平成27年度 観艦式 艦内編
2015.10.15

引き続き「平成27年度 海上自衛隊 観艦式」のレポートをお送りしたいと思います。
こちらのページでは今回自分達が乗艦させてもらった「とね」の艦内を紹介しています。

それではここで改めて護衛艦「とね」について確認してみましょう。


艦種あぶくま型護衛艦 6番艦(最終艦)
艦番号DE-234
建造住友重工 追浜造船所 浦賀工場
就役年1993年2月8日
全長109m
全幅13.4m
排水量基準:2000トン 満載:2500トン
機関ガスタービン(スペイSM1A)×2基
ディーゼル(S12U-MTK)×2基
CODOG方式
最大出力:27000馬力
速力27ノット
航続距離5624nm(10415km)/18ノット
乗員数120名
兵装76mm速射砲×1
8連装アスロック・ランチャー×1
4連装SSMハープーン×2
高性能20mm機関砲×1
短魚雷発射管×2
所属・定係港第12護衛隊・呉基地
より詳細はデータは護衛艦とね(Wikipedia)を参照して頂ければと思います。
今回の観艦式での乗艦に際し「とね」(あぶくま型)について色々調べたんですが驚きの事実が結構ありましたね。
一番驚いたのが2軸推進だったという事。船体の規模から見て1軸推進だと誤解してました・・・
他には本来なら海上自衛隊で初のRAM搭載艦となる予定だった事。
他にも特筆すべき特徴が多いので写真と共に見ていきましょう。

パンフレット表紙

「とね」の艦名は関東の北東部を流れる利根川に由来します。
帝国海軍〜海上自衛隊に至るまでに「利根」の名を持つ軍艦は3隻存在します。
・初代
防護巡洋艦として1910年に就役
全長114m、排水量4113トン、速力23ノット、乗員370名、
15.2cm単装砲×2、12cm単装砲×10 他

・2代目
重巡洋艦として1938年に就役
全長202m、排水量11213トン、速力36ノット、乗員874名
20.3cm連装砲×4、12.7cm連装高角砲×4 他

・3代目
護衛艦として1993年に就役
全長109m、排水量2000トン、速力27ノット、乗員120名
76mm速射砲×1、20mmファランクス×1 他
自分は帝国海軍時代の軍艦は詳しくありませんが2代目重巡のスペックが凄いですね。

ロゴマークには2匹の龍が描かれていますが、利根川には龍にまつわる伝説が多く残されてる事が由来です。
河川は災害時に氾濫し民家を押し流すなど時に恐ろしい一面を見せ、その様子はまるで龍が如し。
人々は古来より「河川を龍に例える」のが定番ですからね。ネウロのDRもそう言ってた。


艦首部

う〜ん、気持ちいい眺めですねー。艦の中で真っ先に海を拝めるポジションです。
太い錨鎖とかロープを通す為の穴とか如何にも艦船って感じ。この辺は1分隊(砲雷科)の運用員の持ち場です。

艦首にはロープが張られ立ち入り禁止となっていますが、少なくとも1997年頃の時点では
一般人もある程度自由に入れたみたいです。艦首が立ち入り禁止になった理由の一因が
1997年に公開された「タイタニック」だと言われています。各地の護衛艦イベントにて映画に影響され
艦首で「タイタニックごっこ」をするカップルが続出。危険な為立ち入り禁止になったという話があります。


62口径76mm速射砲

海自の護衛艦の兵装としてはごく一般的な62口径76mm速射砲です。別名「3インチ砲」とも言います。
用途としては対空・対水上戦闘用で敵艦船への攻撃や対艦ミサイルの迎撃に使用されます。

元々は1967年にイタリアのオットー・メラーラ社が開発した艦載砲で、海自では日本製鋼所でライセンス生産した物を搭載。
護衛艦への搭載記録としては1970年に就役した「むらくも」(みねぐも型3番艦)に対し、特別改装(新装備試験)として
船体を改造、1979年3月に搭載したのが最初みたいです。なのでもう30年以上採用されている名艦砲と言えますね。


RAM搭載予定スペース

76mm砲の後部にある広大なスペースで本来ならRAMの搭載予定場所です。ですが見ての通り何も装備されていません。
未搭載の理由はハッキリ分かりませんが予算の都合や任務(近海警備)における必要性から搭載が後回し(中止?)になった可能性が。
RAMについては「いずも型」に初装備され今回の観艦式でその姿を確認できました。詳細は「観閲航行編」にて。


艦橋構造物

護衛艦としては一般的な外見ですね。窓が並んでいるのが「艦橋」でフロア的に言えば02甲板(建物の3階)に相当します。
切り立った崖の如く垂直な構造物ですがこれでも当時としては一応ステルス性を意識した設計らしいです。


右舷前部通路

手前に見える太いホースは給油用のホースと思われます。
洋上給油の際は補給艦からこのホースを経て燃料を給油します。

通路上部に積載してある丸いドラム缶みたいな物は脱出用ゴムボート。
艦の沈没時(総員離艦時)などに使用する最終脱出手段で海上に放ると自動で膨らむらしい。


隙間

場所としては確か艦橋構造物(マスト直下)と前部煙突の間くらい。左側壁にはガスタービンの吸気口らしきダクトカバーが見えます。
この位置の吸気口なら通行人のや各種作業の邪魔にならないですが、反面整備等で出入りする際に大変そうです。

