海上自衛隊 舞鶴基地 北吸岸壁
2016.5.3

午前中の見学を終え昼食を食べた後に徒歩で北吸岸壁に向かった訳ですがここで問題が発生。
足の疲労がハンパねぇんだコレぇ・・・ 歩くのがかなりしんどい・・・
いやね、普段から殆ど運動してないアラサーの人間が調子に乗って徒歩で教育隊見学だの
市街地散策だのをやるもんだから早々に足にダメージが蓄積&爆発してヤヴァイ状態に。
いっその事歩くのを諦めてタクシーを呼ぼうかと本気で検討しつつ北吸岸壁に向かいます。


舞鶴市街地の様子

市内を歩いていると「朝日通り」という看板を発見。調べてみると「敷島型戦艦」の2番艦「朝日」(1900年就役)の名前を
通りに冠したみたいです。他にも「敷島通り」とかありました。軍港としての歴史をPRする舞鶴らしいネーミングですね。


舞鶴市の観光名所である「赤れんがパーク」

かつては帝国海軍・舞鶴鎮守府の倉庫群として使われており、現代では当時の歴史を語る観光名所になっています。
そして偶然にも真っ赤なランドクルーザー40(?)が駐車中。まるで昭和にタイムスリップした様な光景になってました。


13:45頃に北吸岸壁に到着

北吸岸壁に来るのは2年ぶりですね。特に変わった様子も無いかと思いきや「例の募集看板」が無くなってました。
新しい時代の新入隊員募集に対応すべく現代的なデザインの看板を製作中とか・・・? いずれ改めてチェックします。


本日の北吸岸壁における自衛艦の停泊状況

艦艇基地は日時によって停泊艦艇が異なるので毎回ワクワクしますね。

今回の入場ですが2年前には入場時に身元照会(氏名や住所の記入)をしましたが
今回はそういった手続きは無く、通行証を渡されただけでそのまま入場出来ました。
GW中は来場者が増加するので手続きを簡略化したのかも。(警備面での心配はありますが)


それでは北吸岸壁の見学開始です。
まずは入口正面に停泊していた最新鋭汎用護衛艦「DD118 ふゆづき」です。

「あきづき型」の4番艦として2014年3月13日に就役し舞鶴に配置されたばかりの最新鋭艦です。

「あきづき型」の姿を見るのは2012年の観艦式以来ですが、こうして間近で見るのは初めてですね。
全長150m、基準排水量5050トン、乗員約200名で合計4隻が建造され各護衛隊群に配置されています。


並んで停泊する「ふゆづき」と「みょうこう」

「ふゆづき」は艦橋直上にFCS-3を装備している関係でシルエットが大きく、隣に並ぶ「みょうこう」と
同程度の大きさの様に錯覚しますが、「みょうこう」(基準排水量7250トン)の方が全然大きいです。


「ふゆづき」のFCS-3A       「みょうこう」のAN/SPY-1D

「ふゆづき」(あきづき型)の最大の特徴と言えるのが艦橋直上に装備された対空レーダー「FCS-3A」です。
隣に並んだ「みょうこう」の対空レーダー「AN/SPY-1D」とよく似た外見ですが能力や用途に違いがあります。

この2種類のレーダーの違いを簡単にまとめてみました。
名称FCS-3AN/SPY-1
開発元日本・防衛省技術研究本部アメリカ・RCA社
実用年2009年1983年
主な搭載艦「ひゅうが型」 「あきづき型」
「いずも型」 「あすか」
「あさひ型」
「タイコンデロガ級」 「アーレイ・バーク級」
「こんごう型」 「あたご型」
「アルバロ・デ・バサン級」 「世宗大王級」
「フリチョフ・ナンセン級」
探知距離300km500km
想定用途個艦防空用艦隊防空用
対空索敵以外の機能Xバンドレーダーによる
主砲やESSMの管制
Mk.99イルミネーターによる
スタンダードミサイルの管制
※年代ごとにいくつかの型式があり、多少の性能差がある事に注意。

特に注目したいのが想定用途です。AN/SPY-1を搭載した艦、つまりイージス艦は
冷戦時代に旧ソ連によるミサイル飽和攻撃から
自軍の艦隊を守る為に開発された艦
という点です。

そして冷戦が終わり時代が変わると用途(標的)も変わってきます。ミサイル防衛です。
北朝鮮などが弾道ミサイルの発射実験を繰り返す様になり、これに危機感を覚えた日本政府は
「こんごう型」及び「あたご型」を建造(もしくは改修)しミサイル防衛の任務に充てる様になりました。

「こんごう型」などが弾道ミサイルの迎撃に専念する一方で
護衛艦隊に向けて通常の対艦ミサイルが飛来した場合、
対処するのがFCS-3を搭載した「あきづき型」
という感じです。

上述の性能比較表の通り、FCS-3を装備した「あきづき型」の性能は「こんごう型」には及びませんが
従来の護衛艦を遥かに凌駕した性能を持っており、限定的ながら艦隊防空の任務を担っています。

