海上自衛隊 呉史料館 (てつのくじら館)
2017.3.5


「昭和の夕暮れ作戦」は3日目に突入。今回の呉での行動目的は「あさしお」の見学・撮影と呉基地の一般公開(予約制15:00)です。


佐世保駅→博多駅→広島駅→呉駅というルートを経て11:35頃に呉市に到着。
 
呉市に来るのは2016年5月の「Operation M.K.I」以来、約10ヵ月ぶりですね。時間に余裕があったのでとりあえず近辺を散策します。


呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)                                                   呉基地ゆかりの記念楯やお土産など
 
歴史ファンや海軍ファンに人気の大和ミュージアムですが、今は観光シーズンでは無いので見学客も少なめでした。そして自分は旧帝国海軍にはあまり興味がないので今回も見学せずにスルーしました・・・

右画像はゆめタウン呉近くの観光センター(?)の様子。呉基地に関係した海上自衛隊の記念楯が展示されてたり映画「この世界の片隅に」のお土産などが販売され、「海軍の街・呉」をアピールしてました。
「ちょうかい」の記念楯が飾られており、「ちょうかいって佐世保の配備じゃないの?」と思い調べてみると第4護衛隊群(司令部:呉)第8護衛隊(母港:佐世保)の所属という扱いらしい。ややこしいな!


大和波止場
 
去年訪れた際には「呉湾やJMUを眺められる良い臨海公園だなー」という程度の感想でしたが、実は戦艦「大和」の左舷前甲板を再現してると知り驚きました。
世界最大の戦艦として有名だった大和。全長263m、全幅約39mという巨大な船体の甲板を再現した場所を歩くと当時の日本海軍の艦上生活を追体験してる様な気分になりますね。


ジャパンマリンユナイテッド
 
ジャパンマリンユナイテッドで整備点検中の「DD-105 いなづま」や、建造中の貨物船など造船所ならではの魅力的な光景が広がっています。


呉湾内に「そうりゅう型」を発見
 
ふと呉湾内を見ると潜水艦を発見。X型潜舵なので「そうりゅう型」ですね。潜水艦の入出港は防衛機密に関わる事なのであまり紹介するべきではありませんが、珍しい光景なので軽ーく紹介。


海自ファンにとっては定番の観光スポットである「てつのくじら館」へ

あれ!?  何か「あきしお」がやけに艶々してるじゃん!!
 
去年見学した時と比べて明らかに船体に艶が出ています。今年は「てつのくじら館」オープン10周年の節目なのでリペイントを行っているとの事です。去年の見学の際の心配だった点が解決されて安心しました。


館内を見学
 
館内の展示物については去年熱心に見学&リポートしてるので今回は割愛。基本的な展示内容は変わってませんが、10周年記念という事で展示方法が多少変更されてる点もありました。


「SS-579 あきしお」の生涯を紹介

「あきしお」の就役から退役、そして地上展示艦への改修や設置までの過程を紹介したボードが新たに展示されてました。こうやって写真で紹介されると分かりやすいですね。


実は去年の見学の際に72式魚雷の写真をあまり撮っておらず詳細なリポートも作成していなかったので今回改めて見学しリポートしたいと思います。
 
72式魚雷は1954年(昭和29年)から研究・開発が始まり1972年(昭和47年)に制式化。「うずしお型」「ゆうしお型」「11号魚雷艇」などで運用された後、1994年に退役しました。
全長6250mm、直径533mm、射程距離20km(45ノット時)/10km(65ノット時)、炸薬量300kg、レシプロエンジン(アルコール燃料+過酸化水素酸化剤)で推進する構造です。


内部構造を見学できるカッタウェイ

昨日訪れた佐世保史料館にもほぼ同じ物が展示されてますが、あちらは撮影禁止なので撮影・観察しレポートを作成するという点では呉の方が有利かな。


弾頭部                                                                  酸化剤室?
 
