平成27年度 観艦式 観閲航行編
2015.10.15

「出港編」と「艦内編」と続き今回のメインイベント「観閲航行編」のレポートをお送りします。


そもそも「観艦式」とは何なのか?
管理人は過去2回、観艦式に参加した事がありますが当時は海上自衛隊に対する知識・関心が
不十分でイベントの意味や本質に対する理解が不足し十分に楽しめてない部分がありました。
なので改めて観艦式の起源や内容、意味について勉強したいと思います。
コチラは今回配布された観艦式のパンフレットです。

〜以下パンフレットの解説〜
1 起源
  観艦式の起源は1341年、英仏戦争の時、英国王エドワード3世が自ら艦隊を率いて
  出撃する際に、その威容を観閲した事に始まると言われています。

2 帝国海軍
  我が国では明治元年天皇陛下をお迎えし、大阪・天保山沖で実施された観兵式(軍艦叡覧)が
  観艦式の始まりであり、当時の兵力は6隻2452トンに過ぎませんでした。
  「観艦式」という言葉が最初に使われたのは第4回目にあたる明治33年、
  神戸沖で行われた大演習観艦式です。
  帝国海軍最後の第19回観艦式は昭和15年横浜沖において実施された
  紀元2600年特別観艦式であり、艦艇98隻622000トン、航空機527機が参加した
  極めて壮大なものでした。

3 海上自衛隊
  自衛隊記念日記念行事としての観艦式
  昭和31年に「自衛隊記念日」が定められ、翌32年に自衛隊記念日記念行事の一環として
  観艦式を実施することとされました。
つまり定期的にこういった厳格な式典を行う事により自軍の士気を高め練度の向上に励み
同時に敵国に対し戦力を誇示する事により戦争への抑止力を働かせる事が目的という事です。
また近年では他国海軍との親善交流の意味合いも強くなってきています。


艦隊の陣形には意味がある
次に観艦式における艦隊陣形の意味です。
自分が過去に観艦式に参加した時はまだ艦隊陣形の意味を知らず
「おぉー! 護衛艦が何十隻も航行しててスゲェェ!!!」という単純な感想だったんですが
改めて艦隊の陣形の意味、航行する場所等を知るとより楽しむ事が出来ます。
コチラはパンフレットの裏面です。

観艦式では大きく分けて3つの部隊が編成されます。「観閲部隊」「観閲付属部隊」「受閲艦艇部隊」です。
それぞれの部隊を簡単に説明すると以下の様になります。
「観閲部隊」=自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣が乗艦する観閲艦とその随伴艦隊によって構成。

「観閲付属部隊」=観閲部隊と並走する艦隊。多くの観客を乗せ並走するのが主目的で特に重要な役目は無し?

「受閲艦艇部隊」=内閣総理大臣による観閲を受ける部隊。観閲部隊に対し様々な訓練を実施・展示します。
各部隊ごとに観える展示や行う訓練が異なっているのでどの部隊が一番良いとは一概には言えません。
今回乗艦した「とね」は観閲付属部隊の3番目でしたが、一切の不満は無くとても楽しめたポジションでした。


それではいよいよ観閲航行の始まりです。写真と共に護衛艦の勇姿を見ていきましょう。

まずは観閲部隊の先導艦「DD101 むらさめ」

「むらさめ型」のネームシップとして1996年に就役。横須賀の第1護衛隊群・第1護衛隊に所属。
「むらさめ型」は装備や能力面で旧来の「はつゆき型」や「あさぎり型」とは一線を画しており個人的には
「新世代の艦」というイメージだったんですが気が付いたら就役から20年近くが経過したベテラン艦になっていました。

「むらさめ型」の特徴と言える「Mk.48 VLS」

90式艦対艦誘導弾と後部煙突の間にあるスペースに設置されているのが「Mk.48 VLS」です。
むらさめ型は2種類のVLSを搭載しており、前部甲板には「Mk.41 VLS」(16セル・アスロック用)を装備し
画像の様に船体中央には「Mk.48 VLS」(16セル・シースパロー用)を装備しています。
「MK.41」と「Mk.48」の違いですが、Mk.41はスタンダード、トマホーク、アスロックなど
多種多様なミサイルを装填出来るのに対し、Mk.48はシースパローのみの搭載に限られます。
Mk.48によるシースパロー発射シーンについては映画「亡国のイージス」が参考になりますね。

「むらさめ型」も就役から20年近く経つので艦載装備の改良や変更が行われており
Mk.48はMod.0からMod.4へ、ミサイルはシースパローからESSMへ更新されてるらしいです。


今回の観艦式にて観閲艦を務める「DDH144 くらま」

「しらね型」の2番艦として1981年に就役。佐世保の第2護衛隊群・第2護衛隊に所属。

「くらま」を語る上でベースとなった「はるな型ヘリコプター搭載護衛艦」から語らなければなりません。
1945年、太平洋戦争に敗北した日本軍(帝国海軍)はアメリカ軍によって解体され組織は再編、
保有艦船も厳しく管理される事になりました。そして1950年代、海上自衛隊がまだ「警備隊」だった頃から
航空機の有用性が再認識される様になり「警備隊も空母を保有すべき」との意見が出てきますが、
アメリカ軍や国内世論の反対は勿論、技術的・予算的にも厳しくこの時は実現しませんでした。

そして更に時が過ぎ1960〜70年代。この頃になると航空機に対する運用的要望が変化します。
対潜哨戒ヘリコプターの運用です。この頃から敵国潜水艦における戦略的脅威が高くなり
それらに対応する為の対潜哨戒ヘリコプター、及びその母艦が必要とされ始めたのです。

こうした背景の結果生まれたのが1973年に就役した「はるな型ヘリコプター護衛艦」です。
そして1980年には改良後継艦である「しらね型ヘリコプター護衛艦」が就役、現在に至ります。

それでは「くらま」の各部を見ていきましょうか。
前甲板に装備された「73式54口径5インチ砲」×2門と「74式アスロック・ランチャー」

前部甲板に武装が集中していますが、これは後部のヘリコプター甲板での作業性を優先した為です。
搭載している5インチ砲はアメリカの「Mk.42」を日本製鋼所がライセンス生産した物。
特徴としては砲塔内に人員を配置し人力で照準・射撃する事。(CICによる遠隔管制も可能)
最新の艦載砲は無人&CIC管制が当たり前なので古い時代の砲ならでの特徴ですね
この砲も現在ではかなり旧式の装備となり、現時点(2015年10月)で搭載・運用してるのは
「くらま」「はたかぜ」「しまかぜ」の3隻のみ。なので3〜5年以内に完全退役すると思われます。