右側の壁には各種のホースが並んでいるのが分かります。何となく消火用ホースっぽいです。


左舷後方から見たアスロック・ランチャー。前面のカバーが開きアスロックが発射されます。

対潜戦闘を主として設計された「あぶくま型」の主兵装とも言えます。海自ではお馴染みの対潜装備ですね。
ロケットを装着し射程距離を伸ばした魚雷である「アスロック」8発がこの箱型ランチャーに装填されています。

正式名称については8連装の発射機自体は「Mk.112」と呼ばれ、
再装填機構も含めたシステムとしては「Mk.16 GMLS」と呼ばれてるみたいです。
分かりやすい参考例としては「はつゆき型」や「あさぎり型」との比較です。
舞鶴基地で見た「まつゆき」はランチャー後方に再装填機構があるので「Mk.16」ですが
今回の「とね」(あぶくま型)は再装填機構が無く発射機のみなので「Mk.112」となる模様。
なお海上自衛隊としては「74式ロケットランチャー」という名称で呼んでるらしい。

改めて調べてみるとその歴史は驚くほど古く、1961年には原型が完成・運用開始され
海自には1966年就役の「やまぐも型」に初搭載され現在に至ります。

自分としては「アスロック=箱型ランチャー」のイメージが強かったのですが、1990年代前半より
VLSに格納するタイプのアスロック(VLA)が主流となってきており、この様な箱型ランチャーは
いずれ姿を消す運命です。なので今の内にしっかりと記憶しておきたいですね。

右舷前方より見た図。こちらがランチャーの後部(噴射炎が出る方)になります。

個人的に気になったのがランチャーの搭載位置です。見ての通り前後に構造物があるので
「これじゃ横方向にしか撃てないじゃん」と思ったのですが運用方法について調べてみると
数隻の艦で円周運動をしながら敵を包囲し攻撃する「サーキュラー・アタック」に適した配置だと知り納得しました。
出番ですよ米倉さん


後部煙突

この辺は特に大きな感想は無しかな。強いて言えば梯子が掛けられているので
「整備の為に煙突内に立ち入る事があるであろう」という想像くらいかなー。
白い球体状の物体は「電子戦装置」だと思いますが詳しくないんでコメントは控えます。


ハープーン

海上自衛隊の護衛艦における標準的な対艦攻撃ミサイル「ハープーン」です。
マクダネル・ダグラス(現ボーイング)社が開発し、1977年より量産・部隊配備が開始されました。
ミサイル1発の重量は約700kg(弾頭重量220kg)で、射程距離は100km以上になります。
威力に関しては相手艦の大きさや命中箇所によりますが、1発で大破もしくは撃沈させるだけの威力があります。


カタログ・スペック的には4連装発射機×2基で合計8発搭載可能ですが本艦の場合は計4発でした。
日本近海の警備が目的の地方隊向け護衛艦としてはこれで十分という事でしょうか。
ハープーンの発射及び飛行パターンに関しては「亡国のイージス」が参考になるかと。

と言うか自転車がすごく気になるんですが・・・ 生活感が丸出しですね。上陸時に使用する為?


個艦防御の最終兵器「ファランクス」

「とね」の装備で個人的に一番注目してるのが「CIWS/ファランクス」です。海自的には「高性能20mm機関砲」と呼称します。
ファランクス自体は護衛艦にとってごく一般的な装備ですが、あぶくま型の場合はその搭載位置に非常に価値があります。

見ての通り第1甲板後部に独立して設置されています。これはつまり
人間の目線とほぼ同じ高さで360度全方位から観察できる。
それは機関砲マニアにとっては最高の観察ポジションである。


という訳で武器マニアとして「ファランクス」についてより詳細なレポートをお送りしたいと思います。
まずは「CIWS」と「ファランクス」の概要について説明します。両者はよく同一視されますが厳密には別物です。

まず「CIWS」の意味と由来ですがですがこれは「lose eapon ystem」の略であり、
日本では「近接防御火器システム」等と呼ばれます。役割としては「自艦に向けて突っ込んでくる敵ミサイルに対し
シースパローや76mm砲での迎撃が失敗した場合に使用する最終防御兵器」と言える存在です。
なので分類的には「艦載砲」や「ミサイル」等と同じく艦載装備の名称の1つと言えます。

次に「ファランクス」についてですが制式名称としては「Mk.15」のモデル名を有し、詳細としては
「アメリカのレイセオン社が開発した20mmバルカン砲とレーダーを一体化した全自動式の迎撃火器」
を指す固有名詞と言えます。要するにレイセオン社の製品の1つという事です。

ではなぜ日本では「CIWS=ファランクス」という同一の認識が広まってしまっているか?
それは海自の護衛艦はCIWSとしてほぼ一択でファランクスを選択・搭載しているからです。
世界中の兵器市場を見ればファランクス以外のCIWS(ゴールキーパーやAK-630など)も存在しますが
自衛隊の装備の多くがアメリカ系なので護衛艦のCIWSとしてファランクスを選択・運用してる事はごく自然な選択と言えます。

そしてこの「ファランクス」ですが砲の駆動系統やレーダーが時代と共に改良されており、
大きく分けて以下の3種類のモデルが存在します。
・Block1
1988年から製造されてる最も基本的な型。
「とね」に搭載されているモデルはこの「Block1」です。

