第909空中給油飛行隊」(909ARS)の機体です。


フライングブーム方式の空中給油装置
 
岩国基地などで海軍式のプローブアンドドローグ方式の空中給油装置は何度か見ましたが、空軍式のフライングブーム方式をまじまじと見学したのは今回が初めてかも。
「空力的に安定させる為に制御翼が付いてるんだなー、内部にバルブ的な部品が見えるなー、コレをF-16の背中の給油口に結合させるのかー」などと思いながら見学。


P-8A (#169000)
 
三沢基地には米海軍の哨戒機部隊(Task Force 72)も駐留してるので海軍機であるP-8Aも展示。機内の一般公開やエンジン内部が展示され見応えのある内容となっていました。


CV-22B  (#14-0075)
 
過去に岩国基地で見た機体は海兵隊向けのMV-22でしたが、今回の三沢の機体は空軍向けのCV-22です。「MV型とCV型でどう違うんだ?」と思い調べてみたらMV型は通常の輸送機タイプであり、
CV型は特殊作戦用に各種装備を追加したカスタムタイプとの事です。自分はそれ程マニアックな航空ファンではないのでそこまで細かく識別しないですね。とりあえず「V-22 オスプレイ」で一括りかな。


UH-1N  (#69-66645)                                              MH-60R  (#167016)
 
UH-1シリーズとUH-60シリーズというミリタリー汎用ヘリコプター界の双璧が揃って展示。フォルムがかなり異なる2機ですが、長年培ってきた実績と改良により共に信頼度が高い傑作ヘリです。


C-130  (#16-5843)                                              C-12J (#86-0083)
 
この辺の機体はじっくり見学せず、とりあえず写真を撮ったという程度なのでそれ程立派な感想は書けないです・・・


その他の民間機など
 
三沢基地は「三沢空港」として民間利用もされているのでそれに関係した民間機なども展示。右画像は9:30頃に着陸したJALのボーイング737-800です。


これにて三沢基地航空祭に飛来・展示された航空機の紹介はほぼ完了です。人生初の三沢基地でしたが様々な航空機を見学する事が出来て非常に楽しめました。
しかし今回の目的の1つであるB−1Bの見学は叶いませんでしたね・・・ 今後どこかで巡り会える機会はあるかな・・・?


F-16とF-1のゲートガード機
 
三沢基地の歴史を後世に伝えるべく、過去に配備された日米の戦闘機がゲートガード機として展示されていました。機体の形状や設計思想が全く異なる2機ですが
調べてみると両機とも初飛行が1970年代中盤なので世代的には同じなんですね。同じ時代における日米の航空機の設計思想や運用要求の違いを感じられます。


F-1  (#80-8223)
 
三沢基地におけるF-1の運用の歴史を調べてみると1970年代末に第3飛行隊と第8飛行隊によって運用が開始され2000年頃まで同基地で現役だったみたいです。
画像は第3飛行隊で運用されていた機体で尾翼に格好良い兜武者が描かれています。F-2の兜武者はロービジなので地味ですが、こちらはカラフルで見栄えしますね。

F-1は生産数が少なく活動期間も比較的短かった事、そして自分が航空自衛隊に興味を持った(再燃した)のが遅かったので自分にとっては世代違いの航空機ですね。
それだけに今回のF-1の見学は当時の姿を知る貴重な体験となりました。全国の基地にこういうゲートガードのF-1(T-2)がある筈なので今後それらも見学したいです。


81式短距離地対空誘導弾
 
81式短SAM自体は見慣れた装備ですが注目すべきは創隊20周年という文字。81式短SAMを運用する「第3航空団 基地業務群」が今年で創隊20周年という事らしいです。


VADSや各種トラックなど
 
(漢の武器であるガトリング砲)VADSも20周年記念仕様になっており20mm弾で文字が表現されていました。空自のこういうセンスが好きですね。

他には大型トラックなども展示。航空自衛隊と言うと航空機ばかりが注目されがちですがこういう支援車両系も決して無視できない重要な装備です。


ペトリオット・ミサイル
 
航空自衛隊の装備品の中でも実はかなり重要度が高いんじゃないかと言えるのがこのペトリオット。近年は某国による弾道ミサイル等の脅威が増加しており、それらに対応すべく
海上自衛隊のイージス艦(SM-3)と連携したMD構想の1つとして運用されています。実際の迎撃性能は別として、これらが活躍しない平和な世界を維持できる事が理想ですね。

※そしてご存知の様に防衛省は「イージス・アショア」の導入を決定しており、これが完成・稼働すれば空自と海自のMD任務や装備品にも何らかの変化が起こると予想しています。


その他の気になった装備品とか
 
実機のF-35Aが配備されるに伴い外見を模したイベントカーも製作されていました。そう言えば2016年の百里基地航空祭でも同様の装備がありましたね。別の面でも装備品更新が進んでますね。

そして帰り際にやたらクラシックなスタイルのトラックと遭遇。「お〜、ボンネット型トラックとか如何にも米軍基地らしいな〜」と思いましたが、よく見ると右ハンドルでバンパーには漢字が書かれてます。
調べてみると「2 1/2トラック」という航空自衛隊の正式な装備品であり、いすゞのTS/TWというトラックがベースらしいです。F-4戦闘機等と同じく古い装備を大切に使い続ける精神を垣間見ましたね。


基地内で活躍するアメ車など
 
アメリカ空軍の基地なので様々な種類のアメ車が走り回っていました。そしてそれらの多くが任務遂行の為の改造を施されています。
画像はシボレー・シルバラード(3500)です。車両後部が貨物積載用に改造されており、更に救急対応トレーラーを牽引しています。


「CBRN RESPONSE」    「EMERGENCY MANAGEMENT MOBILE COMMUNICATIONS CENTER」
 
和訳すると「化学(Chemical)、生物(Biological)、放射能(Radiological)、核(Nuclear)等の脅威に対して管理や処置を行う移動式の衛生ユニット」という感じです。
この辺は映画「アウトブレイク」の世界感っぽい。陸上自衛隊の化学科もこれに近い感じでしょうか。この手の兵器は目に見えないので判断と対処が難しいですね。


戦場で負傷した兵士にとっての救世主・メディック
 
衛生兵(救護班)が戦場で使用するテントも展示されていました。砂漠戦用のデザートカラーという点が中東地域での実戦経験が豊富なアメリカ軍らしいですね。


アメリカンサイズの消防車や日本製の小型ヴィークルなど
 
在日米軍基地らしくアメリカンサイズの巨大な消防車が展示。かと思えば日本製の小型ヴィークル(Kawasaki MULE)が基地内を疾走。やはり日米共同使用の基地は面白い光景が見られるな。


民間型の面影が残るフォードやシボレー
 
フォード・F-350(スーパーデューティー)やシボレー・エクスプレス等も。この辺は比較的改造が少なくて民間型に近いフォルムですね。それにしてもカスタム性が高いアメ車はやっぱり面白いですね。


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