艦橋構造物

艦橋構造物と書きましたが実際には後ろ半分以上はヘリ格納庫となっています。
「しらね型」及び元となった「はるな型」は船体の約半分を航空機運用設備に充てるという非常に特徴的な
船体構造ですが、これは1960年代後半に提唱された第3次防衛力整備計画の「8艦6機体制」に関係します。

第3次防衛力整備計画において「艦隊として作戦行動する場合、艦船8隻・航空機6機によるグループ編成が最も効果的」
という考え方が導き出され、その結果「ヘリコプターを3機搭載できる護衛艦を2隻配備する」という考えが強まりました。
航空機の運用に関しては全通式甲板による空母型のデザインが最も優れているのは実証済みですが
当時の世論や予算等において空母型の護衛艦を建造するのは厳しかったと考えられます。その結果
「全通式甲板ではない通常形状の船体を延長し、後部を発着艦スペースとした護衛艦」が生まれました。

この格納庫にSH-60(古くはHSS-2)を3機(左側に縦列で2機、右側に1機)搭載し運用します。


「くらま」の特徴である長大な後部ヘリコプター甲板

この後部ヘリコプター甲板は全長が50mもあり、ヘリ2機分以上のスペースを確保しています。
なので1機を前部に駐機させつつ後部でもう1機を発着艦させるという運用を行っています。
飛行甲板上には2本のベアトラップレールがあり左右それぞれの格納庫へと繋がっています。



さて、ここで一度視点を戻し自艦「とね」が配置されている「観閲付属部隊」を見てみましょう。

「ASE6102 あすか」

試験専用艦として1995年に就役。同型艦は無し。横須賀の開発隊群に所属。
試験艦という事で数々の新装備を搭載、もしくは取り外すので外見が大きく変わる事もある珍しい艦です。

「あすか」は過去にどこかで一般公開を見た記憶があるんですが、当時の写真とかが1枚も残ってないのが悔しいです。
上述の通り「あすか」は時期によって外見が変化する艦なので、一般公開等でその変化の歴史を細かく記録したいですね。

各種装備を搭載する為の特徴的な形状の艦橋構造物

「あすか」の外見的特徴と言えるのが艦橋後方の4面に配されたレーダー設置スペースです。
かつてはここに「00式射撃指揮装置3型」(FCS-3)が設置され試験が繰り返されており
完成した新型レーダーは「ひゅうが型」「あきづき型」「いずも型」に順次搭載されています。

現在は装備が取り外されているのか、少なくとも左舷前方はただのカバーの様にも見えます。
一方で左舷後方の「白いハンペンみたいな物体」はミサイル誘導用の「Xバンドレーダー(改良型)」
という情報もあり、現在も何らかの試験を行っているみたいです。

また艦橋直前の第01甲板には「Mk.41 VLS」(8セル)が埋め込まれており2007年頃まで
「07式垂直発射魚雷投射ロケット」の試験が行われていたみたいです。

船体後部 ヘリ格納庫など

「あすか」のスペックを調べてて気になったのが「COGLAG」という推進方式方式です。
簡単に言うとガスタービンエンジンと電気モーターを組み合わせた複合推進システムらしいです。
このCOGLAG方式は「平成25年度計画艦型護衛艦」(あきづき型の改良型)から採用されるとの事。
電気推進と言えばアメリカ海軍の「ズムウォルト級」が有名ですね。
これからは電気推進の艦が増えるのかも知れませんね。

それ以外で気になった点としては左舷にクッキリ残ってる緩衝タイヤの跡。
普通の護衛艦ではあまり見られない汚れなんですが・・・ もしかして船体清掃してない?


「あすか」の後方、「とね」の前方を航行する「DE229 あぶくま」

「あぶくま型」のネームシップとして1989年に就役。呉の第12護衛隊に所属。
今回自分が乗艦してるのは「とね」ですが、航行中の自艦の姿を観る事は困難なので
こうして同型艦を外部から観察できるのは自艦を見てる様で中々勉強になります。

あぶくま型は基準排水量2000トンで現役稼働中の護衛艦では最軽量クラスかと思いますが
実際に「とね」に乗艦し艦内を歩き回った感じでは船体の小ささや窮屈さは特に感じませんでした。
しかし改めて同型艦を外部から見ると「やっぱり小さいかなー、と言うか横幅が狭い」とも感じました。


とねの後方を追従する「ATS4202 くろべ」と「DDG173 こんごう」

左は訓練支援艦「くろべ」で1989年に就役。同型艦は無し。第1海上訓練支援隊に所属。
無人標的機(ドローン)を搭載しそれを射出・管制し護衛艦の射撃訓練に付き合う事を任務とします。

右は「こんごう」で「こんごう型護衛艦」のネームシップとして1993年に就役。佐世保の第1護衛隊群・第5護衛隊に所属。
ご存知の様に海上自衛隊初のイージス艦で艦隊ミサイル防衛に革新をもたらした記念すべき艦と言えます。


観閲付属部隊の陣形が構築されつつあります。

自衛艦旗と護衛艦。見栄えするカットですね。


手旗信号の実演。  確か「あすか」と交信してました。

海の男の必須技能(※)、手旗信号です。両手に持った紅白の手旗で文字を表現し相手と交信します。
手旗信号には「原画」(げんかく)と呼ばれる14種類のパターンがあり、これを組み合わせてカタカナの裏文字を表現します。
写真の状態は両手を水平にしてるので「第1原画」、もしくは他の原画の途中っぽいです。

※「海の男の必須技能」と書きましたが護衛艦の乗組員全員が完璧にこなせる訳ではないと思われます。
教育隊では基礎訓練として練習しますが、いざ護衛艦勤務となると使用状況はかなり少なくなるかと。
なので完璧に動作をマスターしてる&日常的に使用するのは2分隊の航海科等だけだと思います。

更に余談ですが「手先信号」と呼ばれる交信手段も存在します。
両手の指10本を使い手話の様にコミュニケーションのやり取りをします。
こちらは主に3分隊・機関科で使用されています。(エンジンの騒音で会話が難しい為)


それでは「受閲艦艇部隊」の登場です。

観閲艦に訓練の様子を見てもらう事を目的とした艦隊なので多種多様な艦種で構成されています。

旗艦を務める「DDG177 あたご」

「あたご型」の1番艦として2007年に就役。舞鶴の第3護衛隊群・第3護衛隊に所属。
航空機運用能力に弱点があった「こんごう型」にヘリ格納庫を装備した艦でイージス艦の理想形とも言えます。
「あたご」と言えばどうしても例の衝突事件を思い出しがちですが
その高性能を活かし今後の海上自衛隊の主力艦として活躍してほしいですね。


