航空自衛隊 熊谷基地 さくら祭 「装備品展示」
2019.4.14


このページでは「熊谷基地 さくら祭」にて展示された各種装備品のリポートをお送りします。初めて訪れた熊谷基地には初めて見る装備品が多数ありました。


装備品展示の主役であるCH-47 チヌーク (#57-4491)

今回の熊谷基地・さくら祭における装備品展示で大きな存在感を放っていたのがこのCH-47 チヌークです。本日は入間基地から出張してきてくれました。


ちょっと特別(?)な空自のチヌーク
 
チヌークと言えば相馬原など陸自のイベントでよく見るお馴染みの機体なのですが、「あれ? そう言えば空自のチヌークってあんまり見た事が無い・・・?」と思って調べてみると
空自のチヌーク保有数は15機(19年3月時点)と思った以上に少なく、更にこの近辺で配備してるのは入間基地だけみたいなので空自仕様のチヌークって意外とレアなんだね。

陸自チヌークとは迷彩模様が異なっており、空自の旧型迷彩作業服に似た明るいウッドランドみたいな色合いとなっています。陸自と空自のチヌークを見分けるポイントですね。


前部ローターとコックピット
 
チヌークの最大の特徴であるタンデム式ローター。機体後部に装備された2基のエンジンの出力がトランスミッションやシャフトを介して伝達され前部ローターを駆動させます。
カバーを開放し内部を公開しててサービス満点です。そう言えばチヌークのローター駆動部を見るのって今回が初めてかも。スワッシュプレートの様子など実に興味深いです。


後部ローターとエンジン
 
T55-K-712Aエンジンもカバーが開放され複雑な配管などを公開。後部ローターの駆動部も公開されメカ好きな見学者には見応えのある展示となっています。


カーゴ・ルーム
 
まるでカエルの顔の様なシルエットが可愛いカーゴ・ルーム。残念ながら内部の公開は行われていなかったので写真だけパシャリ。空自チヌークの主な任務は平時では
レーダーサイト等への物資補給、災害発生時には負傷者の救助や支援物資の輸送などを行うとの事です。同じチヌークでも陸自チヌークはカーゴ・ルームに高機動車や
完全武装の普通科隊員を載せたり迫撃砲を懸吊してヘリボーンを行うなどオフェンシブな性格が強いので空自と陸自で運用方法の違いを比べてみるのも面白いですね。


入間ヘリコプター空輸隊の紹介
 
航空自衛隊においてCH-47を運用しているのは航空救難団隷下の4つのヘリコプター空輸隊(三沢・入間・春日・那覇)であり、その中でも入間ヘリコプター空輸隊は
マザースコードロンとして1988年に創設、通常の輸送任務の他に操縦士と整備員の教育も行ってるそうです。右画像のチヌーク模型(1/48)とか中々いい感じだね。

パネルでは日々の活動を紹介。物資輸送や災害派遣などで大活躍のチヌークですが、広報活動にも熱心であり2013年放送の「空飛ぶ広報室」にも登場しています。


海上自衛隊のSH-60K (#8453)
 

 
こちらは千葉県の館山航空基地から出張してきた第21航空隊・第211飛行隊のSH-60Kです。館山基地は未だに行った事が無いのでいつか行ってみたいですねー。


陸上自衛隊のAH-1S (#JG-3431)
 
こちらは木更津駐屯地の第4対戦車ヘリコプター隊から出張してきたコブラです。相変わらずこのスレンダーなボディが魅力ですね。


ペトリオット・ミサイルと愉快な仲間達
 
こちらは第1高射群のペトリオット・ミサイルです。ペトリオットはややマイナーな装備ですがこういうゆるキャラ(?)がいると知名度の向上に繋がりますね。


ペトリオット・ミサイルに必要不可欠なファミリー達
 
レーダーや射撃管制装置、アンテナや無線中継装置など様々な関連機器を接続する事によって防空システムを構築するペトリオット。いずれ詳しく勉強せねば・・・


戦闘行動時や災害発生時において通信手段の確保は重要
 
左画像は「移動用多重通信装置 J/TRQ-506」という装備。73式大型トラックに搭載された空中線を通じてUHF帯によりデジタル多重通信を行います。
右画像は「衛星通信装置 CCT120」という装備。コンパクトに分割収納する事が可能で電源はACとDCの両方が使用可能、Xバンド帯で通信するらしい。

ミリタリー(戦場)において通信装置って凄く重要な存在なのにその能力、メカニズム、運用とかって全然知らないですねー・・・ 今後勉強したい分野です。


航空機を安全・確実に運用し基地や人員を効率的に機能させる為には各種車両によって陸上の環境を充実させる事も大事
 

 
NBC(核・生物・化学)兵器が使用された場合に迅速・最適な対応を行う為の「NBC偵察車」、現場で活動する数百人の隊員に食事を提供する水タンク車や炊事車、
牽引や積載など様々な方法で移動可能な電源装置(?)など地上系の装備品も面白い物が多数展示。空自のイベントで地上系装備を見るのも中々楽しいものです。