・Block1A
Block1のコンピューターをアップデートした改良型。
外見的特徴としては砲身周辺にガードパイプを追加。

・Block1B
最大の特徴はレドーム左側面に赤外線カメラを追加装備した事です。
これにより手動操作が可能になり、低速で近づく不審なボート等に対し
隊員が手動で射撃出来る様になりました。他にはレーダーの更なる改良、
砲身の延長、ガードパイプの形状変更などがあります。
※ごく初期に製造されたモデルを「Block0」と呼びますがここでは除外します。
またBlock1〜1Bまでの特徴・相違点も必ずしも上述の通りとは限りません。


それでは「ファランクス」の詳細を見ていきましょう。まずは後方からの全体像。

後部に貼られた自衛艦旗が誇らしげですね。ファランクスの特徴としてはシステムの合理的な設計があげられます。
写真の様にレーダー、機関砲、マウント、制御台座など運用に必要な装置が合理的かつコンパクトに纏められており、
極端な話「クレーンで吊って甲板に降ろしてボルトで固定して電源を繋げば即使用OK」という位に綺麗に纏まったシステムです。
なので後日装備が容易で就役後に追加で装備する例は勿論、トラックの荷台に設置して地上用防空システムとして使用する例もある程です。


後方より見たレドーム

「レーダードーム」の略でこの白いカバーの中に2種類のレーダーが内蔵されています。
上半分の半球部分には捜索用レーダー(探知距離5.6km)が収められ
下半分の円筒部分には追跡用レーダー(探知距離4.3km)がそれぞれ収められています。

このレドームですがその形状が「スターウォーズのR2-D2」によく似ており
米海軍のイベントでは「R2仕様」にデコレーションされる事もしばしばです。


旋回俯仰マウント、銃身、機関部、弾倉など

ファランクスの心臓部であり一番派手に可動する部分です。
機関砲と弾倉を包み込む様な凹型形状をしているのが旋回俯仰マウントです。
旋回(水平方向)なら360度、俯仰(上下方向)なら−20〜+80度まで広範囲で可動し敵ミサイルを撃破します。


ガトリング砲の証明、回転式20mm6砲身

アメリカのゼネラル・エレクトリック社が開発した20mmの6砲身ガトリングで、正式な製品名は「M61 バルカン」です。
この6本の砲身が回転し3000〜4500発/分(1秒間に50〜75発)の速度で20mm弾を撃ち出します。
オリジナルであるM61(航空用)は6000発/分(1秒間に100発)を誇りますが艦載版である本モデルは
弾の消費や確実な作動を優先させた為か若干連射速度を落としています。連射速度については選択式らしい。

銃や機関砲に詳しくない人はよく「ガトリング」と「バルカン」を混同しますが両者は別物です。

まず「ガトリング」ですがこれは1861年にアメリカの医師であり発明家である「リチャード・ガトリング」が発明した
「複数の銃身を回転させて連射する機関銃」に由来します。この「ガトリング式機関銃」は当時としては画期的な性能を誇り、
歩兵の戦術に革命をもたらしました。その後も口径や作動方式を変更したモデルが多く開発されいずれも優秀な性能を発揮。
その結果「複数の銃身が回転する銃=何でもかんでもガトリング」という良くも悪くも不変的なイメージを確立しました。

しかしここで注意すべきは「ガトリングとは発明者の名前であり、そして複数の銃身を回転させて発射する機構である」という点です。
厳密に言うと1861年にリチャード・ガトリング氏が開発したこそ銃が正真正銘のガトリング銃であり、
それ以降に開発された物は「ガトリング銃と同じ作動方式を持つ全く別の銃砲」という分類になります。

なのでファランクスに装着されてるこの20mm砲の正式な名称及び形式は「M61バルカン」であり
「アメリカのゼネラル・エレクトリック社が開発した20mm6砲身モデルの固有名詞」となります。


ドラム式弾倉・前部

1500発以上の20mm弾を収納するドラム式弾倉です。内部は何重もの螺旋構造になってると思います。
自分のミリタリーコレクションの中に20mm弾のダミーカートがあるんですが、その寸法を元に計算すると
20mm弾を1500発(リンク抜き)並べた場合、約45メートルの長さになります。
重量に関しては元データが不明なので計算困難ですが、数百kgになるのは間違いないです。
連射速度(3000発/分)から見れば(砲身の過熱は別として)約30秒で弾倉が空になる計算です。
ファランクスは艦後方の防御を担当する火器なので「ジパング」の様にケツばかり狙われるとヤバイですね。

ドラム前端に繋がってるベルトみたいな部品は「アモ・フィーダー」と呼ばれる物です。
1000発以上もの20mm弾をスムーズに機関部へ送り込む為のガイドレールです。
蛇腹構造になっているので伸縮や湾曲する様になっており金属製なのにフレキシブルな部品です。

個人的に気になったのがアモ・フィーダー内のベルト・リンクです。
20mm弾をベルト状にして運用する場合、専用のリンク(M14A2等)が必要なんですが
画像を見るとアモ・フィーダー内にすでにリンクが内蔵されてる様に見えます。


隊員さんの操作によって装填された20mm弾。

隊員さんの操作及び画像を見た感じではフィーダーに内蔵された専用のリンクに20mm弾を1発づつバラで装填してるみたいです。
そしてこの20mm弾ですが見た感じではやっぱり模擬弾っぽいですね。薬莢と弾頭が一体成型で作られてる様に見えます。


ドラム式弾倉・後部

ドラム式弾倉に繋がったアモ・フィーダーや20mm弾を送り出す為のギア、そのギアを駆動させる為のモーターやシャフトなどが露出し
銃好き、メカ好きとして非常に楽しいアングルです。と言うか完全に機械駆動なので人間は下手に手を出すと危ないですね。
アモ・フィーダーはドラム後端に繋がっているので「射撃後の空薬莢をドラム内に戻す役割」と思うんですが果たして・・・?