「DDG172 しまかぜ」

「はたかぜ型」の2番艦として1988年に就役。佐世保の第4護衛隊群・第8護衛隊に所属。
「こんごう型」が登場するまでは艦隊を守るミサイル護衛艦として重要な役を務めていました。
イージス艦の「こんごう型」「あたご型」が登場した現在、ミサイル防空艦としての能力不足感は
否めませんが、独特な装備を多く搭載し個人的には最も好きな護衛艦の1隻です。

「しまかぜ」のアイデンティティーである「Mk.13 ミサイル・ランチャー」

「はたかぜ型」を象徴する装備である単装式のミサイル・ランチャーで主に「スタンダードミサイル」の発射を行います。
ランチャーに装填されてる青いミサイルは「SM-2」の模擬弾と思われます。他にハープーンも装填・発射可能です。
同じ艦対空ミサイルとして「シースパロー」がありますがシースパローは射程20km程度で個艦防衛を目的としてるのに対し、
「SM-2」は射程約70kmを誇るミサイルであり、遠方から飛来する敵ミサイル及び航空機を撃破し艦隊を防衛します。
発射機直下に弾倉(装弾数40発)がありそこから1発づつ給弾・装填し約8秒に1発のペースでミサイルを連射可能です。
「こんごう型」や「あたご型」などに搭載されてる「Mk.41 VLS」は約1秒ごとに連射可能なのでそれに比べたら
即応戦闘能力は劣りますが、「Mk.13」はマウントが派手に旋回・俯仰するのでメカとして見た場合すごく面白いです。
また1発づつしか撃てないというハンディな戦い方にも味があって個人的には好きです。

Mk.13後方に設置されてるのは「73式54口径5インチ砲」です。上述の「くらま」と同じ砲です。

各種装備を満載した特徴的な構造物

「SM-2」という艦隊防空ミサイル運用する必要上、他の護衛艦では見られない特徴的な装備がいくつかあります。
例えばマスト前方に設置されてる2基のアンテナ状の装置、これは「Mk.74 射撃指揮装置」でSM-2の誘導を行います。


「DD111 おおなみ」

「たかなみ型」の2番艦として2003年に就役。佐世保の第2護衛隊群・第6護衛隊に所属。(※定係港は横須賀)
「たかなみ型」は「むらさめ型の小改良版」とも言える艦で、船体や機関は「むらさめ型」とほぼ同一です。なので「むらさめ改」とも言えます。
目立った変更点と言えば「76mm砲を127mm砲に換装」「VLSをMk.41に統一し前部甲板に32セル分をまとめて配置」くらいです。


「DD106 さみだれ」

「むらさめ型」の6番艦として2000年に就役。呉の第4護衛隊群・第4護衛隊に所属。
個艦のスペックに関しては省略しますが個人的に気になったのが艦名。「むらさめ型」の内の1隻ですが
「○○あめ」という艦名ではないので一見するとむらさめシリーズに見えないというちょっとした勘違いも。


今回の観艦式で最も注目度が高かった護衛艦「DDH183 いずも」

「いずも型」の1番艦で2015年3月25日に就役したばかりの最新鋭艦です。横須賀の第1護衛隊群・第1護衛隊に所属。
従来の海上自衛隊における対潜哨戒ヘリの運用及びヘリコプター母艦としては「はるな型」と「しらね型」がその役を担っていましたが
時代が変わるにつれ国防装備に対する要求や国内の世論が変化し空母型艦船の建造が実現し2009年に「ひゅうが型」が就役。
更にそれを大きく凌駕する能力を持つ「いずも型」は「海上自衛隊の新時代のヘリコプター搭載護衛艦」としての活躍が期待されています。

海上自衛隊の護衛艦としては初の装備である「SeaRAM」

「RAM(Rolling Airframe Missile)」と呼ばれる個艦防衛装備です。射程約10kmのミサイルを11発収納しています。
より正確に言うと画像の様にファランクスのマウントとレーダーを組み合わせた物を「SeaRAM」と呼びます。
簡単に説明すると「ファランクス以上、シースパロー未満の射程・威力を持つ個艦防御ミサイル」です。
ファランクスは本体が小型軽量で簡単に設置が出来ますが有効射程と約1.5kmと短く、20mm弾の破壊力にも不安があります。
一方シースパローは射程距離が長くミサイルの破壊力も大きいですが、発射機が大掛かり過ぎて簡単に設置できません。
そこでこの両者の運用上のメリットを取り入れた新型防空ミサイルとして開発されたのがこの「RAM」です。

この「SeaRAM」は海上自衛隊の護衛艦としては「いずも」が初搭載となりましたが、本来なら「あぶくま型」に初搭載する予定でした。
「あぶくま型」への搭載が延期(中止?)されてる理由は不明ですが、防衛予算やあぶくま型の任務(近海防衛)に対する必要性等だと思います。
現在自分が乗艦してる「とね」の甲板に本来なら装備されてるハズの物が無くて、後から就役した艦に先を越されるというのは何か悔しいですね。


右舷後方には立派なサイドエレベーターを装備

格納庫から甲板へ艦載機を上げる為の必須装備、エレベーターです。区分的には「第2エレベーター」と呼ばれます(飛行甲板中央にあるのが第1)
サイズは長さ15m×幅14mで重量的に見ても「MV-22 オスプレイ」や「F-35」が積載・昇降可能らしい。(発着艦の可否や運用的必要性は別)
実は帝国海軍〜海上自衛隊の空母の歴史の中でサイドエレベーター式を採用したのは「いずも」が初らしいですね。


意外と重武装な艦尾

右舷側には「高性能20mm機関砲(ファランクス)」を、左舷側には「SeaRAM」を装備しています。
左右で異なる武装というのは運用上何かと問題があるかもしれませんが、武器マニアの自分としては
機関砲とミサイルを両方堪能できる素晴らしい配置だと思います!
更によく見ると中央には「12.7mm重機関銃(ブローニングM2)」の銃座らしき物もあり贅沢の極みです。
右舷側のファランクスは砲身ガードパイプを装備してる&赤外線カメラは無いので「Block1A」ですね。


