昭和の夕暮れ作戦
2017.3.3〜3.6

今回は海上自衛隊の「佐世保基地」と「呉基地」の一般公開に参加した時の様子をリポートしたいと思います。

今回の作戦の発端となったのが「DDH-144 くらま」と「TSS-3601 あさしお」の退役です。この2艦は特別な船体・任務の艦であり
「昭和の海上自衛隊を象徴する艦」と言える名艦なのですが、共に2017年3月に退役する予定となっています。
なので「何とか2016年度内に実艦を見学せねば!」と意気込んでいたのですがスケジュールの都合でその願いは叶いませんでした。

しかし諦め切れず最期に確実に見られる機会・・・ こうなったら母港に直接見に行くしかない!
と思い今回の計画を発案。それぞれの母港である佐世保基地と呉基地に赴く事にしました。往復で2000km以上の超・長距離作戦です。

今回の作戦で重要なのが基地の見学日時です。「くらま」と「あさしお」の退役予定は3月ですが具体的には3月の何日に退役なのか?
その辺は防衛機密でもあるので一般人の自分が知る由もありません。なので「確実に母港に停泊してる日」を予想しなければなりません。
そこで過去の同型艦の退役日などを調査。しかし月の初旬だったり中旬だったり下旬だったりとバラバラで一貫性が無いのでとりあえず
仮に退役日が3月中旬(15日頃)として、準備等で2週間前には母港に停泊してると予想。
色々と悩んだ結果、最終的に3月3〜6日の4日間で佐世保と呉を巡るという行程に決定しました。(ちなみに3日と6日は有給を取りました)

目的地である佐世保基地は自分が住む長野県から(車で行った場合)1100km以上も離れているので車での往来は諦め飛行機で行くにしました。
そして飛行機で行く(車で行かない)という事は現地で自由に動ける足が無い&車中泊も不可能という意味でもあるので
事前に目的地をはっきり決めて現地の電車やバスの時刻表を調べてルートを選定、同時に現地のホテルも予約するなど入念な準備を行いました。

そして「Operation M.K.I」と同じく今回も何かそれらしい作戦名が欲しいと思い「昭和の夕暮れ作戦」と命名しました。
余談ですが今回の予算は現金55000円、クレジット利用分10000円です。それと移動の際に邪魔にならぬ様、荷物は最小限に抑えました。


長野県から佐世保市へ
2017.3.3

「昭和の夕暮れ作戦」の1日目は飛行機で佐世保に向かう所からスタートです。長野県には「松本空港」という県内唯一の空港があり、福岡行きと札幌行きの便が設定されています。
目的地が長崎県・佐世保なので福岡行きの便に搭乗する訳ですが飛行機に乗るのは人生で2回目です。1回目に乗ったのが何十年も昔(しかも特殊な状況)なので
実質的に今回が初めての飛行機搭乗と言えます。なので色々と四苦八苦しながら行動しました。搭乗チケットの購入もその1つで普通に当日搭乗する場合だと運賃は片道37000円と
かなり高額になってしまいますが、早期に予約すると大幅な割引になるとの事で2ヶ月前にはチケットを予約。運賃は片道17500円とかなり安く抑えられました。凄い割引き率ですね。


松本空港(信州まつもと空港)に到着  (10:40頃)
 
「ほぉ〜、これが松本空港か。 ・・・意外と小さいな」と言うのが第一印象。滅多に行かないので良くも悪くも新鮮です。ちなみに駐車場は300台収容可能でしかも無料。素晴らしい!

右の画像は「長野県消防防災航空センター」です。出発前に空港内を散策してた際「お、ヘリが駐機してるじゃん、とりあえず写真撮っとこう」と軽い気持ちで撮ったのですが
2日後の3月5日に画像の防災ヘリコプター「アルプス」(ベル412EP)が墜落し乗員9人が亡くなるという痛ましい事故が発生。亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。


空港内の様子や模型など
 
小さな空港なのは間違いないですが綺麗なロビーや精密な模型を見るとモチベーションが上がります。今回自分が搭乗するのはFDA205便(13:15発)です。


2Fのラウンジにあったフライトシュミレーター
  
空港らしくフライトシュミレーターがあったので早速プレイ。ちょww これ機体のコントロールが難し過ぎる!