旋回マウント基部

上述の通りファランクスは360度グルグルと旋回可能であり、マウント基部には円周状に目盛りが刻まれています。
個人的に気になったのが「0度の位置」です。「あぶくま型」におけるファランクスの設置位置から見て艦尾方向(真後ろ)が
0度だと思っていたんですが、この写真だと右舷後方が0度に設定されている様に見えます。何か理由があるんですかね・・・?


台座

どんなに高性能な機械でも台座が安定してないとその能力を発揮出来ません。特に機関砲は射撃の精度に大きく影響します。
という訳で頑丈そうな造りの台座です。頑丈なのは重要ですが柔軟さも必要なのか、よく見るとサスペンションらしき装置も付いてます。
この台座の中には駆動に必要な動力源や計算用のコンピューターが収納されていると思われますが、新たな新情報として
「デッキローダー」と呼ばれる装置が付属し1500発分の予備弾を収納しているという新事実を知りました。
ドラム弾倉の即応弾数1500発+デッキローダーの予備弾1500発ならそこそこ安心して戦えますね。


艦尾

今回のイベントにて自分が主な行動拠点としていた場所です。この場所に荷物を置いて艦内をウロチョロしてました。
一般的な護衛艦ならば「艦尾(後部甲板)=ヘリ発着甲板」という設計が主流ですが、「あぶくま型」はヘリ未搭載艦なので
「艦尾(後部甲板)はもの凄く重要なスペースと言う訳では無いかなー」などという素人的考えが。(←ゴメンナサイ)
実際にはこの艦尾は勿論、下の第2甲板艦尾にも曳航機器などの装備を搭載してる筈なので重要なスペースです。


潜水員と運用員?

右のセーラー服を着た隊員さんは1分隊の「運用員」でしょうか。左腕の階級章から「1等海士」である事が分かります。
ウェットスーツを着た隊員さんは「潜水員」だと思います。必要に応じて海に潜り船体の保守や修理を行うみたいです。
そして今回の様な体験航海イベントにおいて、もしも乗客が海に転落した際に助ける役目もあります。う〜ん、カッコイイ。
ちなみにこの潜水員の方、その逞しい身体つきから女性の乗客に好評だったらしいですよ。やはり筋肉はモテますね。


左舷後方より

ファランクス、ハープーン、電子戦装置、マストなどメカっぽさが凝縮された1枚。
「あぶくま型」は護衛艦としては最軽量クラスですし武装もやや貧弱ですが
こうして装備がぎっしり並んだ姿を見るとやっぱり戦闘艦だなーと実感します。


第2吸気室

「後部構造物」(ハープーンや後部煙突が装備された構造物)を左舷後方より見た1枚。
近くでじっくり見ると「第2吸気室」と書かれていました。後部のここが第2吸気室という事は
上述写真(艦橋構造物の隙間)で紹介した箇所が「第1吸気室」という事になるんでしょうか。

左側にちょこっと写ってるのは定番の「3連装短魚雷発射管」です。定番なのでスルー。


左舷前部

通路上部に搭載された「内火艇」が目を引きますね。別名「作業艇」とも呼ばれ少人数での海上移動等で活躍します。
手前の装置は「折り畳み式簡易クレーン」とかでしょうか・・・? 特にチェックしなかったので詳細不明です。



それでは第1甲板をぐるっと一周したのでいよいよ艦内に入ります。
艦橋構造物・第1甲板通路(右舷)のドアより艦内に入ります。

第1甲板・艦橋構造物内に位置する「士官室」

比較的贅沢な内装が施された士官室です。今回はイベント特別公開という事で一般人の我々も
自由に出入り出来ましたが、普段は士官オンリーの特別な部屋です。入室させてもらえた事に感謝。

士官室

綺麗に張られたテーブルクロスなどがいかにも士官室っぽいです。テレビの下に設置された謎の機械ですが
転落防止の為のロープが張られています。海上での揺れに対応する為の艦ならではの措置ですね。

部屋のテレビで海自のPVが流れてたんですが、それによると2014年時点での
海上自衛隊の人員は総数42000人、幹部9000人、女性幹部自衛官270人だそうです。


士官室壁の方位計(?)

士官と言えば艦の運行を管理する重要な人達なので休憩中であっても艦の動向を把握できる様にって事でしょうか。
この状態で見れば方位335°速力7〜8ノット(約4m/s)といった所でしょうか。と言うか速度計の目盛りが多過ぎない?