個人的な認識・解釈なので多少違う部分もあるかと思いますが大体こんな感じです。


マストの比較

奥の「みょうこう」のマストは従来型の護衛艦でお馴染みのラティス(格子)型ですが
手前の「ふゆづき」のマストはステルス性を考慮した平面タワー型となっています。
戦術(ステルス)的な点で言えば平面タワー型マストの方が優れたデザインですが
マストは軍艦の威容を示す要素の1つであり、威風堂々とそびえ立っててほしい物。
なので個人的には「みょうこう」以前の護衛艦のラティス型マストの方が好きですね。


舷門と舷梯

舷門には大型のカバーが備わっており、舷梯を格納する際はピッチリ隙間なく収納できるみたい。
最新鋭艦なのでステルス性も考慮した設計ですね。舷梯自体は普通のデザインかな。


船体中央部

「ガスタービンエンジン吸排気口」「90式艦対艦誘導弾」などが所狭しと並んだ船体中央部。
搭載する主機は「ロールスロイス SM1C」(16000馬力)×4基でCOGAG形式で稼働します。
エンジン吸排気口(煙突)は前後2ヶ所にありますが、これは被弾時の生存性を高める為のシフト配置が理由です。
前部(艦首側)が第1機械室で左舷推進軸用、後部(艦尾側)が第2機械室で右舷推進軸用となっています。

よく見ると隊員さん(3分隊?)が折り畳み式の作業用クレーンを整備してますね。GW中なのにご苦労様です。


ヘリ格納庫     後部FCS-3A

シャッターが左右非対称なヘリ格納庫。普段は広い左側をメインに使ってる感じ?
と言うか真ん中のフレームが可動式になってて大きな開口部を確保できる構造かも? 
左右非対称のシャッターは「むらさめ型」(1996年就役)より採用されてるデザインですが
間近でじっくり観察した事が無いですね。いつか改めて構造を調べてみたいです。

そして他に注目したいのがヘリ格納庫上に設置された後部FCS-3Aです。
「こんごう型」のAN/SPY-1Dは艦橋4面に円周状に綺麗に配置されていますが
「あきづき型」は艦の前後(艦橋・ヘリ格納庫)に分離して配置されています。
これは船体デザイン(各種装備の位置)の関係でより効率の良い配置だそうです。


艦尾

こうやって2艦が並んでると細かいデザインの違いが分かりますね。特に「みょうこう」の舷側が
ほぼ垂直なのに対し、「ふゆづき」の舷側はやや内側にテーパーがかかっており、ステルス性とか
水中抵抗の減少(喫水線下は小さく水上の船体部は大きい)を意識した設計なんだと実感します。


北吸岸壁を西端から見る

北吸岸壁と言えば全長が1020m(※895mという情報も)にも及ぶ一直線の岸壁が特徴です。
なので端から端が見えません。この長い岸壁に護衛艦が縦列駐車の如く並んで停泊します。
横須賀などに比べ係留能力は劣りますが、シンプルで分かりやすい構造なので個人的には好きです。


曳船(タグボート)  「YT58号 260t型」

狭い港内で護衛艦の離接岸をサポートする重要な船。手前から「YT05号」 「YT02号」 「YT01号」となっています。

正式名称としては「YT58号 260t型」と呼ぶらしい・・・? 昭和53年に1番船が「YT58号」として
就役し、その後「YT99号」まで建造されたら船番号が「YT01号」にリセットされてるみたいです。
調べてみると手前に写ってる「YT05号」は平成28年1月12日に就役したばかりの最新船の模様。

スペックは基準排水量(総トン数?)260トン、全長28.4m、ディーゼル機関(956KW)×2基という感じ。


曳船の船尾

船体後部には広い作業スペースと大型の円形カバーが設けられており、”特殊な推進装置”の存在を印象付けています。
「ここにシュナイダープロペラが組み込まれていて曳船をグイングインと動かすのか!」と興奮気味で
写真を撮ったのですが、家に帰ってから調べてみたらアジマススラスター(全旋回ポッド式)でした。

個人的には「タグボート=シュナイダープロペラ」という安易な思い込みをしていたんですが、
調べてみるとタグボートの大多数はアジマススラスター式らしいですね。1つ勉強になりました。


YG204 油船

この船の正式名称は「油船201号型」と言い、その4番船だから「YG204」という番号との事です。
YGは航空機用燃料(JP-5)の補給船を意味します。(ちなみに艦船用燃料の補給船はYOです)
舞鶴は小さな基地ですが「ひゅうが」などのヘリ搭載護衛艦が在籍してるので結構活躍してそう。


岸壁側から見る「ひゅうが」

空母(型護衛艦)の大きさを測る基準の1つが接岸してる岸壁や人との比較です。見ての通りすごく大きいです。
舞鶴基地は過去何度も来てますが、「北吸岸壁にひゅうがが接岸してる光景」を見るのは今回が初めてです。
なのでこの光景を見ると「あぁ、舞鶴も時代と共に変化してるんだな・・・」としみじみと時の流れを感じます。