時にハードに、時にソフトに、用途によって使い分けられる空自の車たち
 
軽装甲機動車(LAV)は陸自仕様の物と違い明るいOD(というかミントグリーン?)の単色となっている点が特徴。ランドクルーザーは市販車をそのままODに塗装した感じ。
そして車両の傍らには空自迷彩作業服+タンカラーのタクティカルベストを着用した隊員の姿も。優れた市販品を積極的に採用する空自のフレキシブルな姿勢は好きだよ。


自活車 KK-FT1JGDL改
 

 
車両系の装備品展示の中で個人的に一番印象に残ったのがこの「自活車」です。民間の6t(?)トラックをベースに改造を施したキャンピングカーって感じですね。
荷台内部には6人分のベッド、シャワー、トイレ、シンク、給湯器、冷蔵庫、エアコン、ブラウン管式テレビデオ等が備わっており2〜3日の自活が可能との事です。
自分は車中泊が趣味で「市販の箱型トラックを改造してベッドとか冷蔵庫を搭載したらどんな感じだろう?」とか妄想してたので、正にそれが具現化した感じです。
ただ・・・ ベッドやシャワーは経年の汚れが目立ち、ブラウン管式テレビデオが現役(?)だったりとかなり古い装備なのも事実。今後改善を望みたいですね。


グライダーの展示
 
こちらは「日本学生航空連盟」によるグライダーの展示です。全国の大学の航空部(グライダー部)によって結成され、グライダーの操縦や普及活動を行っているそうです。
グライダー(滑空機)というと「機械的な動力を持たず、長大な主翼を備え、気流に乗って飛行する」程度の基礎知識だったので、こうして実物を見る事は中々有意義です。

左画像はドイツ製の「ロラデン・シュナイダー LS8-18」という機種でスペックとしては全長6.66m、全幅15m、自重240kg、超過禁止速度280km/hという感じです。
右画像は同じくドイツ製の「アレキサンダー・シュライハー ASK21」という複座型の機種で全長8.35m、全幅17m、自重360kg、超過禁止速度280km/hという感じ。

グライダーは機械的な動力を有さないので飛行に必要な揚力を得る為に大きな主翼を備えてる&軽量な機体というのが大きな特徴です。この辺はU-2にも共通しますね。
ミリタリー系航空機のファンとしては「航空機は強力な発動機を備えているのが当たり前」という固定観念があったので、こういう無動力の航空機って逆に新鮮に見えます。


グライダーの格納・運搬の様子
 

 
これだけ長大な主翼を持つグライダーはどうやって運搬してるのか長年の疑問でしたが、画像の様に主翼を取り外してトレーラーに格納する光景を見て納得しました。
トレーラーヘッドは普通の自家用車ですがグライダーを格納したトレーラー部分が何とも長い長い。グライダーの操縦のみならず牽引車両の運転も上手って事ですね。


熊谷の地で永遠の休息を得た空の戦士たち
 
こちらのF-1(#60-8273)はかつて築城基地の第6飛行隊時代(80〜06年)に長きに渡り活躍していた模様。桜とのツーショットが良い感じです。


数多の歴史を歩んできたF-104J (#76-8704)
 
こちらのF-104J、尾翼に描かれてるのは第207飛行隊(72〜86年の那覇基地時代)の部隊マークですが、エアインテークにはかつてF-104が配備された
全国各地の飛行隊、つまり201〜206を含めた7個の飛行隊の部隊マークが描かれており、F-104の数多の配備の歴史を物語る特別な1機となっています。

更に余談ですが2017年のさくら祭において「ブレイブウィッチーズ」とコラボして一時的に特別ラッピングが施され「第502統合戦闘航空団」の所属だった事も。


F-86D (#84-8128)
 
犬の鼻の様な飛び出したレドームが特徴のF-86Dセイバードッグ。こちらは小牧基地の第102飛行隊(59〜67年)に所属してた機体みたいです。


F-86F (#82-7849)
 
航空自衛隊発足後初の主力戦闘機として1955〜1982年にかけて活躍したF-86F。尾翼の部隊マークは航空総隊・司令部飛行隊の意味らしい。


T-6G まつかぜ                                              T-33A 若鷹
 
1950年代の航空自衛隊創設期から多数のパイロット達を育成してきた練習機たち。空自の歴史を新入隊員に教育する熊谷基地に相応しい機体と言えます。


ゆるキャラとか
 
会場でピクルス王子とパセリちゃんを発見。まだ現役だったのか・・・ 昔から自衛隊イベントではよく見かけてたので未だに彼らの姿を見れる事は嬉しく思います。

そして地域交流イベントという事で近隣の市町村からは熊谷市のニャオざねや深谷市のふっかちゃんも登場。こうして自衛隊と地元の相互理解が進むのは良い事です。



これにて熊谷基地・さくら祭の装備品展示の紹介は終了。熊谷基地に来たのは今回が初めてですが面白い装備品が多数展示されてて中々印象深いイベントとなりました。
ただ当初の目的であった64式小銃の展示が無かった事、そして時間の都合で教育参考館(史料館)を見学出来なかった事が残念です。また来年以降の見学課題ですね。


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