士官室前通路

見ての通り狭い空間内に登りラッタル、下りラッタル、コピー機など色んな設備がギッシリ詰まってます。
ここで選択肢が発生します。第01甲板に上がるか、第2甲板に降りるかです。護衛艦好きとして嬉しい悩みですね〜


艦内神社

どの護衛艦にも必ず備わっている「神社」です。安全な航海をお祈りする為の神聖な存在です。信仰心は大事だよね。

神社の下にはとねの艦歴や歴代艦長の名前が彫られた記念版がありました。現在の艦長は第21代目との事です。


艦橋

護衛艦の司令部とも言える重要な場所です。そして2分隊(航海科・船務科)の聖域でもあります。
窓から見える海、艦を動かす為の操舵輪、海図による航行予定作成など正に「船乗りの華」と言える場所です。

写真の状態では比較的ガラガラで見学しやすいですが、これは「観閲航行」や「訓練展示」などの
イベントが終わった直後だからです。出港直後とかもの凄い人混みでまともに見学出来ませんでした。

操艦装置など

海の男たる者、威厳を誇示せし直立勤務なり。でも立ちっ放しで辛そう。腰痛持ちの自分には無理だわ。

自分は船乗りではないので艦橋内で行われる「航海に関する指示・専門用語」はよく理解できなかったのですが
個人的に気になったのが「フォネティック・コード」の使用でした。レーダー画面(撮影禁止)を操作してる隊員などが
パパ(P)、ロメオ(R)、オスカー(O)、エコー(E)などの単語が繁茂に使っており、軍隊(自衛隊)内における
正確な情報伝達(聞き間違い防止)の為のフォネティック・コードの重要さを再認識しました。


操舵輪

艦の操舵と言えば操舵輪ですよね。昔からの伝統です。自動車と同じくハンドルを回して艦を回頭させる訳ですが
ハンドルと艦のサイズが極端にアンバランスでレスポンス(反応速度)も異なる筈なので自動車感覚とは全く違うんでしょうね。

操作に関しては艦長や航海長の指示により指定の方角へ舵を切ります。当然ですが個人の判断で勝手に操艦するなど論外。
2000トンの船体と120名の乗組員(+本日の乗客)を背負った重みのあるハンドル操作です。


速度制御盤

操舵と並んで重要なのが速度の操作です。コチラも艦長や航海長の指示に従い指定された速度に設定、するとその指示が
第2甲板内にある「操縦室」(後述)に伝達され、そこで改めてエンジン回転数等を操作し指定の速度を出します。

写真の装置は2本のスロットルレバーや各種メーターが並び、いかにも速度制御装置という感じです。
実は「操縦室」にもこれと同様の装置があり、機能や目的が重複する部分があるんですが説明は後ほど。


海図台

安全な航海の為には正確で適切な航海プランの作成が欠かせません。コチラは2分隊の「航海員」の持ち場でしょうか。
自分は内陸県人なので海図って全く無縁の物ですし、更にGPS慣れしたデジタル世代なのでこういうアナログな紙の地図は更に無縁です。

艦橋右舷側

赤と青の2色シートは艦長席です。艦長の階級は「2等海佐」だそうです。現在の艦長が21代目との事なので
過去20人の艦長がこの席に座ったという事になります。失礼ながら歴代艦長の前歴を軽く調べてみたのですが
「とね艦長」に就任する前は他の艦にて「副長」「航海長」「船務長」「砲雷長」などを経験されてた方が多くいました。
逆に「とね艦長」を経験した方は後職として「むらさめ型の艦長」等に就任してる例が見られ、とねでの艦長経験を元に
着実にステップアップしてるという感じでした。海上自衛官としてのキャリアの積み重ねは誇りであり重要な事ですからね。


左ウイング

艦橋の左右に張り出した見張り所で「ウィング」と呼ばれます。主に航海科・船務科の隊員が担当する場です。
洋上を監視する為の双眼鏡、発光信号を送る為の信号灯など航海に欠かせない装備が並んでいます。
いずれも人力操作によるアナログな機器ばかりであり、テクノロジーの塊である護衛艦の装備品の中では
多少の旧式感はありますが、何かトラブルが起こった際に最終的に頼りになるのは「人間による手動操作」なので
やっぱり必要な装備です。デジタルを過信し過ぎると人間としての能力が低下し事故を招く危険もありますしね。


ジャイロコンパス?

素人の自分でも「見るからに方位を測る機器」と言うのは分かりますが、正式名称や使い方までは分からないですね。
自分は「レンザティックコンパス」を持ってますが、円周状に刻まれた蛍光目盛りとか中央に張られたワイヤーとか雰囲気が似てます。


信号灯

無線通信が行えない場合などに使用する「発光信号」を送る為の装置です。
発光時間の長短を組み合わせた「モールス符号」により交信を行います。
側面のレバーを操作するとレンズ内のブラインドが開閉し発光の長短を調節できます。
「モールス符号」こそマジで一般人には難しいですね。習得するのにかなりの訓練が必要そう。
2分隊は「モールス符号」の他に「手旗信号」なども扱うので正に通信のプロですね。


右ウイングから見た景色

う〜ん、いい眺めですねー。「護衛艦内で海がよく見える場所」と言うと艦橋の名前がよく上がりますが
艦橋からの視界は基本的に窓越しなので、ダイレクトに海が見れるウイングは実は隠れた名スポットです。


時鐘

02甲板・艦橋の裏手(マスト基部)に吊るされていた時鐘。場所的には2分隊の担当?
名前の通り「時刻を知らせる為の鐘」で、かつては専門の兵(時鐘番兵)が30分おきに鳴らして
時間を知らせていましたが、現代では特に使用されず艦のシンボル的な存在となっています。
自衛艦旗と同じく護衛艦にとっては特別なアイテムで艦の除籍時には防衛省に返還されます。