オレンジ色の区画は弾頭部です。ここに300kgの炸薬が装填されるという訳ですね。上部と下部にある円形のパーツは信管だと思います。磁気や接触によって作動する感じでしょうか。
自分の知識だとこの弾頭部の前方にソーナー等が装備され自律的に敵艦を探知・攻撃すると思っていたんですが、説明によると72式魚雷はホーミング機能を有さない直進魚雷らしい。
え、それってWWU時代の魚雷みたいにただ真っ直ぐにしか進めないって事? 照準は全て潜水艦の腕にかかってるって事? もしそうだとしたら意外にもローテクな設計なんですね・・・

弾頭部の後方にあるのが酸化剤室(画像右)・・・だと思います。この部分に過酸化水素が充填されていて、化学反応によって魚雷後部のレシプロエンジンを作動させる・・・って感じかな?
72式魚雷は旧帝国海軍の「酸素魚雷」の技術を基に開発され日本得意の科学(化学)技術が満載ですが、自分には化学の分野は厳しいです。化学が得意な某アイドルに教わりたいね。


前部浮室                                                                   機関室
 
酸化剤室の後方に位置するのが前部浮室(画像左)と呼ばれる区画です。見た感じでは電子部品などがぎっしり搭載されているので、魚雷の深度や速度を方位を調整する制御部分っぽい気がします。

そして更に後方にあるのが機関室(画像右)です。レシプロエンジンを搭載してるとの事なので内部にシリンダーやピストンやクランク等があると思いますがゴチャゴチャし過ぎてよく分からないですね・・・


燃料室                    推進装置

そして魚雷の最後尾にはアルコール燃料室と推進装置があります。見ての通り2重反転式プロペラです。魚雷ならではの独特な推進機構って感じですね。

よく見ると本体に取り付けられてる安定板(ヒレ)の後端が可動舵の様になってます。72式魚雷はホーミング機能を有しないらしいので姿勢制御用とかかな。

今回72式魚雷のレポートを作成するに当たりネットで色々と情報収集を行いましたが、初心者にも理解しやすい解説情報は中々見つからなかったですね。
魚雷は機密性が高い兵器なので情報が少ないのは当然ですが、海自ファンとしては魚雷の構造や運用を知る事も必要なので今後も情報収集に努めます。



さて、てつのくじら館の館内見学が終了し次は同館の目玉である実物展示潜水艦「あきしお」の艦内見学です。去年見学した際は写真撮影禁止だったので
今回もダメだろうと思っていましたが、係員の方に伺うと「今は観光シーズンオフで見学客も少ないから自由に艦内の写真を撮ってもいいよ」と言われました。
何・・・だと・・・? 一体いつから・・・ 艦内は撮影禁止だと思い込んでいた?
「あきしお」は既に退役し展示物となった旧艦であり、一般に公開している以上、特に秘匿すべき個所は無しという感じらしい。何だ、意外とオープンなんですね。


という訳で写真を交えながら詳しく紹介したいと思います。まずは先任海曹室です。
  
「あきしお」の右舷に設置された見学用入口から入ってすぐのこの場所はかつては先任海曹室でした。現役時代はこの場所に3段ベットやソファーやテーブルなどが設置されていたらしいです。

壁の時計は1時45分で止まっています。これは2004年3月3日午後1時45分18秒に「あきしお」の退役に際し、3分隊の電機員によって止められました。「あきしお」の歴史を物語る品です。

奥に見えるのが士官便所と士官シャワー室です。艦内にトイレやシャワーが何ヶ所あるのか不明ですが、約80名の乗組員がルールを守って使っていたはず。潜水艦は秩序ある空間ですね。


先任海曹室
 
湾曲した壁面がいかにも潜水艦っぽいです。「ゆうしお型」は複殻式構造なので艦内(内殻)と船体(外殻)の間には”空間”が存在し、燃料や海水のタンクに利用しています。

そして海自の潜水艦の歴史を綴る品として識別帽も展示。売店で普通に販売されてる物もあればアメリカ海軍の「シーウルフ級」の識別帽など珍しい物も展示されてました。


中央通路                                                                   中部昇降口
 
艦内の中央通路(という名称でいいんでしょうか?)です。見ての通り非常に狭い通路で人がすれ違うのも困難です。この通路の両脇が士官寝室や調理室等になっています。

そして中央通路と甲板を繋ぐのが右画像の中部昇降口です。ここから甲板へ出入りします。水圧に耐える為にかなり頑丈な構造になっててメカ好きとしては興奮不可避です。
潜水艦には何ヶ所か昇降口がありますが、コチラは停泊中などに艦内外へ出入りする「舷門」的な感じかな。(現行の「おやしお型」なども中部昇降口からよく出入りしてるし)


中央通路から艦尾側を見る

艦内は非常に狭いです。なのでカメラのファインダーを覗きながらの撮影は困難だったので、ライブビュー(ディスプレイ)モードに切り替えて撮影してました。


士官寝室や調理室など
  
艦内空間に余裕が無いので士官と言えども3段ベッドです。ちなみにこの真下が曹士の科員居住区となっており、同じく3段ベッドが並んでいます。
海自の護衛艦(水上艦)は80年代末頃から2段ベッド化が標準化しましたが、潜水艦は「おやしお型」から(士官寝室のみ)2段ベッド化したらしい?
そして曹〜士は最新の「そうりゅう型」でも3段ベッドのままです。今後自動化が進んで乗組員が少なくて済む様になり2段ベッド化するといいですね。

余談ですが第3士官寝室の最上段ベッドをよく見ると「機関長」と書かれてました。「ハイスクール・フリート」で例えると柳原麻侖のベッドで訳でぇい!