右舷と艦橋

「空母の艦橋と言えば右舷側!」という認識を実感させる1枚。空母の歴史において数々の経験から
「右舷艦橋の方が航空機の運用に適してる」というのが空母の設計における世界標準的な考えです。
そう考えると左舷側に艦橋を設置した旧帝国海軍の「赤城」と「飛龍」は異端な空母だったんですね。


舷門と舷梯

これだけ巨大な艦であり上甲板(第1甲板)もかなり高い位置にある「ひゅうが」ですが、舷門の高さは普通でした。
船体が大きいからと言って舷門も高いとは限らないですね。ちなみに「あきづき型」の様な密閉扉は付いてない模様


右舷前方

大きく広がった艦首部(飛行甲板先端部)や右舷側に寄ってる艦橋など「これぞ空母の形状!」と言える1枚。

余談ですが「最近どこかでコレと似たアングル見た事あるなー、何だっけ?」と既視感を感じていたんですが、
かわぐちかいじ先生の最新作「空母いぶき」のコミック第1巻の表紙がこれとよく似た構図なのを思い出しました。


「DD151 あさぎり」

この光景を見た時の第一声があれ? 「あさぎり」接岸してるじゃん!でした。
だってつい2時間半ほど前までJMUのドックで整備中だったからこんな短時間で移動するとは思わなくて。


艦橋構造物

「あさぎり型」のネームシップとして1988年3月17日に就役した本艦。「はつゆき型」の拡大改良版と言える艦です。

「あさぎり」の艦歴について調べたら面白い情報が判明しました。
就役してから約17年間は汎用護衛艦として活躍していましたが
2005年に練習艦(TV-3516)に種別変更され
その後2012年に再び護衛艦として再転籍する

という珍しい艦歴の持ち主でした。護衛艦に再転籍した理由は近年増加する
諸外国による脅威に対し、海上防衛戦力を再整備する為とかでしょうか。


右舷後方

上甲板より1段高い第01甲板に設けられたヘリ格納庫が特徴。基本的なレイアウトは「はつゆき型」と同じですが
哨戒ヘリの「SH-60J」を2機搭載・運用する事を想定した設計なのでヘリ格納庫が一回り大きいのも特徴です。
(※ただし実際には哨戒ヘリを2機搭載・運用する事は非常に困難らしく、通常は1機のみで運用してるらしいです)


ハープーン(RGM-84)の架台

よく見るとハープーンが取り外されていました。今朝撮った写真を確認すると08:30頃には既に撤去されてた模様。
「あさぎり」はこの後遠洋航海に出る予定なので不必要(寄港国によっては物騒)な装備は取り外したって事でしょうか?


そんなこんなで「あさぎり」を見学してたんですが、乗組員が何やら上甲板に集まり始めました。
一体何事かと思って見ていたんですが何と送別式らしき事が行われました。

海上自衛隊の伝統的礼式として名高い「帽振れ」が行われていました。「帽振れ」は観艦式の出港時の
見送りなどで見た事がありますが、こうして送別(退職)的な帽振れを見たのは今回が初めてだと思います。

見た感じだと手前の制服姿の隊員さんが退職もしくは陸上勤務に転職といった所でしょうか?

※豆知識ですが甲板上の紺色の作業服の人達は幹部、青い作業服の人達は曹士です。



こんな感じで興奮と新発見だらけの北吸岸壁見学でしたが、見学終了時間(15:00)が迫ってきており
惜しみつつ撤収を開始。慌ただしく売店をチェックしお土産の「しらね識別帽」を買って退場しました。

赤れんがパーク駐車場の「しらね」の退役記念プレートと一緒に。

「しらね」は最後にせめてその姿を見ておきたかった(写真を撮りたかった)ですねー・・・ 
2番艦である「くらま」も2017年3月には退役予定なのでそれまでには是非見たいです。


15:15頃に赤レンガパーク駐車場を出発

今朝は「ひゅうが」のみでしたが、帰り際には「あさぎり」が新たに接岸。
時間帯によって変わる北吸岸壁の景色を写した1枚となりました。


この後ガソリンを補給(60L)して「たかお温泉 光の湯」という温泉で入浴と夕食。
18:30頃に舞鶴西ICから舞鶴若狭自動車道に進入し舞鶴市を出発しました。

こんな感じで「Operation M.K.I」の1日目は終了。
Operation M.K.I (Day1) 総評

・良かった点
 「ひゅうが」「ふゆづき」を間近で見学する事が出来た。
 「あさぎり」の様々な場面(ドック→接岸・送別式)が見れた。
 遊覧船という新しい見学方法を体験出来た。
 舞鶴教育隊を(外部から)そこそこ見学できた。

・悪かった点
 地方総監部を見学出来なかった。
 航空基地(第23航空隊)も見学出来なかった。
 五老スカイタワーから舞鶴湾を一望出来なかった。
 図書館で舞鶴基地の歴史を調べられなかった。
 北吸岸壁(舞鶴港)の地図を購入しようとしてて忘れた。
 予想以上に疲労しスケジュールが乱れた。


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