03甲板

場所的には艦橋の天井に位置する階層で建物的には4階(屋上)に相当します。一般人が立ち入り可能な最も高い位置の階層です。
こちらにも多くの機器が並んでいますが一般人には用途不明な物ばかり。辛うじて分かる一例としては隊員さんの左手付近にある機械、
これは後述のFCS2(射撃指揮装置)を手動で操作する為の装置っぽいです。1分隊(砲雷科)が操作を担当するみたい。


03甲板から見た左ウイング全体

チャフ発射機、ブローニングM2銃座、速度表示旗?など各種装備が綺麗に並んだウイング。
こうやって上から見ると意外と広々としたスペースで居心地が良さそうな場所ですね。


護衛艦らしく戦闘装備がギッシリ詰まったマスト周辺

マストはパイプを格子(ラティス)状に組み合わせた昔ながらのデザインで強度と軽量さに優れますがステルス性に難があります。
なので最新の護衛艦である「あきづき型」などではよりシンプルなデザインのマストに一新されています。
個人的にはラティスマストは大好きなデザインなので消えていくのが惜しいです。今の内に目に焼き付けておきましょう。

マスト中段にある扇状に広がった網目の物体は対空レーダーの「OPS-14」です。探知距離は約200km以上との事。
意外と探知距離が長くて驚きました。ただ精度(小さな目標を確実に探知する能力)がどの程度かが気になる所ですね。
マスト上でグルグル回る対空レーダーは戦闘艦の証明みたいな存在でしたが、「こんごう型」や「あきづき型」などでは
4面固定式のレーダーに切り替わってきており、何十年後かにはこの様な回転式対空レーダーは完全に姿を消すと思います。
なのでコチラも今の内にしっかりと記憶に残しておきたいです。

そして手前に見える白い皿状の物体はFCS2(Fire Control System 2)という装置です。海自的には
「81式射撃指揮装置2型」とも呼ばれ、主に前甲板の76mm砲の管制を行います。ちなみに三菱電機製。
76mm砲を管制する装置なので砲とアンテナが連動して動きます。例えばアンテナが右を向けば76mm砲も右を向き
上空に向けて大きく仰角を取れば76mm砲も大きく空を仰ぎます。その様子は見てて面白いです。


※余談 「船務科」と「航海科」の違い
今回レーダーについて調べていた所、「船務科」と「航海科」の違いを改めて知る事となったのでここで説明します。
「船務科」と「航海科」は共に2分隊に所属し艦の運行に関わりますが、実は両者の明確な違い(任務内容)を
ハッキリ理解していませんでした。そこで今回改めて調べてみた所
「船務科」=電測(レーダー)、通信、電子機器を担当するIT系の部署。「ジパング」的には角松が所属。
「航海科」=航海、信号、気象等を担当するインテリ系海の男の部署。「ジパング」的には小栗が所属。
という事でした。なるほど、いい勉強になりました。


02甲板・左ウイングから第1甲板・左舷に降りる階段

高低差的な点で見れば建物の3階から1階へ降りる階段に相当します。見ての通り結構な高さがある上に
ラッタル(階段)の角度がキツいので一般人は恐る恐るゆっくり降りてました。足を滑らせて転落したら大参事ですからね。
自分? そりゃーもう護衛艦好きとしてはアレですよ、右手にカメラ、左手で手すりを撫でる様にスピーディーに降りてました。


こうして第1甲板に降りた後に艦橋構造物右側のドアより再び艦内に進入。
今度は下の階層である第2甲板へ降ります。「第2甲板前部通路」です。

いかにも艦内という感じの広くて長い通路が出迎えてくれます。一般人の感覚からすれば狭い通路でしょうが
護衛艦好きな自分からすれば艦の中心的通路であり、メインストリートに相当する重要な通路です。


工作室

読んで字の如く工作をする部屋です。(スパイ活動じゃなくて修理・製作的な意味ですよ)
護衛艦は一度出港してしまえばある意味孤独でサバイバルな世界。何かトラブルが起きれば可能な限り自分で対処しなければなりません。
例えば船体が破損して修理が必要だったり必要な部品を新しく作ったりする時などに活躍するのが3分隊・機関科の「工作員」という人達です。
金属加工や溶接など工業的技術を持つ人達で、室内にある汎用旋盤、溶接機等を使用して色んな物を直したり作ったりする職人です。
自分も工業系の人間であり物を作ったりするのは好きな方なので何かと共感しやすい部署ですね。


操縦室兼応急指揮所

護衛艦の心臓部、主機(エンジン)のコントロールルームです。この部屋で主機や各種機械の監視・制御を行います。
見ての通り計器の大部分がアナログ式。現代艦の多くがデジタル式という事を考えると古いという感覚は否めませんが
その古さもノスタルジックで良し。またネームシップである「あぶくま」の就役が1989年だという事を考えると時代相応かと。

操縦室という事で3分隊(機関科)の主な勤務部屋となります。この部屋にて機関科隊員が交代で
機器の監視・制御を行います。ちなみに機関科は何人くらいいるのか聞いた所、約27人と言われました。