「SS505 ずいりゅう」 もしくは 「SS506 こくりゅう」

最新鋭の潜水艦である「そうりゅう型」です。潜水艦は艦番号が消されてる上に各艦の外見が酷似してるので判別が難しいですね・・・
「ずいりゅう」が5番艦で2013年に就役、「こくりゅう」が6番艦で2015年に就役してます。2隻とも横須賀の第2潜水隊群・第4潜水隊に所属。

「そうりゅう型」の特徴としてはスターリング機関によるAIP(非大気依存推進)システムの導入です。難しいメカニズムなので
詳しい事は分かりませんが、このシステムの採用により通常動力型潜水艦としては世界トップレベルの性能を誇るらしいです。

「SS505 ずいりゅう」 もしくは 「SS506 こくりゅう」のセイル

潜水艦はその性質上、船体の大部分が水中に隠れており、艦全体の大きさが分かりずらいです。
なので限られた露出部分であるセイルと人間とのサイズ比較は艦の大きさを知る上で中々参考になります。

特徴的なX型舵

「そうりゅう型」の外見的な特徴としてはX型舵が挙げられます。従来の潜水艦で縦舵と横舵がキッチリ分かれた「十字型」が主流でしたが
そうりゅう型では1枚の舵に対し縦横両方の操舵機能を持たせるべく研究した結果、この様なX型の舵となりました。


「SS592 うずしお」

「おやしお型」の3番艦で2000年に就役。横須賀の第2潜水隊群・第2潜水隊に所属。
上述の通り潜水艦の外見はよく似ており判別は困難なのですが、今回の観艦式に参加した
潜水艦は計3隻で、その内訳が「そうりゅう型×2」「おやしお型×1」なので、
「そうりゅう型」と「おやしお型」の違いを理解してれば比較的容易に判別できます。

一番分かり易いのが艦尾の潜舵の形状です。
「海面に大きく1枚突き出てるしているのがおやしお型」、「斜めに2枚突き出てるのがそうりゅう型」と覚えればいいです。

「うずしお」のセイル

潜水艦は専門外な自分にとってはセイルの画像だけで「おやしお型」と「そうりゅう型」を区別するのは難しいです・・・
ただよーく見ると船体形状は勿論、シュノーケルや潜望鏡の形が違っており、潜水艦マニアはそういう点で見分けてるみたいです。


「MSO302 つしま」

「やえやま型掃海艦」の2番艦で1993年に就役。横須賀の掃海隊群・第51掃海隊に所属。
掃海艦は平和維持活動や海外派遣等で結構活躍してる艦なのですが個人的には専門外ですね・・・
個人的に気になる点と言えば手動式の20mmガトリング(バルカン)の「JM61M」くらいでしょうか

艦の背景が灰色一色になっていますが、確かコレ「観閲部隊」の艦です。
船体の大きさや進行方向から見て「うらが」でしょうか? 何気に面白い1シーンです。
つしま乗員からすれば「目の前が真っ灰色だぜ・・・」とか思ってそう。


「AOE425 ましゅう」

「ましゅう型」は一般公開などで何度も見てるのでそれ程立派なコメントは無いですねー・・・
でもそれじゃ寂しいので今回の主役である「くらま」とのツーショット写真を掲載。
余談ですが2012年の観艦式では洋上給油を披露しましたが今回は無しでした。


「LST4001 おおすみ」

「おおすみ型輸送艦」のネームシップで1998年に就役。呉の第1輸送隊に所属。
見ての通り「全通式飛行甲板」を備えているので就役した当時は無知なマスコミを中心に「遂に海上自衛隊が空母を導入した! 軍拡だ!」
とか騒がれていたのは懐かしい思い出。全通式飛行甲板を採用した理由については「甲板での作業性を高める為」などと言われていますが、
他の理由としては「空母型の艦船を建造して国民の目を慣らしておき、後年建造予定のひゅうが型への批判を減らす為」とか言われてますね。

分類上は輸送艦という扱いですが能力及び実態としては「揚陸艦」と見た方が適当ですかね。

艦橋構造物や甲板

甲板には陸上自衛隊のトラックが積載され輸送艦としての能力をアピールする1コマとなっています。
積載能力としては「陸上自衛隊の隊員330人、73式大型トラック65台、90式戦車18輌を積載可能」と
かなりの物量を搭載できます。更に艦内には「エアクッション艇」を2隻搭載し、海岸への上陸及び輸送能力も高いです。
陸自と海自、両方好きな自分には非常に面白い艦です。
いつか一般公開などでじっくり見てみたいですね。




さて、これにて我が海上自衛隊の艦艇の紹介は一段落です。(いくつかの艦は紹介を省略)
冒頭でも述べましたが近年の観艦式は国際親善的な意味合いもあり、他国海軍も参加します。
以下では観艦式に参加した各国海軍の軍艦を紹介します。

オーストラリア海軍 「FFH153 スチュアート」

「アンザック級フリゲート」の4番艦で2002年に就役。
全長118m、満載排水量3600t、乗員163名、機関:CODOG(ガスタービン×2・ディーゼル×2)
速力27ノット、艦載ヘリ×1機、武装:5インチ砲×1、ESSM(VLS)、ハープーンなど。

主任務は「排他的経済水域の警備」との事なので地方隊配属の「あぶくま型」と運用が類似する点もありますね。

オーストラリア海軍と言えば次期潜水艦の選定で日本の「そうりゅう型潜水艦」を
購入(共同生産)するかどうかの商談が大詰めに差し掛かってる事が話題です。
もし取り引きが成立すれば日本の防衛産業に変革の1ページが刻まれますね。


フランス海軍 「F734 ヴァンデミエール」

「フロレアル級フリゲート」の5番艦で1993年に就役。
全長94m、基準排水量2600t、乗員96名、機関:CODAD(ディーゼル×4)
速力20ノット、艦載ヘリ×1機、武装:100mm砲×1、20mm機銃、SIMBAD、エグゾセなど。

後部ヘリ甲板。本来ならアエロスパシアルの「AS565 パンテル」を運用してるらしい。

フランス海軍と言えば・・・ ぱっと思い浮かぶのは「シャルル・ド・ゴール」くらいかな・・・ と言うか海軍に限らず
「陸軍のルクレール」「空軍のラファール」「歩兵のファマス」などフランス軍は自国オリジナル兵器が多い印象ですね。


インド海軍 「F49 サヒャディ」

「シヴァリク級フリゲート」の3番艦で2012年に就役。
全長143m、基準排水量4600t、乗員257名、機関:CODOG(ガスタービン×2・ディーゼル×2)
速力30ノット、艦載ヘリ×2機、武装:76mm砲×1、AK-630、シュチーリ、バラク、クラブなど。