士官寝室に隣接するのが調理室です。食事は潜水艦における数少ない娯楽であり、4分隊の給養員が腕によりをかけて美味しい食事を作ります。
給養員は4名程らしく、6時間勤務(4交代制)という潜水艦独特の勤務に対し1日に4回の食事を作ります。ある意味一番忙しい部署と言えるかも。


士官公室
 
艦長や士官が会議や食事をする場所です。士官が使用する部屋なので木目調のお洒落で高級感ある内装となっています。しかし緊急時にはこの場所で手術を行う場合も・・・
この部屋は調理室と小窓で繋がっており出来立ての食事が受け取れる様になっています。壁にはテレビ(懐かしのブラウン管テレビデオw)も設置され憩いの場となっています。


第1・2士官寝室                                                             区画防水扉
 
士官公室の反対側(左舷側)に位置するのが第1・2士官寝室です。現在は見学用のスロープが設置されていますが、広報写真によると現役時代には壁で区切られた小部屋となっていました。

士官公室の奥にあるのが区画防水扉です。「あきしお」艦内は5つの区画に分かれており、万が一火災や浸水が発生した際にはこの防水扉で区画ごと閉鎖しダメージコントロールを行います。


何らかの装置                                                                  艦長室
 
左の画像の装置については詳しくチェックしなかったので何の装置か不明です・・・ ただ発令所と同じ区画にあるので航海に関係した重要な装置だと思います。ちなみにこの真後ろにある部屋が電信室です。

艦長室は過去に何度か見学していますが、新しい発見としては「場所的には発令所と同じ区画にあるので緊急時には迅速に対応出来るけど非番時も気が休まらないなー。潜水艦の艦長は大変だ」という感じ。


魚雷搭載口
 
発令所へと続く通路の床は見ての通り分割・取り外しが可能になっており、下の魚雷発射管室と繋がっています。そして通路の天井には甲板と艦内を繋ぐ魚雷搭載口があります。
魚雷を搬入する際はまず甲板から斜めに魚雷を搬入し、発令所通路の床を通り抜けて更に下の階層にある魚雷発射管室へと搬入するという手順です。凄く合理的な設計ですね。


いざ、発令所へ・・・!?

ここから先は潜水艦の中で最も重要な区画と言える「発令所」です。今回は見学客が少なく発令所内の写真もいっぱい撮影する事が出来たので熱心に分析&リポートしようと考えていたのですが・・・
退役したとは言え発令所は機密情報の塊。それを自分の偏見的な意見や考察でリポートするのは防衛機密的にも好ましくない
という考えに至ったので発令所の紹介は割愛します。興味がある人は是非自分の目で確かめて下さい。シーズンオフならば見学客も少なくてゆっくり見られるし案内員さんも親切に色々教えてくれます。

「あきしお」を見学するのは今回で3回目ですが過去最高の見学でした。写真撮影OKという点が非常に大きく、家でじっくりと画像を確認&分析できたので見学リポートが作成しやすかったです。
更にてつのくじら館内の1/10スケール模型も併せて見ると魚雷発射管室や機械室など実艦では見学出来ない区画も補完する事ができるので、潜水艦の構造に対する理解がより深まりました。



「あきしお」艦内の撮影OKという予想外のサプライズにより少々スケジュールが厳しくなってきたので急ぎ足で残りの見学を済ませます。
 
写真展示コーナーで気になったのが「呉造修補給所・貯油所」に所属する警備犬です。旧帝国海軍の山口多聞中将の別名である多聞丸、妙高型重巡洋艦の2番艦「那智」など旧日本海軍に関係した格好いい名前です。
「お仕事頑張ってる立派なワンちゃんだねー」と軽い気持ちでしたが調べてみると自衛隊において警備犬は2〜3曹に相当する地位(※正式な階級ではない)との事です。大変失礼しました・・・

最後は売店で買い物です。今回の呉基地見学に関係した艦のグッズが欲しいと思い「あきしお」と「あさしお」の識別帽を購入。そして14:00頃に「てつのくじら館」を出発し次の目的地である呉基地の見学へと急ぎます。


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