スロットルレバーを操作する隊員の姿

隊員さんが両手に握った2本のレバー。それぞれ右舷軸・左舷軸をコントロールしておりエンジン回転数や速度を調整します。
変速のタイミング・速度設定ですが当たり前ですが機関科で勝手に決めていい訳ではなく、艦橋からの指示に従います。
艦橋にて速度を決定、その指示を操縦室へ伝達します。するとベルが鳴りお知らせ、機関科隊員が指定の速度に設定します。
稼働中(勤務中)の様子を暫く見てましたが「ベルが鳴る→速度変更」という作業が主で後は各種計器のチェックといった感じ。
軽作業+目の前の計器をずっと睨んでるだけという簡単なお仕事(←ゴメンナサイ)に見えて「コレ飽きるんじゃないか?」という
失礼な考えも浮かんでしまいましたが、イスに座っての軽作業という点では腰痛持ちの自分には魅力的にも見える。

「艦橋」の項でも解説しましたが艦橋内にも同等の装置があります。つまり速度制御装置が2ヶ所に
存在しており、艦橋もしくは操縦室どちらかが速度調整の主導権を選択できるみたいです。
(基本的には操縦室での操作がメインです。非常時などに限り艦橋にて直接操作する模様)

速度制御装置が2ヶ所存在する理由ですが、素人的考えとしては各部署の任務の専門化(艦橋は航海、操縦室は主機操作)、
そして操縦系統を多重化する事で艦がダメージを受けた際に操艦機能の生存性を高める為だと思います。


主機、変速機、スクリューシャフトなどの概略イラスト図 (※機密保持の為、解像度を下げてあります)

あぶくま型は推進用として2種類の異なる主機(エンジン)を搭載しています。
高速用ガスタービン主機「スペイSM1A」(13500馬力・川崎重工製)×2基
巡航用ディーゼル主機「S12U−MTK」(3000馬力・三菱重工製)×2基
です。
これら4基のエンジンを組み合わせ最善の機関回転を行います。

そしてあぶくま型は「CODOG」と呼ばれる推進方式を採用しています。
CODOGとはCOmbined iesel as turbine」の略であり
「ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンの混合推進」を意味します。
ガスタービンエンジンとディーゼルエンジンは性質が異なっており、それぞれ長所・短所があります。
「ガスタービン=高出力で本体も軽量だけど燃費が悪い」「ディーゼル=出力が低めで高重量だけど燃費は良い」といった具合です。
なので「巡航時(低速時)はディーゼルエンジンで航行し、高速時はガスタービンに切り替える」といった運用をします。

ここで重要なのが「Diesel Or Gas turbine」という部分です。Or、つまり「もしくは」という意味なので
ディーゼルとガスタービンを両方同時に接続・稼働させる事は不可能。
どちらか片方の機種のみでの運転となります。

この様な方式を採用した理由としてはエンジンの回転数と変速機が関係しています。
ガスタービンエンジンとディーゼルエンジンは回転数が違い過ぎ、この異なる性質のエンジンを効率よく
接続・稼働させる為の変速機が技術的に困難(複雑高価)なので妥協案としてこの様な方法となりました。

こうして生まれた「CODOG」ですが整備性や推進効率といった点で見た場合、あまり合理的ではない様で
海上自衛隊の護衛艦では「あぶくま型」「ゆうばり型」「いしかり」の3種類で採用されたのみで終了。
その後の護衛艦では複数のガスタービンを組み合わせた「COGAG」もしくは「COGOG」が主流となりました。
※「COGAG」や「COGOG」についてはまたの機会に紹介します。

余談ですが機械室・主機・変速機・推進軸など左舷側を「1号」、右舷側を「2号」と区別して管理・運用しているみたいです。

そして推進軸ですが実は左右で長さが異なっており、左舷軸の方が長いです。これには戦術的な理由があります。
左右の主機が同じ部屋(機械室)に並列に並んでる場合、その箇所に魚雷やミサイルが直撃すれば両方の主機がダメージを受け
最悪の場合、機関が全損・航行不能という事態になります。なので敢えて左右の機関室(主機)の場所をずらす事(シフト配置)により
ダメージを分散、最小限にする事が目的です。護衛艦ならではの生き残る為の経験と知恵ですね。


発電機のコントロールパネル

護衛艦は推進用の主機(メインエンジン)を積んでるのは当然ですが、それ以外の日常生活用の電力を作る為に
専用の発電機を搭載しています。Wikiによるとガスタービン発電機(1000kw)×1基、
ディーゼル発電機(500kw)×2基、非常用ディーゼル発電機(300kw)×1基だそうです。
ちなみにこちらは機関科内の「電機員」という隊員が管理してると思われます。


ダメージコントロールパネル

奥に見える艦のイラストパネルはダメージコントロールパネルです。護衛艦の艦内各所には
血管の様にセンサーが張り巡らされており、被弾などでダメージが発生した場合には
このパネルにダメージ箇所が表示され応急隊員が現場へ直行、応急処置に当たります。

ダメコンは勿論重要なんですが、個人的に気になったのが手前の柱とハシゴです。
ハシゴ上端にはハッチがあり上の階層(第1甲板・前部煙突付近?)に繋がってる様です。
「戦闘艦の内部は迷路の様な縦横無尽な構造になってる」という事を実感します。


機関長の机?