調べてみて初めて知る兵器名ばかりです。全体的に見てロシア系の兵器を多数搭載してる様です。

ヘリ格納庫に書かれたヒンディー語がいかにもインドっぽい。

インド海軍と言えば「え〜と、チャクリ・ナルエベトとシーハリアーを運用してる国だっけ?」
という程度の認識だったんですが、調べてみたら全然違っててかなり驚きました。
まずチャクリ・ナルエベトを運用してるのはタイ海軍でした。で、インド海軍なんですが一例として
旧ソ連の「キエフ級航空巡洋艦」の4番艦である「バクー」を購入し
スキージャンプ式の全通式飛行甲板に改造しMiG-29Kを運用中

という強力な兵器運用をしており、他にも空母、原子力潜水艦、揚陸艦等も保有してて予想以上の軍事大国で驚きました。

それと余談ですがインド海軍ってやっぱり毎日カレー食べてるんですかね? だとすれば海自の金曜カレーの比じゃないな。


韓国海軍 「DDH977 大祚栄」(テ・ジョヨン)

「李舜臣級駆逐艦」(チュンムゴンイスンシン)の3番艦で2005年に就役。
全長150m、基準排水量4400t、乗員300名、機関:CODOG(ガスタービン×2・ディーゼル×2)
速力29ノット、艦載ヘリ×2機、武装:5インチ砲×1、SM-2(VLS)、海星、ゴールキーパー、RAMなど。

韓国海軍の艦艇は艦名が漢字表記なので多少は親近感があるかなーと思ったんですが、読み方が全然違うんで無理でした。

韓国海軍、と言うか韓国軍全体に関しては悪い(お笑い)エピソードばかりが聞こえてきますね。
「誘導路を移動中のF-15がマンホールの穴に落ちて機体を破損」「ドアを開けといたミサイル艇が嵐で浸水して沈没」
「K11複合型小銃のグレネードの信管に問題があり爆発事故多発」など悪いジョークとしか思えない様なケースが多数。
別に韓国を嘲笑する気は無いですけど隣国としてはその軍事力が気になる所。。実際の所どうなんでしょうね・・・? 

そんな感じでいまいち冴えないイメージの韓国海軍艦艇ですが、以下の装備を発見した時は大興奮でした。
ゴォォルキィィパァァァ!!!

7砲身・30mmガトリングを装備した強力なCIWS「ゴールキーパー」です。開発国はオランダのシグナール社。
特徴としては「A-10 サンダーボルトU」に搭載されてる7砲身の30mmガトリング「GAU-8」をCIWSとして採用。
機関砲弾としては巨大な30mm弾を70発/秒の速度で撃ち出し目標を破壊します。有効射程は2km以上。
海自や米軍で多く採用されている20mmファランクスを軽く凌駕する西側最強のガトリング式CIWSです。

※ちなみに東側でゴールキーパーに比肩しうるのは30mm6砲身ガトリング「GSh-6-30」を装備した
旧ソ連で開発されたCIWS「AK-630」とその発展型の「コールチク」くらいではないかと思います。

ゴールキーパーの実物を見たのは今回が初めてで物凄く興奮しましたね。自分の眼前(とねの後部甲板)には
「ファランクス」があるにも関わらず、何百メートル先のゴールキーパーの存在感の方が大きく感じた位です。


アメリカ海軍 「CG62 チャンセラーズビル」

「タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦」の16番艦で1989年に就役。
全長173m、満載排水量9600t、乗員387名、機関:COGAG(ガスタービン×4)、速力30ノット、艦載ヘリ×2機
武装:5インチ砲×2、VLS(122セル:SM-2、トマホーク等)、ハープーン、ファランクスなど。

今年6月に米軍横須賀基地に配属になったばかりのニューフェイスです。今後基地祭とかでじっくり見られる可能性も十分あります。
「タイコンデロガ級」については過去に横須賀で「チャンセラーズビル」を見た記憶があるんですが当時の記憶が不鮮明なのが悔しい。

不格好ながらも余裕のある船体

「スプルーアンス級駆逐艦」の船体にイージスシステムを改造装備し誕生したのが「タイコンデロガ級」です。
後年改造ゆえの左右非対称な不格好さはありますが、個人的にはこのいかにもな改造姿が好きです。
また船体の大きさに余裕があり、装備してるイージスシステムのレベル、搭載してる各種兵器や航空機の能力等を見ると
「アーレイ・バーク級」を凌駕している部分が多く、未だに最前線でバリバリ戦える強力なイージス艦となっています。


アメリカ海軍 「DDG89 マスティン」

「アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦」の39番艦で2003年に就役。2006年から横須賀に配備中。
全長155m、満載排水量9648t、乗員380名、機関:COGAG(ガスタービン×4)、速力31ノット、艦載ヘリ×2機
武装:5インチ砲×1、VLS(96セル:SM-2、ESSM、トマホーク、VLA等)、ファランクスなど。

「アーレイ・バーク級」は海自の「こんごう型」のモデルとなったのは有名な話ですね。(ライセンス生産ではないです)
なので「アレイ・バーク級」と「こんごう型/あたご型」はデザイン的によく似てますが細部は結構な違いがあります。
例えば艦橋構造物。「アーレイ・バーク級」の方が階層が低い、と言うか「こんごう型」の方が高いです。
これは「こんごう型」に艦隊旗艦及び司令部の機能を持たせる為にフロアを増設した事が理由です。

他には前部CIWS(ファランクス)の有無。写真を見て分かる様にマスティンは艦橋前方にファランクスを装備していません。
これに関しては「Mk.41 VLS」に搭載された「ESSM」をCIWSとして使用する為です。結構思い切った選択ですね。

では再び視点を戻し我が海上自衛隊の航空機部隊です。
先頭を飛ぶのが「MCH-101」でその後方に続くのが「MH-53E」です。

「MH-53E」については「掃海を主任務としたすごくデカいヘリコプター」程度の認識だったんですが、
調べてみたら現在の海自では岩国の第111航空隊に5機存在するのみで退役が迫っているという超レア機種。
現役稼働中に何とか実物を見たいですが岩国市は遠過ぎる。関東中部の基地祭とかで見れる機会があれば嬉しいですね。

そんな退役間近の「MH-53E」の後継機として選定されたのが「MCH-101」です。
後継機ですが先代の「MH-53E」の迫力には勝てませんね。ボディのインパクトが違い過ぎる。
「MCH-101」も未見&詳細不明なのでいつかは実物を見たい所。