例えば画像の様にマーカーに合わせて飛行するというミッションの場合、スロットルを操作してエンジン出力を上げつつ操縦桿を少し引いて機体を上昇させる訳ですが、
操縦桿を引く→機体が上昇するまでのタイムラグがあり「あれ? 機首が全然上がらないな・・・ と思ったら一気に上がって来た! 今度は機首を下げなきゃ!」と思い
操縦桿を押し込んでもタイムラグによって直ぐには下がらず、そうしている内に今度は左右方向へのズレが発生。「左右移動ならラダーペダル(ヨー挙動)で対処せねば」
とも思いつつ「でもラダーだと効きが悪くて姿勢変更に時間がかかる、むしろ機体を軽くロールさせて修正を・・・ ダメだ、機体を大きく傾けると乗客からクレームが・・・」
などとパニックになってる内に飛行指示マーカーから完全に外れそのままゲーム終了。いや〜、凄く操縦が難しいな。エースコンバットのノリでプレイすると危険ですわ。

それにしてもこういうゲーム機っていいね。小〜中学生時代にゲーセンで遊んだ記憶と感覚が甦ります。自宅に置いて思う存分プレイしたい。
こういう「アーケードゲーム筐体」について調べたら中古機だと数十万円で買えるみたいですね。予算と場所があれば真面目に検討したい。


この後手荷物の検査を済ませ搭乗待合室へ。上述した通り飛行機に乗るのは人生2回目(※実質初めて)なのですが、やはりセキュリティーが厳しいですね。
金属探知機で全身を細かくチェックされたりX線検査装置でバッグの中身がスケスケになったり。車のキーと一緒に携行してるレザーマン(ナイフ無しモデル)も
機内への持ち込みは不可との事なので車に置いてきました。航空機の安全な運航に全力を尽くしてると実感した場面でした。やっぱり航空機の世界って凄い!


搭乗待合室から見た風景

松本空港は小さな空港だけど、自然豊かな風景が自慢です。と言いたくなる1枚。


「エンブラエル ERJ-175」   (JA05FJ号機)

今回自分が搭乗する「エンブラエル ERJ-175」です。あまり聞いた事が無いメーカーだったので調べるとブラジルの航空機メーカーとの事。
軍用機ファンの自分としてはアメリカ、ロシア、ヨーロッパ系の航空機メーカーはそこそこ知ってるつもりでしたが、ブラジルとは盲点でしたね。

機体カラーは鮮やかなオレンジ。FDAの飛行機はカラフルな機体が有名なので「自分が乗る機は何色だろ〜?」とワクワクしながらの対面でした。


荷物の積み込みや乗客の搭乗を済ませ13:17頃に離陸
 
トーイングカーによって滑走路まで移動、いよいよ離陸です。ぐっ・・・! ちょっと殺人的な加速だ!というのが離陸時における率直な感想。
何十年ぶりの飛行機搭乗という事で離陸時の加速の感覚が凄く新鮮、と言うか軽く恐怖すら感じましたね。いや〜、飛行機って興奮と感動を与えてくれる素晴らしい乗り物ですね。


窓から見える景色@
 
幸運にも窓側の席に座れたので素晴らしい景色を眺めながらのフライトとなりました。普段自分が暮らしてる長野県の街がミニチュア模型の様に見えたり、アルプス(?)の山々が綺麗だったりと素晴らしい時間が流れます。


窓から見える景色A
 
遥か上空の飛行機からでも結構ハッキリと地上の地形や施設が視認できるんだね〜。移り変わる景色を眺めるのが楽しくて約90分間のフライトも全く苦になりません。
ただ少し気になったのが機内の騒音です。トンネルを通過中の新幹線の様なゴォォーー!という音が常に響いてました。別に不快ではありませんが、飛行機のグレード相応の防音構造なのかなーとか思ったりしました。

途中で何度か現在位置等のアナウンスがありましたが、スマホの電源を切っていた為メモ帳に記録する事が出来ず。手書きのメモ帳を持参するべきだったと後悔しました。(1回目)
うろ覚えだと「13:40頃の時点で滋賀県・琵琶湖の上空を飛行中」とか「現在の高度は10300mです」とか言ってた様な・・・  窓から見える景色と機内放送から現在位置を把握する航空航法を身に着けたいですな。


福岡空港に到着  (14:49頃)
 
予定時刻(15:05)より少し早く到着。と言うか福岡空港ってデカいな! つい90分前に地方の小さな松本空港から出発した自分にとって福岡空港は大都市の巨大空港だと感じました。
調べてみると年間利用客数や年間発着回数は羽田・成田に次いで国内第3位らしいです。そして滑走路が1本しか無い為、滑走路1本あたりの離着陸回数が日本で最も多い「混雑空港」に指定されているとの事です。