操縦室の中央に位置してた机。機関長や当直士官などの責任者が座る席だと思います。
今回はイベントなので記念撮影用の帽子が並んでいますが、普段は主機や各種設備の記録簿などが
整然と並べられそれらを細かく把握し艦の安全な運行に努めてる姿が想像できます。

チラッと聞いた話ですが機関科の最高責任者(機関長)の階級は1等海尉だそうです。


科員休憩室

隊員達の憩いの場であり艦内で最も広いスペース(?)である科員休憩所です。
通常時なら隊員さんがここで食事をしたりテレビを見たり作戦ミーティングをします。


イベント特別企画としてお土産も販売してました。

とりあえずここでは観艦式2015のワッペンを購入しました。個人的には「とね限定グッズ」(部隊帽)とか
欲しかったんですがそういうのは売ってませんでした。というか部隊帽は一般向け販売はしないだろうな。

上述の通り隊員達が多く集まる憩いのスペースな訳ですがざっと数えた所収容人数は・・・32人分くらいでしょうか。
なので一度に収容するのは無理なので食事等は時間をずらして交代で取る筈です。


自動販売機とか配膳所。

艦内には自動販売機が設置されジュースの販売もありました。意外と陸上に近い生活環境ですね。
ただ普段のジュースの販売に関しては自販機は意外と稼働してない可能性もありますね。商品の補充が面倒そうなので
仲間内での簡単な取引、例えば4分隊(補給科)に直接交渉して倉庫から出してもらうとか各分隊単位で箱で購入する例が多そう。

奥に見えるのは配膳所及び厨房。4分隊の調理員が腕に縒りをかけて作った美味しい食事が出てきます。
海自の食事ってビュッフェ(取り放題)方式だと聞いてますが程度としてはどの位なんでしょうね?
1人であまりに多く取り過ぎると後の人の分が無くなってしまうので暗黙の了解的な取り分が決まってるのかも。

護衛艦の食事は朝昼晩の3食の他に当直夜勤向けの夜食が出るらしいですね。
1日4回分の食事を作る上に仕込みや片付けも含めると給養員はかなり忙しそう。


洗面所

顔を洗ったり歯を磨いたり生活に必要なスペースです。造水装置によって海水を真水に変換し利用します。
ただ海の上では真水は貴重な存在なので無駄遣いは厳禁。海の男は貴重な真水をスマートに無駄なく使います。

よく見ると天井にシャワーが付いているんですが風呂やスプリンクラー的な用途ではなく
作業服や防火服などの全身の汚れを落とす為の装備・・・だと思う。


先任海曹室

曹〜士を纏める現場の頼れる父親的存在、「海曹長」の部屋です。
英語ではCPO(Chief Petty Officer)とも呼ばれる人達です。
護衛艦には何百人もの隊員が乗り込み「階級による人間のピラミッド」が形成されてる訳ですが
実は士官(尉官以上)と下士官(曹〜士)の間には目に見えない境界線的なモノが存在します。

護衛艦において艦の司令的役割を果たすのが「士官」と呼ばれる尉官以上の階級を持つ人達です。
彼らは士官学校等を卒業したエリートであり頭脳・体力共に優秀な人材ばかりです。
ですが現場での経験は不足気味でどちらかと言えばインテリ系な人達です。(←偏見だったらゴメンナサイ)
対して下士官(曹〜士)は2等海士として入隊し現場で叩き上げられながら育った言わばガテン系です。

インテリ系とガテン系、この性質の異なる人達を上手く纏めるのが海曹長です。長年の護衛艦勤務の経験から
人心掌握術に長け双方の特徴や意見を上手く折り合わせる「人事の潤滑油」の様な人達です。
なので上からも下からも全幅の信頼を寄せられており、ある意味艦で一番頼りになる人達です。


その他艦内で気になった箇所とか
誇らし気に輝く表彰プレートの数々

日々厳しい訓練に励む護衛艦の乗組員たち。その功績を表彰するこれらは隊員と艦の誇りとなる事でしょう。


広報活動写真や各種備品

広報活動を収めた写真は当然素晴らしい物ですが、個人的に気になったのはやはり壁に掛けられた各種装備ですね。
護衛艦は合理的・機能的な造りになっており艦内各所に必要な機器や道具が所狭しと装備されています。

写真では怪我人を運ぶ担架、応急処置用の木材が確認できます。他にも溶接用の鉄材等もありました。


護衛艦の醍醐味、頑丈なハッチ

護衛艦のみならず戦車などの戦闘車輌にも言える事ですが、このいかにも頑丈そうなハッチが素晴らしい。
このハッチですが見ての通り長方形と丸形の2つが重なった構造となっています。
そしてこのハッチから隊員さんが出入りする様子を何度か目撃したんですが、丸いハッチの方から出入りしてました。
よくよく見るとXやZという表記があり、どうやら使用に関して規則があるみたいです。


さて、艦内の紹介も一通り終わったので午後の観閲航行に備え早めに昼食です。

作戦行動中の食事と言ったらオニギリなのー! 
しかも海の上で食べるとか最高に磯くせぇー!

乗艦前に相模原のセブンイレブンで買った昼食です。当初は普通の弁当とかにしようと思ってたんですが
食べ終わった後の空容器がかさばって邪魔になるのでオニギリにしました。

ところで展示訓練中の隊員さん達はどんな物を食べてたんですかね?
普段の訓練航海中は食堂で食べてると思いますが今回みたいに乗客がいる場合は
4分隊の給養員が作ったオニギリとかを食べながら勤務・操艦してたんでしょうか。


という訳で「とね」の艦内探索はこの辺で終了。午後はいよいよ観閲航行です。
観閲航行編                出港編


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