陸上自衛隊から参加した「CH-47」「AH-64D」 そしてその下を航行する「てんりゅう」

「CH-47」は「おおすみ型」と共同訓練する事が多いと思うので海上飛行シーンも見慣れたモノですが
「AH-64D」は完全な陸上機なので海上を飛行する光景は新鮮ですね。と言うか”海慣れ”してなさそう。


日米の陸海軍が揃った1枚
「CH-47」「AH-64D」「しらゆき」「マスティン」「ちはや」

70年前までは戦争をしてた両国が今では親善航海をしているという現実。平和な時代になった事に感謝です。

右端に写ってる「ちはや」に関しては「潜水艦救難艦」という特殊な艦なのでズーム撮影で詳細を撮ろうと
思っていたんですが目の前を航行する大艦隊の迫力に魅了されててうっかり忘れてしまいました・・・
「・・・くっ! 貴重な瞬間を撮り逃してしまったわ!」

それと「ちはや」と言えば10日の事前一般公開中に甲板にドローンが墜落するという事件が発生。
2日後に観艦式(第1回事前公開)を控えた時期だけに最悪のタイミングでしたね。


「P-1」

2013年に配備が開始されたばかりの最新鋭の対潜哨戒機です。川崎重工業で製造されています。
対潜哨戒機(特に固定翼機)に関しては専門外なので詳しいコメントは省略させてもらいます・・・


「C−130R」

世界的なベストセラー輸送機「C−130 ハーキュリーズ」の自衛隊モデルですね。
「C−130」と言えば航空自衛隊での運用イメージが強いので海上で見る姿は一味違います。
型番にRが付いており調べた所、アメリカ海軍の空中給油機「KC−130R」から給油機構を外し
それを中古機として購入した機体との事。「YS−11M」の後継輸送機として使用するらしいです。


洋上迷彩が鮮やかな「F−2」

「F−16」をベースに日米共同開発された事で有名な機体。形状はF−16に似てますが全く別物の高性能機です。
機体のサイズや能力的に見て「F-15の補助機」的な印象を与えますがそもそも両者の任務が異なっており
F-15は空対空戦闘が主であり、F-2は対艦攻撃が主です。(F-15に対艦ミサイルは搭載できません)
本機の分類に関しては「支援戦闘機」だと認識していたんですが、いつの間にか「戦闘機」に格上げされた模様。


アメリカ海軍「P8-A ポセイドン」

アメリカ海軍の対潜哨戒機で敵潜水艦の索敵・攻撃を担当します。この辺は専門外なのであんまり詳しくないです。


今回の祝賀飛行ですがパンフレットでは「MV−22 オスプレイ」が来る事になっており楽しみにしてたんですが
結局来ませんでした。ちなみに12日と18日は来たみたいです。何で15日だけ来なかったんですかね・・・? 残念!


これにて観閲航行&祝賀飛行は終了です。
我が海上自衛隊が誇る艦艇の威風堂々たる姿を観れたのは勿論素晴らしかったですが
普段見る事ができない他国海軍の艦船を見学出来た事は非常に有意義な体験でした。
個人的要望としては次回の観艦式ではロシア海軍艦艇が観たいです。



そして我が護衛艦隊は「訓練展示」に移る為、各艦が陣形を組むべく移動します。





何十隻もの艦艇が海上を移動するこの光景。
観艦式ならではの醍醐味ですね!!

甲板にいた自分からはどの艦がどの位置にいてどの方向に移動してるのかが
ハッキリ分かりませんでしたが、艦橋やCICのレーダーではバッチリ把握してる訳で
そう考えるとレーダーディスプレイ上ではさぞ面白い光景が見えてたんでしょうね。


個人的に気になった1枚

「きりしま」と「いずも」が重なったこのシーン、個人的にはこの一瞬が「キエフ級航空巡洋艦」に見えてちょっと興奮しました。
この2隻が重なった姿、右舷側の立派な艦橋構造物と左舷側の飛行甲板がキエフ級っぽく見えません?


すれ違う「いずも」と「くらま」

「くらま」の退役は2017年頃と言われているので今回が最後の観艦式になります。
そして次回(2018年)の観艦式では「いずも」が観閲艦になるのではないかと言われています。
なのでこのすれ違いの1コマは「観閲艦の交代・引き継ぎ式」の様にも見えます。

くらま 「オレは今回の観艦式で引退だ、3年後の観閲艦は任せたぞ・・・」
いずも 「ハイ! この名誉ある大役、誇りと責任を持って引き継ぎます!」

みたいな会話が交わされてるかもしれないと思うと胸が熱くなるな!


「しまかぜ」による祝砲・・・の直前のシーン

記念すべきお祝いの砲撃なのにケチって連射モードを使わなかったせいで祝砲の写真はまともに撮れませんでした・・・

何とか捉えた祝砲の瞬間

5インチ砲の横で敬礼してる隊員さんの姿がカッコイイですね。
「しまかぜ」は前後に砲を装備しているので交互に撃っていました。
後で確認した所、発射弾数は全部で8発で35秒間隔で撃ってたらしいです。

ここで忘れてはならないのが後部に搭載された5インチ砲の存在価値です。
現代の護衛艦では後部甲板をヘリ発着スペースとして利用してる例が一般的なので
艦の前後に2門の砲を装備するというスタイルはもはやビンテージであり希少価値です。
そして2015年現在、このスタイルの護衛艦は「はたかぜ」と「しまかぜ」の2隻のみです。
なので今回の観艦式における「後部主砲の発射」は実は記念に残すべき射撃と言えます。


「しまかぜ」の後部甲板

個人的に注目したいのが「5インチ砲とFCS-2が連動して照準してる」という点。照準装置なので連動するのは
当たり前なのですが、こうして実際に稼働している様子を見ると兵器マニアとしてはやっぱり興奮します。


「くらま」の眼前で潜航する「ずいりゅう」もしくは「こくりゅう」

潜水艦が潜航する様子をこんな間近で見られるなんて・・・ 流石は観閲艦。おいしいポジションです。
そして見る角度によっては潜水艦と水上艦が正面衝突しそうになってる風にも見えるこの1枚。
「沈黙の艦隊」での最終章の場面を思い出すな。


浮上する「うずしお」

海水を掻き分ける前部甲板の様子とか潜水艦の醍醐味ですね。
過去の観艦式では喫水線下が見えるくらい派手に浮上してたんですが最近は大人しめの浮上ですね。
理由としては船体に貼られた吸音タイルが痛むからだとか。他には船体構造の秘匿という点もあるかも。