長野県人にとっては遥か遠くの国と言える九州・福岡県。スマホのGPSアプリで調べてみると2012年12月21日に仕事で福岡県に来てますね。ちなみに松本空港から福岡空港までの直線距離は約740kmです。


空港内には海上保安庁と航空自衛隊の基地も
 
空港内には「海上保安庁第七管区海上保安本部福岡空港基地」と「航空自衛隊春日基地板付地区」が併設されています。一般旅客機、海保機、空自機と3種類が楽しめる素晴らしい空港ですね。


ターミナルビルとボーディング・ブリッジ                                                    福岡空港のミニチュア模型
 
松本空港と比べて桁違いに大きな福岡空港。内部は広大かつ複雑で軽く迷子になる様な有り様です。時間があれば博多ラーメンでも食べたいと思ってましたが無理でした・・・

次は長崎県・佐世保市に向かうべく事前に予約しておいた高速バス(16:22発)に乗ります。福岡空港から佐世保市への直行便で乗車時間は約100分、料金は2210円です。
途中で佐賀県を横断しながら「SAGA・・・ はなわの歌で有名な県だな。そして海軍エースパイロットの坂井三郎氏の出身県だな」とか考えたり、昼食をまともに食べていないので
ちょっと具合が悪くなってバスに酔ってしまったり、佐世保のバス停に到着した時にうっかりバス内にカバンを忘れそうになったりと色々ありましたが遂に佐世保市に到着しました。


佐世保市に到着  (18:15頃)
 
ここが海上自衛隊・第2護衛隊群の基地を擁する街、佐世保か!(ジパングの角松洋介とブレイブウィッチーズの雁淵姉妹の街か!)
遂にやってきました佐世保。海上自衛隊の街として以前から名前は知ってましたが実際に行くのは今回が人生初です。現地を直で見るとやっぱりテンション上がりますね。まずはGPSで自分の現在位置と
周辺の状況、そして佐世保基地の方角を確認。とりあえず佐世保駅を抜けて海側に向かうと海上保安庁の「とから型巡視船 きくち」と「あまみ型巡視船 あまみ」を発見しました。おぉ、雰囲気出てきたね。


「AMS-4303 あまくさ」                                                           「DDG-173 こんごう」
  
佐世保基地の方角を見ると複数の護衛艦を発見。ぱっと見た感じでは「あまくさ」「こんごう」「あしがら」「しまかぜ」「はまな」、そしてアメリカ海軍補給艦「ペコス」を確認出来ました。
海自/米海軍の艦船が何隻も並んでる光景は素晴らしいですね。余談ですがもし高速バスの到着時間が間に合えば自衛艦旗降下を見学しようと思っていましたがダメでした・・・


日も落ちて暗くなってきたのでとりあえず夕食に
 
夕食は長崎県のご当地グルメを食べるべく佐世保駅近くのお店で皿うどん(細麺)を注文。たっぷりの具材(特に牡蠣)が入った餡、パリパリと細麺が美味しかったです。現地で食べるご当地グルメは特別ですね。


夕食後は佐世保駅周辺をブラブラ



カトリック三浦町教会                                                        アルカスSASEBO
 
駅前の大通り(国道35号)を歩いていると立派な教会を発見。キリスト教(カトリック)の教会だそうです。県外者にとっては天草四郎による島原の乱など「長崎県=西洋文化が浸透した県」というイメージがありますね。
右画像のアートチックな建物は「アルカスSASEBO」という多目的ホールです。余談ですが翌日3月4日に「海上自衛隊佐世保音楽隊 第45回定期演奏会」と「平成29年度入隊・入校予定者激励会」が行われました。


佐世保駅周辺の繁華街など
 
佐世保って結構都会なんですね。この地で勤務する自衛官にとっても遊ぶ場所には困らなさそう。横須賀や呉もこんな感じですね。(そして自分の好きな舞鶴が一番田舎なのが悔しい)

この後20:45頃に予約しておいた佐世保駅前のホテルにチェックイン。宿泊料金は9350円(2泊)でした。結構古いホテルで廊下とかバイオハザードの洋館みたいな雰囲気でしたが
部屋はちゃんと綺麗に手入れされていてトイレやシャワーなどの設備もしっかりした良い部屋でした。それでは明日の作戦に備えて早めの就寝です。あふぅ・・・おやすみなさいなの・・・


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