再び潜航する「うずしお」

「潜水艦は海中に潜る為の乗り物」という事は当たり前の事実なのですが、改めて考えるとすごい乗り物ですよね。
「水上航行時はディーゼルエンジンで、水中航行時はバッテリーにそれぞれ切り替え航行」
「潜航時にはバラストタンクに海水を注入し浮力を失わせ沈降、浮上時は空気を注入し浮力を回復させ浮上」
「水中では視界ゼロになるのでソナー(音響反射)による航行、そして縦舵・横舵を駆使した3次元移動」
など一般人の理解を超えた特徴が満載です。う〜ん、久し振りに「鉄のくじら館」に行きたくなってきました。


ここで改めて観閲艦「くらま」

ヘリ甲板に隊員さん達が集結し何らかの式典もしくは作業を行っているみたいです。
観閲艦なので本来なら「自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣」、つまり安倍首相が
ヘリに乗って乗艦し自国の防衛戦力を把握及び隊員を激励するのが通例なんですが
今回15日はあくまで予行なので安倍首相の乗艦はありませんでした。


「くらま」後方をドリフト気味で爆走する「PG829 しらたか」

「はやぶさ型ミサイル艇」の6番艦(最終艦)として2004年に就役。佐世保の第3ミサイル艇隊に所属。
はやぶさ型は過去にリポートしましたが、こうして航行中の姿はやはり迫力があります。
「しらたか」及び「くらま」の後方に白煙が上がっていますが、これは「しらたか」が
赤外線誘導ミサイルを欺瞞する為の装備「IRデコイ」を発射した結果です。

「PG826 おおたか」

「はやぶさ型ミサイル艇」の3番艦として2003年に就役。上述の「しらたか」と同じ佐世保の第3ミサイル艇隊に所属。
派手に海面を掻き分ける船首がカッコイイ1枚です。ちなみにこの時は35ノットで航行してたらしいです。
最大速力44ノットを誇る海上自衛隊最速の艦艇である「はやぶさ型ミサイル艇」。不審船対策への活躍が期待されます。


同じく爆走する「エアクッション艇1号型」

アメリカが開発したホバークラフト「LCAC」を海上自衛隊が購入し「エアクッション艇1号型」として正式化した装備。
2015年時点で6隻保有し、「おおすみ型」に各2隻づつ搭載され運用されています。
60トン以上の積載量があるので90式戦車も余裕で運べます。

ご存知の様にLCACは「ホバークラフト」であり下方向に強力な空気流を送る事により
船体を数十センチ浮上させ航行(飛行?)するので構造的には航空機に近いとも言えます。
またこの数十センチの隙間により超堤能力(障害物を乗り越える能力)が高いので
砂浜や陸上へのランディングは勿論、ちょっとした凹凸は難なく突破できます。
そして「レッド・ブロンクス」に見られるように人間が轢かれても助かる可能性が・・・?


「P-3C」による対潜爆撃

対潜哨戒機の本領発揮、爆雷の投下です。ちなみにこの時の高度は200フィート(60m)らしいです。

爆発の瞬間。

この爆撃のシーンは非常に迫力がありました。派手に舞い上がる水飛沫は勿論ですが
爆発の衝撃が海中を伝わって「とね」の船体にもドーンと伝わった時はすごく興奮しました。


「P-1」によるフレア発射

主に赤外線誘導ミサイルを欺瞞・回避する為の装備で、簡単に言うと「熱く激しく燃える化学薬品」ですね。


「ブルーインパルス」も登場

航空自衛隊が誇る曲芸飛行チームです。自分はそれ程詳しくないんですが父親が大好きみたいです。
今回改めてブルーインパルスについて調べてみたんですが歴史、機種、編隊、演目などであらゆる面で
「航空自衛隊の華」である事を再認識。これからも航空自衛隊の空を輝かせてほしいです。

6機がそれぞれ輪を描きオリンピックマークの様な模様を描き出す「サクラ」

今回は空に雲が多くどちらかと言えば悪天候気味だったので残念ながら演技が見栄えしませんでした。
ブルーインパルスを見るなら晴天の航空自衛隊祭が一番ですね。


これにて「訓練展示」は終了。各艦は帰港に向け航行します。

この時の「とね」甲板の様子ですが、メインイベントが終わり乗客は緊張の糸が切れたのか甲板で毛布に包まって
休憩(仮眠?)する人が大量に発生。さながら「遭難者を救助し多数収容した直後」みたいな光景になってました。
ちなみにこの時なら艦内の人混みは最小限であり艦橋などはガラガラだったのでマニアには絶好の撮影タイミングでした。


「くらま」 最後の勇姿

航行中の姿を観られるのも今回が最後でしょうな・・・ すごく名残惜しい。
「くらま」は2017年に退役する予定らしいのでせめてそれまでに
一般公開等でより詳細な姿を写真に残しておきたいですね。

ヘリ甲板で何らかの作業中

安全柵が倒されているのでヘリの発着艦訓練をしてたのかも。
今回「くらま」に乗艦できた人は本当に幸運だったと思います。


1342(ヒトサンヨンフタ)時点でのGPS現在位置

ふと気になってスマホのグーグルマップを起動。13時42分の時点では写真の洋上位置でした。
もっとも鉄の甲板の上なので多少誤差が出てる可能性もあります。あくまで参考程度に。



訓練展示は終了しましたがイベントとしてのお楽しみはまだ終わりません。
各艦ごとに装備のデモンストレーションなどの催し物がありました。

「とね」後部甲板にて「ファランクス」のデモンストレーション準備。

隊員さんがファランクスのマウントに登りデモの為の準備をします。ちゃんと転落防止用の安全帯を装着してます。
ファランクスの担当という事で1分隊・砲雷科のCIWS員といった感じのポジションだと思います。
この写真では何らかのレバーを操作しアモ・フィーダー内に模擬弾を装填している様子でした。


左舷上空の対空目標をロックオン! 射撃用意!

左右の旋回、上下の俯仰を組み合わせマウントごとグイングインと動きます。(残念ながら砲身の回転は無し)
自分を含め周りにいた観客はその挙動に驚きと喜びの声を上げていました。
コンピューター制御で無感情に動くその姿はさながら「ターミネーター」でした。
ご存知の様にファランクスはコンピューター制御により完全自動で作動しますが、今回は目標が存在しないので
実際にはCIWS管制室とかで隊員が手動で操作していたものだと思われます。


そしてコチラは前部甲板に装備された76mm砲。

76mm砲は対空砲としての用途も含まれているので写真の様に大きな仰角が取れます。
コチラも旋回・俯仰のデモンストレーションを披露し派手に稼働していました。空砲や砲身の疑似作動は無し。
デモ中はCICから主砲管制のリアルタイム実況があったのですが専門用語ばかりであまり聞き取れませんでした。
いくつか聞き取れたのは「対空戦闘」「目標は真っすぐ突っ込んでくる」「主砲撃ち方始め」「撃ち方やめ」「対空戦闘用具収め」など。
76mm砲の稼働シーンについては「亡国のイージス」あたりもそこそこ参考になるかと。


第2分隊・航海科員によるラッパ演奏

軍艦乗りの士気を高める要素の1つがラッパです。起床、出港、国旗掲揚など重要な場面では
航海科の隊員がラッパを吹き誇らしい音色を奏でます。つまり毎回生演奏です。

このラッパですが音程を調整する為のボタンが付いてない「ただの管」との事で、
音程の調整・変化については隊員さんの唇の動きと吐息量で調整してるらしいです。

またラッパは陸海空2自衛隊で使われていますが元々の管の長さは同じで、
海自のラッパは2巻きで全長が長め、陸と空のラッパが3巻きで全長短めだそうです。


帰港途中で見かけたジェットフォイル

東海汽船に所属する「セブンアイランド虹」という船。大島や式根島への輸送船として運行してるみたい。

これを見てかつて海上自衛隊にも「1号型ミサイル艇」というジェットフォイルが存在した歴史を思い出しました。
基準排水量50トン、最高速度46ノットという異端な艦で3隻が建造され、北海道の余市防備隊に
配属されてましたが2010年までに全隻が退役、後継の「はやぶさ型」にその任務を譲りました。
「1号型ミサイル艇」は1度でいいから実物を見てみたかったですね・・・


1704(ヒトナナマルヨン)頃 横須賀に帰港

「うらが」と「ぶんご」、そして他何隻かの艦は既に接岸しています。
自分は船乗りではありませんが港に帰ってくるとホッとしますね。


1706(ヒトナナマルロク)頃 国旗降ろし

これは「ぶんご」の艦首だったかな? 今日1日の訓練(稼業)の終わりを告げる1コマです。
基本的に朝の国旗掲揚は0800と決まっていますが、国旗降ろしは日没に合わせるので時期により変動します。


接岸作業で大活躍「タグボート」

湾内での接岸作業とくればタグボートの出番です。戦車の超信地旋回の如く
グルングルンと小回りを利かせ護衛艦を押したり引いたりしながら接岸します。
タグボートは接岸作業における重要な船ですが、正直地味な存在なので詳細を知らない部分が多く
自分も「シュナイダープロペラとかいう特殊なスクリューを装備してる」くらいの知識しかないですね。
今後機会があればある程度じっくり調べてみたいところです。


17:25(ヒトナナフタゴー)頃、てんりゅう右舷に接舷完了。ようやく帰港しました。

この接舷に際して通常の青い作業服を着た隊員さん達がチラホラと登場。
観艦式は立派な式典なので隊員さん達は制服を着て正装してた訳ですが
自分的には作業服姿の隊員さん達の姿も是非見ておきたかったです。


夜空に浮かぶ護衛艦の勇姿

海上で不安定揺れる船体から強固な地面へと降りた時の「体が安定する感覚」は独特の安心感があります。

海上自衛隊の皆様
とても楽しいイベントをありがとうございました!


艦を降りた後は再び基地内を進み出口へ向かいます。
ふと気になって今朝の武装警備隊員がいた場所を見たら再び警備してました。お勤めご苦労様です。
例の青迷彩戦闘服を着用してた訳ですが、それに関係なしで闇に紛れて発見困難でした。

それと帰り際に「厚生センター」に寄ってみました。基地の隊員さんが日用品などを買う生活の場です。
ヤマザキショップや宮地洋服店さんが入店しており、コンビニ的な生活雑貨や制服や作業服を販売してました。
当たり前ですが制服や作業服は一般人への販売は不可。でも出来ればレプリカとか欲しいですねー。


こうして1800(ヒトハチマルマル)過ぎには完全に横須賀基地を離脱。
翌日には仕事なのでなるべく早めに帰宅すべく行動します。

帰りは京急田浦駅→金沢八景駅→朝比奈IC→諏訪南ICといったルートです。

途中の談合坂サービスエリアで夕食です。 かつ丼半そばセット¥980

疲れた体に染みるぜ・・・

こうして23:10(フタサンヒトマル)頃に帰宅。累計走行距離は約509kmでした。


〜帰宅後〜
後日デジカメの写真を確認したら何と750枚近くも写真を撮ってました。
ダブリや写りの悪い物もあるので改めて整理しますが我ながらいっぱい撮ったなぁ・・・
それと翌日ですが脇の下の辺が筋肉痛になりました。原因はカメラを頑張って構え過ぎた事かと。
次回からは1脚とかあればいいかも知れません。

〜その他〜
帰宅後、頑張って今回の観艦式のレポートを作成してた訳ですが10月16日の夜に
「海上自衛隊に入隊しCIWS担当として配属される」という夢を見ました。
寝る直前まで強く意識していた事は夢に出やすいってホントですね。

実はブックマークしてる「とある海上自衛隊ファンサイト」があるんですが
そこの管理人さんも15日に「とね」に乗艦してたらしいです。


今回の記念品

今回購入したのは帽子とワッペンだけですね。他は現地で貰ったパンフレットです。
観艦式は「観る」事がメインのイベントなのでグッズの購入はそれ程重要ではないかと。
それでも今回の護衛艦乗艦をハッキリとした形(モノ)で残したいという考えもあります。
なのでおもちゃ屋に行って「とね」のプラモ買わなきゃ!!




〜平成27年度 観艦式の感想〜
今回3年ぶりの観艦式参加となりましたが
やっぱり護衛艦に乗って海に出るのは素晴らしいです。
波に揺られる船体、ガスタービンエンジンの音と振動、鉄の甲板の感触
四方八方に展開する大艦隊、目の前で稼働する装備、格好いい隊員さん達の姿、etc・・・
あらゆるものが非日常体験的で海上自衛隊ファンとしての感性や意欲を大いに刺激されます。
また今回は3年前と比較して海上自衛隊に対する情熱や予備知識を事前に蓄えてでの参加だったので
3年前と比べてよりスムーズに理解が進み、自分的には最高に楽しめるイベントとなりました。
この情熱を維持し2018年の観艦式も全力で応募、楽しみたいですね。
個人的願望としては次回は「はたかぜ」か「しまかぜ」に乗艦したいです。


出港編                艦内編

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